高性能住宅とは?メリット・デメリットや評判の良いハウスメーカー・工務店を紹介
2024.02.02
2023.11.28
これから家を建てるならどのような基準で進めていきますか?
価格やデザイン、担当者の人柄などさまざまな選択基準があると思いますが、安心で安全、快適に暮らしていくためには「性能」のことも念頭に入れて進めていくべきです。
また、家を建てた後には、光熱費やメンテナンス費といったランニングコストも必要です。住み始めてからかかるお金のことを考慮しても、「性能」は家づくりにおいて大事な要素になります。
そこで今回は、以下のポイントで「高性能住宅」について解説します。
- 高性能住宅とはどんな家なのか
- 高性能住宅のメリット・デメリット
- 高性能住宅の事例・住んでみての口コミや感想
- 高性能な家づくりが得意なハウスメーカー・工務店
本記事は、累計25000組以上の家づくりをサポートさせていただいた「家づくり学校」が執筆しています。
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1.高性能住宅とは?定義や基準を解説
「高性能住宅」とは快適で省エネ、安全、長寿命な家を実現するための性能が十分備わった住宅のことを指します。
しかし、「○○の数値を満たした場合のみ高性能住宅として認定される」といった具体的な定義や基準はありません。
ですから、独自の基準を設けて「高性能な家づくりをしています」と謳っている住宅会社もあります。
でも、基準が曖昧だと「高性能住宅を建てたい!」と思っていても、どのように住宅会社を選べばよいか迷ってしまうこともあると思います。
そこで、本章では高性能住宅の要素を5つのポイントにまとめ、数値も踏まえて具体的に解説します。
これから高性能住宅を建てたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。
高性能住宅の要素①:耐震性が高い
日本は「地震列島」と言われているほど地震の多い国です。安心・安全に暮らすためには、高い耐震性が必要です。
耐震性のレベルには「耐震等級」という基準が設けられています。
耐震等級は1〜3まであり、数字が大きいほど耐震性能が高いことを示しています。
以下が耐震等級の強度になります。
◆耐震等級1
建築基準法で定められた備わっているべき最低限の耐震性能です。震度6強から7に相当する大地震に耐えうる強度を持つように計算されています。
◆耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の耐震性能です。災害時の避難場所として指定される病院や学校・警察署などの公共施設は、耐震等級2以上の強度を持つことが必須となっています。
◆耐震等級3
耐震等級1の1.5倍の耐震性能です。住宅性能表示制度で定められた耐震性能の中でも最も高いレベルであり、災害時の救護活動などで拠点となる消防署・警察署などは、その多くが耐震等級3で建設されています。
これからの家づくりは耐震等級3が必須
本当に安全な家づくりを実現するのなら、耐震等級3を目指しましょう。
近年、耐震等級3が注目されていますが、その大きな理由の一つは2016年に起こった熊本地震にあります。熊本地震では震度7の強い揺れが二度も起こった前代未聞の大地震です。
参考:内閣府 防災情報のページ
これまで日本では、震度7の地震が二度起こることはなく、連続する揺れを想定した家は考えられていませんでした。結果的に、熊本地震では多くの建物が全壊してしまいました。
一方、耐震等級3で建設された家は倒壊することなく住み続けることができました。
このようなことから、耐震等級3は「命を守る家」として必須の条件になっています。
建築基準法では等級1であれば家を建築できることになっていますが、これでは熊本地震のような大きな二度の地震に耐えることができないので安全性に欠けます。
また、震度6強から7の地震に一度は耐えられたとしても、躯体の変形などが起こってしまうので住み続けるのは困難になるでしょう。
このようなことから、耐震等級3で建築することは高性能住宅の必須条件の一つと言えます。
耐震性能の計算方法
住宅会社の見極め方として、どのように耐震等級を計算したか、という点も見ておくと良いでしょう。
耐震性能の計算方法には簡易的な「壁量計算」と、柱一本一本の強度に基づいた構造計算を行う「許容応力度計算」があります。
壁量計算はその名の通り、家に必要な壁の量を計算する方法です。しかし壁の配置や骨組みを考慮しないため信頼性の低い計算となります。
対し、許容応力度計算は建物にかかる固定の重さや、地震が発生した時の長期荷重、短期荷重を想定し構造材に生じる抵抗力を計算するものです。
確実な耐震性能を得るには、許容応力度計算が望ましいです。
また、許容応力度計算された構造体を過去に発生した地震の波動をパソコンで3Dで再現し、実際に倒壊するかをシミュレーションできるソフト「ウォールスタット」を用いて確認している会社もあります。
図:フォレストワークスの事例
このように倒壊のシミュレーションまでしてくれる会社はとても信頼性が高いと言えます。
高性能住宅の要素②:耐久性のある素材を使用している
「耐久性が高い家」というのは腐食に強い家のことを指します。
腐食は建物の外部が原因で発生するものと、内部が原因で発生するものがあります。内部からくる腐食の原因は「壁体内結露」ですが、これは高性能住宅の要素の一つである⑤気密性と大きな関係があります。
建物外部の耐久性は、外壁材や屋根材を耐久性の高い素材にすることで高まります。
今回は具体的に3種類の屋根の素材を例に解説します。
屋根の種類①:スレート
屋根の種類②:ガルバリウム
屋根の種類③:瓦
上の写真のように、屋根材にはスレート、ガルバリウム、瓦などの素材があります。
断熱性、重さ、太陽光パネルの設置のしやすさなどそれぞれの素材でメリットとデメリットがありますが、耐久性という観点では瓦が最も優れています。
イニシャルコスト(建築費)だけ意識して、手ごろなスレート屋根などを選ぶのが必ずしも悪い訳ではありませんが、将来的なメンテナンスコストを考えると瓦の方がより安くなります。
耐久性の高い素材で家づくりをしているということも高性能住宅の一つの要素です。
高性能住宅の要素③:体に悪い素材を使用しない
家の中の建材や家具には、国の安全基準を満たしていても「ホルムアルデヒド」などの有害物質が含まれていることをご存知でしょうか?
こういった化学物質はシックハウス症候群やアレルギーなどの健康被害の原因になってしまいます。
暮らしの中で多くの時間を過ごす家は体の健康と密接なつながりがあるので、化学物質の含まれていない自然素材・自然由来なものでつくるということはとても重要になります。
ここで健康のことを考えた家づくりの例をご紹介します。
健康な暮らしを追求した、もみの木の家
◆口コミ
妻と娘にアトピーとアレルギーがあるので、化学物質を使わない身体に優しい家を建てたいと考えていました。自然素材の心地よさに感動して、「まさにここだ!」と直感したのが決め手です。
高性能住宅の要素④:断熱性が高い
快適で省エネな家を実現するために断熱性能は欠かすことができません。
では断熱性能はどのレベルまで必要なのでしょうか?
結論、快適で省エネ性の高い家づくりをするなら「断熱性能等級6以上」を推奨します。
断熱の等級や詳細については下記で解説します。
日本の低い断熱性能基準
日本では「省エネルギー基準法」という断熱性能に関する基準があります。
省エネ基準とは日本を8つの地域に分けて、断熱性能の指標である「UA値(外皮平均熱還流率)」と「ηAC値(冷房期平均日射熱取得率)」をクリアした上で、設備機器も含めた住宅全体の省エネ性を評価するものです。
- UA値…住宅全体の熱がどれくらい“逃げやすいか”を示す値です。UA値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能の高い住宅ということになります。
- ηAC値…窓から直接入る日射による熱と、窓以外から日射の影響で熱伝導により入るする熱を評価した冷房期の指標です。
図:8つの地域区分と主な該当都道府県。UA値とηAC値の基準を示している ※図をタップすると拡大できます。
引用:住宅・建築SDGs推進センタ― 住宅の省エネルギー基準
上記の数値「等級4」は2025年4月から原則全ての新築住宅に対して適合が義務化される基準です。
ただし、この基準は国際的にみてかなりレベルの低い数値です。
これらの基準を満たした程度では快適で省エネな家にはならないということを念頭に入れて家づくりを行ってください。
これからのスタンダードは等級6以上
図:8つの地域の断熱性能(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)の基準 ※図をタップすると拡大できます。
上の図のように断熱性能の指標には国が定めた住宅性能表示制度による断熱性能等級と「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」が示すHEAT20 G1・G2・G3があります。
断熱等性能等級6はHEAT20 G2を、等級7はG3を参考にしています。
現在、国が定める省エネ基準は「等級4」で2025年4月から義務化になります。
先述した通り、この基準はかなり低い基準でしたが、2022年4月まではこれが国の定める最高レベルでした。さらにこの基準をクリアすることは義務でもなかったため、日本では断熱性能が低く、冬寒く夏暑い、光熱費がかかる家が大量に供給されてきました。
この状況を変えようと、国は2022年4月に省エネ基準(等級4)を上回る「断熱等性能等級5(ZEH水準)」を新設し、10月にはさらに断熱性能の高い「断熱等性能等級6」「断熱等性能等級7」を新設しました。
また2030年度には適合義務化の基準を「等級4」から「等級5」に引き上げることが予定されています。
つまり、これから建てるなら最低でも等級5はクリアする必要があります。
そして、快適で省エネな家を実現するなら等級6以上にすることを推奨します。
断熱性能を高めれば光熱費を大幅に抑えられることはもちろん、温度差の少ない温熱環境で健康に暮らせるなどのメリットがあります。
住む人の体にもお財布にも優しい持続可能な家を実現するために、断熱レベルについてしっかり考えておきましょう。
高性能住宅の要素⑤:気密性が高い
高性能な家にするためには断熱性だけでなく、気密性も高める必要があります。
気密性能は省エネ基準やZEH要件にも具体的な要件が満たされていませんが、いくら断熱性能を高めても気密性能が低い、つまり家の中に隙間が多ければ省エネ住宅にはなりません。
高気密の目安はC値1.0以下
気密性能は1㎡に何㎠の隙間があるかを表す「C値(相当隙間面積)」という指標で示されます。
UA値は設計段階の計算で出すことができますが、C値は一棟ごとに「気密測定」をしなければ確認できません。
写真:気密測定の様子
C値を1.0以下にできるような技術力のある住宅会社は少数で、ほとんどの会社では気密測定が行われてないのが現状です。
気密性のない家では②で取り上げた耐久性のある素材を使用しても壁の中で結露が発生してしまうため、腐食の原因に繋がります。
住宅会社検討の際には、気密測定は行われているのか、実際の性能値なども担当者にお聞きしてみると良いでしょう。
いかに丁寧に施工できる住宅会社を見極めることができるのかが高性能住宅を建てる上でとても重要なポイントになります。
長期優良住宅やZEHは高性能住宅?
「長期優良住宅」や「ZEH」といった言葉を聞いたことはあるでしょうか?
これらは住宅性能や省エネ性の高い住宅を普及させるためにできた国の住宅施策です。
以下でそれぞれの概要について解説します。
長期優良住宅
国が定めた8つの基準をクリアし、「長寿命で資産価値の高い家」と国から認定を受けた住宅のことです。
長期優良住宅に認定されると売却価格が上がったり、税制優遇や補助金の対象になるなどのメリットがあります。
長期優良住宅の認定基準は以下の通りです。
図:長期優良住宅の認定基準
ZEH
ZEHとは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略のことで、エネルギー省エネ化のためにできた住宅施策です。
ZEHの軸は「断熱」「省エネ」「創エネ」で、年間の一次エネルギー消費量を正味ゼロ以下にする住宅のことです。
【ZEHの要件】
- 断熱性能を向上させ冬暖かく夏涼しい住環境にする
- 高効率な設備機器により省エネ化を図る
- 太陽光発電システムなど再生可能エネルギー等を組み合わせてエネルギーを創る
長期優良住宅とZEHはともに住宅性能を補完する施策ですが、これらの基準は必ずしも安心で快適・省エネに暮らすための基準ではないことに注意しましょう。
例えば断熱性能の満たすべき基準は、長期優良住宅・ZEH共に「ZEH水準」となっていますが、先述した通り快適で省エネ性の高い家にするなら「等級6」程度の性能を推奨します。
また「気密性能」も快適・省エネな家を実現するには不可欠な要素ですが、2つの施策の中にはこの基準がありません。
つまり気密性能が十分に満たされていない隙間だらけの家でも、長期優良住宅やZEHを取れてしまうということです。
国の住宅施策の認定を受けることは大切なことですが、「冬暖かく夏涼しい快適な暮らしがしたい」「光熱費がかからないお財布に優しい家にしたい」といった要望があれば、それらを実現できる性能値で家づくりを進めていきましょう。
本章では高性能住宅の5つの要素について解説いたしました
「高性能住宅」の基準や定義は曖昧ですが、上記5つの要素を満たした住宅なら安心・安全、快適で省エネな住宅になります。
ただし上記5つのような基準を満たした住宅会社を見つけるのは至難の業です。
そこで「冬暖かく夏涼しい家を建てたい!」「安心で安全な家を建てたい!」と思っている方は「家づくり学校」のご利用がおすすめです。
家づくり学校では各拠点のスタッフが実際にヒアリング、現場を体感した上で、本当に良い家づくりをする会社をご提案・紹介しています。
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次章では高性能住宅のメリットについて解説します。
2.高性能住宅のメリット
高性能住宅にはメリットがたくさんあります。本章では高性能住宅のメリットを解説します。
①冬暖かくて夏涼しい快適な住環境になる
高性能住宅は断熱・気密性能を高めているので、家の中の温度差がなくなり、冬暖かく夏涼しい快適な住環境になります。
温度差の少ない住環境では冬場に多発する「ヒートショック」が起こることも減るので、とても安心です。
図:ヒートショックは20℃以上の温度差で発生する
また「寒さは万病のもと」と言われるように、冬の寒さはさまざまな健康被害を引き起こしますが、高気密高断熱な家だとその心配は不要です。
年中快適に過ごせるのは高性能住宅のとても大きなメリットと言えます。
②光熱費を抑えられ省エネな家になる
断熱・気密性が高く、少ない冷暖房費で快適な住環境になる高性能住宅では光熱費を抑えることができます。
家づくりの当初はどうしても建築費(イニシャルコスト)ばかりに行きがちですが、建てた後にかかる光熱費や修繕費などのランニングコストを踏まえて家づくりをする必要があります。
図:イニシャルコストとランニングコスト
特に光熱費は急激に高騰しており、今後も家計の負担が増えることが予想され、長く住めば住むほどその割合は大きくなります。
図:一般の住宅と高性能住宅のライフサイクルコストの違い
高性能住宅は建築費(イニシャルコスト)は一般の住宅より高くなってしまいますが、ランニングコストを抑えられるというメリットがあります。
これからはエネルギーコストを含めたライフサイクルコストで検討していくことが大切です。
③耐久性が高い長寿命な家になる
腐食は壁の外が原因で発生するものと、中が原因が原因で発生するものがあります。
家は雨や結露、シロアリなどによって腐食が進みます。
特に、家の壁の内側で「壁体内結露」が発生してしまうと、家の耐久性が大きく損なわれます。
断熱材の施工不良によって引き起こされる壁体内結露は、断熱材にカビを発生させるとともに、接触する柱や梁も腐らせてしまう可能性があります。
また、腐朽菌によって柔らかくなった木材からシロアリが発生し、シロアリ被害が引き起ることもあります。
その点、高性能住宅は壁の中の断熱材を隙間なく丁寧に施工するため、壁体内結露を防ぐことができます。
屋根や外壁、内装にも丈夫でメンテナンスフリーな素材を使用することで、長寿命な家になります。
耐久性の高い家では、修繕費を抑えられるといったことも大きなメリットです。
④耐震性が高く安心・安全に暮らすことができる
「耐震等級3」を満たした家なら、熊本地震のような震度7の強い揺れに対しても倒壊することなく耐えることができます。
これから30年以内に「南海トラフ巨大地震」や「首都直下地震」などの大きな地震が発生すると言われていますが、命を守るためにもこれからの家づくりにおいて耐震等級3は必須条件と言えるでしょう。
以上のように「快適性」「省エネ性」「耐久性」「耐震性」は高性能住宅の大きなメリットです。
図:高性能住宅の大きな4つのメリット
⑤補助金や税制優遇を受けることができる
最後に金銭的なメリットについてもご紹介させていただきます。
高性能住宅を建てると多くの場合、補助金や税制優遇を受けることができます。
例えば国の住宅施策である「長期優良住宅」や「ZEH」の基準は「1.高性能住宅の定義や基準とは?」で示したような基準で建てるとほとんどの場合で当てはまることになります。
2023年現在、ZEHを取得した家を建てると最大140万円の補助金を手に入れることができます。
また、長期優良住宅に認定された住宅だと住宅ローン減税の控除枠拡大をはじめ、登録免許税・不動産取得税・固定資産税などが軽減されます。
国としても高性能な住宅を建てていただくために、様々な施策を出しているのです。これらの措置により、高性能住宅の導入や維持に対する経済的な負担を軽減できます。
3.高性能住宅の2つのデメリット
とてもメリットがある高性能住宅ですが、デメリットも踏まえた上で検討していきましょう。
以下で高性能住宅のデメリットとその対策について解説します。
夏は暑くなってしまう可能性がある
断熱性と気密性が優れている高性能住宅は、真夏でも少ない冷房の力で快適・省エネに過ごすことができます。
一方で、熱の通しやすい窓などから太陽の熱がある程度入ってしまうことは避けられません。
高性能住宅は高気密高断熱でつくられているため、入ってきた熱が逃げず、その熱が家の中に留まってしまうので、「冬は快適で、夏は冷房なしでは暑い」という室内環境になってしまう可能性があります。
これからの家づくりでは高気密高断熱な住宅にすることは必須ですが、同時に夏場は日射が入らないように計算して家を建てないと、せっかくの性能もデメリットになり得るということです。
対策として、窓などの開口部に遮熱性の高いガラス設置をしたり、軒や庇を設け季節によって変化する太陽の高度を計算して設計することも大事です。
このように太陽の日射などを計算して設計することをパッシブデザインと言います。
パッシブデザインの家は冬は日射を取り入れて、太陽の熱だけで暖かく、夏は上手く日射遮蔽することで涼しい住環境をつくりだすことができます。
これからは単に断熱性と気密性を高めるだけでなく、パッシブデザインも必須になります。
パッシブデザインの詳細については以下で解説していますので、ぜひご覧ください。
初期費用がかかる
断熱性・気密性・耐震性などを高める高性能住宅の初期費用(イニシャルコスト)は、一般の住宅よりも高くなることがあります。
しかし、先述した通り長期的にみると光熱費・修繕費など費用が少なく済むので、経済的なメリットは大きいでしょう。
例:一般の住宅と高性能住宅の価格の違い
例:一般の住宅と高性能住宅の毎月の支払いの違い
家づくり計画では無理のない予算で進めていくことが何よりも重要ですが、建築費が安いからと言って安易にローコストな家に決めるのは後悔の原因にもなります。
ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
ローコスト(1,500~2,000万円)の注文住宅は危険?後悔しない会社選び
4.高気密高断熱の家で後悔?住んでみての感想・体験談を紹介
高性能住宅の要素の一つである「高気密高断熱」。
高気密高断熱の家は「窓が小さくなるのでは?」「気密性が高いので息苦しいのでは?」などのイメージがあるかもしれません。
これらは高気密高断熱の家が普及し始めた当時によく言われた声です
当時は今のような樹脂サッシやトリプルガラスといった高性能なサッシがあまりなく、窓からの熱の出入りが大きいため得ず窓を減らしたり、小さくしたりすることがありました。
現在は当時と比べると高性能なサッシが安く手に入り、窓を大きくできるようになったので、このようなデメリットは少なくなりました。
また、現在の建築基準法では24時間計画換気システムの設置が義務化されています。
24時間換気システムが適切に作動していれば、空気が常に換気され、気密性が高い家でも息苦しさを感じることはありません。むしろ隙間がないからこそ適切に十分な量の空気を入れ替えることができるのです。
反対に隙間の多い家では「穴の開いたストロー」で飲み物を飲むのと同じで、適切で十分な量の換気はできないのです。
図:隙間があると十分な換気ができない
ただし、高気密住宅の住環境が体質に合わないというケースも中にはあります。家を建てる際には自分たちにはどんな家が合っているのか、しっかりと体感しておくことが大切です。
高性能住宅に住んでみての体験談・感想
ここからは「家づくり学校」を利用して理想の暮らしを手に入れた方に、住み心地や暮らし始めてからの変化をインタビューしたものを紹介します。
実際に住み始めてからのリアルな感想なので、これからの家づくりのヒントにしてみてください。
高性能住宅の事例①
◆住まいのデータ
- 家族構成:ご主人 奥さま お子さま2人
- 完成年月:2020年8月(築3年)
- 建物面積:102.67㎡(31.05坪)
- 建物工法:木造軸組工法
- 断熱・気密:UA値0.56、C値0.19
- 太陽光発電:6.3kW
◆住んでみての感想
Q.実際に暮らしてみてどう?
賃貸に住んでいた頃は、ハウスダストアレルギーで目がかゆくなったり鼻水が出たりと大変でした。それがこの家を建ててからはほぼ症状が出なくなっているんです。気密性能にこだわったことに加えて、計画的な換気ができているので、室内がいつもきれいな空気になっていて快適です。
Q.ライフスタイルに変化は?
東と南に大きな窓をとったおかげで、日当たりがよく、家族全員早起きできるようになりました。冬はこの窓から日射熱を取り込みつつ、床下エアコンをゆるくつけっぱなしにしています。それでも、電気代はオール電化で月16,000円ほど。近所のお家に比べてかなり抑えられていることを知り、驚きました。
Q.気に入っているところは?
家に帰ってきた時に感じられる木の香りに毎日癒されています。家の中心にある吹き抜けや、南向きの大開口から光や風がたっぷり入るので明るくて気持ちのよい家になりました。庭の一角に家庭菜園を設けて野菜が作れるのもうれしいです。
施工:日置建設
高性能住宅の事例②
◆住まいのデータ
- 家族構成:ご主人 奥さま お子さま2人
- 完成年月:2021年2月(築2年)
- 建物面積:136.42㎡(41.26坪)
- 建物工法:木造軸組工法
- 断熱・気密:UA値0.35、C値0.04
- 太陽光発電:6.48kW
◆住んでみての感想
Q.実際に暮らしてみてどう?
オール電化住宅で6.48kWの太陽光パネルを搭載しているので、年間の電気代は売電収入でまかなえて、さらにおつりが出るくらいです。以前と比べると、特に冬の光熱費の差が顕著で、以前は3LDKのコーポで月2万数千円かかっていた光熱費が、今は約半分から3分の2くらいですんでいます。
Q.ライフスタイルに変化は?
夏涼しくて冬暖かいから、みんなこの家が大好きで、特に子どもたちは外が寒いと出たがりません(笑)。家族で過ごす毎日の暮らしや季節のイベントなど、前にも増して大事にするようになりました。また、毎年冬によく体調を崩していた夫が風邪を引かなくなったのもうれしい変化の一つですね。
Q.こだわりポイントは?
快適さは言わずもがな!無垢床だから足裏も暖かく、家族全員が真冬でも裸足で過ごしています。子どもたちに関しては、床でよくごろ寝していますね。あと、大きな本棚がある階段はみんなのお気に入りの場所。手作りしてくれた大工さんに感謝です。
施工:SANKO
いかがでしたか?
「家づくり学校」では高気密高断熱をはじめとするさまざま家を体感する機会を設けております。
「高性能な家を一度体感してみたい」という方はお気軽にお問合せください。
5.高性能住宅を手掛けているハウスメーカー・工務店
本章では高性能住宅を手掛けているハウスメーカー・工務店をご紹介します。
ご紹介する住宅会社はあくまでも数多くある会社の一例ですが、これからの家づくりにお役立てください。
会社名 | 特徴 |
積水ハウス | 日本一有名なハウスメーカー ⾼断熱アルミ樹脂複合サッシを使用し、熱を逃がさない |
セキスイハイム | 未来の家「スマートハイム」で 環境に優しく経済的な暮らしを実現 |
一条工務店 | 性能を追求する家づくり 全館床暖房が標準仕様 |
住友林業 | 長持ちする木の家 「ビッグフレーム構法」で地震に強い家づくり |
三井ホーム | 耐震性・断熱性などに優れた「2×4工法(ツーバイフォー)」の家づくり |
同じ会社でも高性能なプランとローコストなプランを持っている会社があるので、ご検討の際には自分たちが「どんな仕様で家づくりをしたいのか」といったことを明確にしながら進めていきましょう。
6.知る人ぞ知る!高性能住宅の建築が得意な工務店10選
住宅会社の中でも工務店の数は非常に多く「工務店で高性能住宅を建てたい!」と思っていても、どんな家づくりをしているか表面的な情報では見分けるのが難しいものです。
そこで本章では高い技術力を持った高性能住宅の建築が得意な工務店10社をご紹介します。
なお、選定した住宅会社は「家づくり学校」が断熱性・気密性・耐震性など詳細にヒアリングし、直接現場を体感して確かめたハウスメーカー・工務店になります。
家づくり学校では厳選工務店の中からあなたに合った工務店をご紹介しています!
さいが設計工務【埼玉県】
- 住所:埼玉県日高市大字原宿773-1
- 電話番号:042-989-2100
- 営業時間:9:00~18:00(年中無休)
会社の特徴
高断熱・高気密・高耐震を基本とし、「人生・暮らしを豊かにする」をコンセプトに家づくりを行っています。
また、断熱・熱交換換気・トリプルガラス・ハウスガードシステム緑の木(シロアリ対策)をして体にも優しい健康的な家づくりを手掛けています。
耐震診断士、気密測定士を自社で抱えているので、性能数値も全棟標準測定し、C値0.3㎠/㎡以下を厳守します。
バウムスタンフ【湘南エリア】
- 住所:神奈川県藤沢市辻堂5-4-11-C号
- 電話番号:0466-34-0030
- 営業時間:9:00~18:00
会社の特徴
HEAT20G1レベルの断熱性能を標準とし、G2レベル以上の高性能住宅も提供しています。
UA値0.56W/㎡K、C値1.0㎠/㎡を最低基準としており、また、自然素材にもこだわった家づくりを手掛けています。
信州カラマツを使った外張りなど、木の魅力を活かした湘南スタイルのお家も展開しています。
口コミでは、高い品質や親切な対応が好評です。
清水工務店【山梨県】
- 住所:山梨県甲府市荒川1-1-25
- 電話番号:055-287-9811
- 営業時間:10:00~17:00
会社の特徴
「SW工法」によって高断熱・高気密・高耐震を実現します。全棟気密測定を実施する徹底ぶりも魅力的です。
自然エネルギーを活かした暮らし方を前提とし、冬も夏も大量のエネルギーに頼ることなく快適に生活ができる将来を見据えた家づくりを手掛けます。
また、リフォーム・リノベーションにも力を入れており、小規模なお茶の間リフォームから大規模な断熱改修などのリフォームの実績も多く、経験豊富なプロ集団が家づくりをトータルサポートしてくれます。
あんじゅホーム【兵庫県:神戸市】
- 住所:兵庫県神戸市灘区灘南通3丁目4-20
- 電話番号:078-802-2768
- 営業時間:9:00~18:00
会社の特徴
大工だった創業者のDNAを継ぎ、施工技術力へのこだわりは筋金入りです。
「いい家は、いい現場からしか生まれない」を胸に誠実な家づくりを行い、その高い施工技術力を惜しむことなく家づくりに注ぎ込み、納得も満足もある家を提供します。
耐震等級3と共に耐風等級2が標準仕様で構造計算も全棟実施します。
省エネ性は、HEAT20のG1グレードを標準仕様とし、さらに断熱性を高めた家づくりを求めることも可能です。
ハヤシ工務店【兵庫県:姫路市】
- 住所:兵庫県姫路市青山6丁目29-1
- 電話番号:079-266-2561
- 営業時間:9:00~17:00
会社の特徴
快適な住環境を手に入れるためには、自然素材の活用と住宅性能を高めることが必要不可欠という考えのもと、環境先進国カナダで開発された現場発泡吹き付けウレタン断熱材を隙間無く丁寧に施工して、高断熱高気密を実現してくれます。
先代、社長、現場監督が皆大工経験者で現場を知り尽くしたプロとの家づくりだからこそ、素材の良し悪しや適材適所の選定をしてくれます。
劣化する部分にはあらかじめ高耐久の素材や施工の仕方を考えてくれるので、メンテナンスの少ない家ができあがります。
クラモクホームズ【岡山県】
- 住所:岡山県倉敷市中島999-1
- 電話番号:086-465-7700
- 営業時間:10:00~17:00
会社の特徴
明治40年に創業した材木屋からスタートした工務店です。材木屋の強みを活かし、無垢の床など厳選の木材にこだわった自然素材の家づくりを提供しています。
また、自然の力を利用して少ないエネルギーで環境にも人にも優しい家づくり「パッシブハウス」を採用。ドイツのパッシブハウス研究所が規定する性能認定基準を満たす世界最高峰の省エネルギー住宅を実現しています。
F-STYLE HOUSE【広島県:福山市】
- 住所:広島県福山市金江町藁江781-6
- 電話番号:084-930-1516
- 営業時間:9:00~18:00
会社の特徴
標準でHEAT20G2、C値:0.7㎠/㎡以下、耐震等級3の高気密・高断熱・高耐震の家づくりを手掛けます。
また、小さなところも身体に影響の少ない素材を使うという想いの元、社長自らが全国を探して出会った自然素材・建材を使用した自然派の家づくり行います。
高橋工務店【広島県:呉市・東広島市】
- 住所:広島県呉市焼山東3-4-13(事務所2F)
- 電話番号:0823-34-5585
- 営業時間:9:00~18:00
会社の特徴
地震による全壊ゼロの実績を誇る「SW工法」で家づくりを行います。さらなる安心のために、制震機能を取り入れた「制震SW」を採用することで、大地震から家族を守る家を実現します。
また、「SW工法」で冬暖かく夏涼しい快適な温熱環境に加え、耐震等級は3等級、高気密・高断熱・高耐震な家づくりになります。
打ち合わせからしっかりとヒアリングして、一棟一棟、一人一人の想いやこだわりを汲み取り、それを形にしてくれます。
小松秀行建築工房【香川県】
- 住所:香川県高松市多肥上町1882-9
- 電話番号:087-889-7871
- 営業時間:9:00~17:00
会社の特徴
四国の木材産地の良質な木材を製材し、色・艶・香りがいい素材で家づくりを行います。
家の骨組みとなる構造は、日本の伝統技術である「木組み」の技に、最新の耐震技術を加えた伝統型工法を採用し、柱や梁を見せた自然の趣あふれる住まいを提供しています。
一棟ずつ構造計算を行い、高い耐震性能を標準で確保します。
また、綿密に計算された軒の出や窓の配置で、日射や通風を調整冬は日差しを取り込むことで、一年中快適な温熱環境を実現します。
アイホーム【愛媛県】
- 住所:愛媛県松山市東垣生町71-1
- 電話番号:089-905-6080
- 営業時間:9:00~18:00
会社の特徴
高気密・高断熱な家づくりは当たり前で、「次世代全館空調マッハシステム」など最先端の技術を常に取り入れているのが特徴です。
最近では自然の力を利用した「パッシブデザイン」の家づくりも積極的に行っています。
とことん性能にこだわりたい方は内断熱・外断熱の「ダブル断熱」も組み合わせれば、ZEH基準以上の家づくりを追求することも十分に可能です。
もちろん、基本性能のみならず内装仕上は自然素材にこだわったりと、性能とデザインのバランスが高い次元でまとまった家づくりも提案してくれます。
ここでは「知る人ぞ知る!高性能住宅の建築が得意な工務店10社」と題して各エリアで高性能住宅を手掛けている工務店をご紹介させていただきました。
本章で取り上げたような高性能住宅を高いレベルで実現することができる工務店は「スーパー工務店」と称されます。
スーパー工務店の詳細については「住宅会社の見極め術:5.「スーパー工務店」という選択」をご覧ください。
上記で取り上げたような工務店はあくまでも一例です。家づくり学校ではご家族それぞれにあったスーパー工務店をはじめとする住宅会社をご提案・紹介しています。
これから家づくりをお考えの方はまず個別相談へお越しください!
個別相談はオンラインでも!
7.まとめ
本記事では高性能住宅の5つの特徴やメリット・デメリット、高性能住宅を手掛けているハウスメーカーや技術力の高い知る人ぞ知る工務店について解説・紹介しました
- 高性能住宅とは快適で省エネ、安全、長寿命な家を実現するための性能が十分備わった住宅のことを指す
- 高性能住宅に具体的な定義や基準はない
- 高性能住宅の構成要素には高耐震、高断熱、高気密、耐久性のある素材、体に害のない素材を使用しているなどの要素がある
- 高性能住宅を見極めるのは難しいので、測定方法や気密測定実施の有無などを担当者に聞いて判断する
「家づくり学校」では高性能住宅の建築が可能な住宅会社の情報を幅広く取り揃えており、ご予算に合わせてご提案・紹介させていただきます。そして、高性能で建てられた実際の家の体感・見学する機会も設けています。
高性能住宅のことなら家づくり学校にお聞きください!