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リフォーム・リノベーション

建て替え?リフォーム?の判断術

2023.11.24

家づくり学校

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建て替え?リフォーム?の判断術

経年劣化や家族構成の変化などによってマイホームの改修が必要になった時、「建て替えるか?リフォームするか?」という疑問にぶつかるのではないでしょうか?

建て替えるにしろリフォームするにしろ大きな決断になるので、判断は慎重になりますよね。

まずは「建て替え」と「リフォーム」のメリットとデメリットを理解し、納得したうえで判断することが大切です。

本記事では、建て替え・リフォームそれぞれのメリット・デメリットから見る判断術や、リフォームを依頼する会社の違いや特徴、これから行うべきリフォームについて解説します。

建て替えるかリフォームするかで悩んでいる方は、ぜひこの記事をご参考になさってください。

1.住宅リフォームの実情

住宅のリフォームは「どこから手を付ければ良いか」「どこまで直せばいいか」の判断が難しく、迷ってしまうと思います。

本章では、現状、住宅のリフォームでどのような箇所が検討されていて、それぞれの部位ではどれぐらいの金額がかかっているかを解説いたします。

リフォームの検討箇所

キッチン・トイレ・浴室・洗面所などの水回りから、フローリングやクロスなどの内装、外壁や屋根の補修まで多くの検討箇所があります。

平成21年以降のリフォーム工事別割合

上の図は平成21年以降のリフォームの工事別の割合です。

台所・トイレ・浴室・洗面所などの水回りと、天井・床・壁などの内装、屋根・外壁などの改修工事などが多くリフォームされていることが分かります。

一方で、壁・柱・基礎などの補強工事、窓・壁などの断熱・結露防止工事などの安全性や快適性・省エネ性を上げるためのリフォームは行われていないことが分かります。

リフォームの部位別費用の相場

リフォームの部位別の工事金額はいくらになるでしょうか?ここでは一般的なリフォーム費用の相場を紹介します。

【リビング・ダイニングの改修】

50~100万円

【壁紙の張り替え】

50~70万円

【屋根】

80~100万円

【外壁】

150~200万円

【キッチン】

70~150万円

【浴室】

100~150万円

【トイレ】

10~50万円

【バリアフリー化】

70~500万円

見積もりは2社以上で取って比較検討する

自分たちの希望するリフォームの相場が分かれば、総予算の目処が立ち、計画も進めやすくなります。

ただし、上記のようにリフォーム費用には幅があり、新築のように基準がありません。リフォームする建物の築年数や状態、要望などによって費用が異なるからです。

だからこそ、必ず建物を見てもらったうえで要望を伝え、見積もりを2社以上で取ることが大切です。

数社に同じ条件、要望を提示して見積もりを依頼すれば、費用の目安や会社ごとの違いが分かり、比較しやすくなります。

2.建て替えとリフォーム それぞれのメリット・デメリットとは?

建て替えとリフォームの検討比率

上の図は1980年以前に家を建てた人に、今の家を建て替えるかリフォームするかのどちらを計画しているかアンケートを取ったものです。

注文住宅建設(建て替え)を計画している方は46%、リフォーム・リノベーションを計画している方は42%と、半々で分かれています。

本章では、建て替え・リフォームそれぞれのメリット・デメリットを解説します。

 

建て替えのメリットとデメリット

建て替えのメリット

  • 最新の耐震性・耐久性・断熱性を求めることができる。
  • 思い通りの間取りに変更できるなど、家族の新しいライフスタイルに対応できる。
  • 快適で省エネ、安心安全な家にすることができる。

建て替えのデメリット

  • リフォームと比べ、多額の費用が必要になる。
  • 新しい規制で建て替え前の建物と同規模の建物が新築できない場合がある。

建て替えた方がいい場合とは?

上記で挙げたように、建て替えの特徴を一言で表すと「費用はかかるけど良い家になる」ということです。現在の状況が以下の項目に当てはまれば、建て替えを検討してみてください。

①終の棲家の計画や、その家を継承する人が決まっている場合

②老後の資金も確保できているなど、資金に余裕がある場合

③リフォーム工事が多岐にわたり、リフォーム工事費用が建て替え費用の7割を超えそうな場合

④今後30年住むための計画で、1000万円を超えるリフォームになる場合

⑤現在の住まいへの不満が構造・間取り・耐震・断熱・設備・採光・通風・調湿・結露など多方面にわたる場合

⑥耐震性能、断熱性能、耐久性など最新性能の家づくりをしたい場合

⑦地盤が弱く、家が傾いている場合

⑧新築用の各種補助金や優遇制度を活用したい場合

 

リフォームのメリットとデメリット

リフォームのメリット

  • 建て替えに比べて費用が安い
  • 短い工期で終了する。
  • 限定した場所だけを工事できるので、改修工事の目的がはっきりしている。

リフォームのデメリット

  • 家の状態によっては、耐震性・耐久性・断熱性を高めることができない
  • 間取り変更の自由度は限られる。
  • 実際に見てみると、修繕箇所が多数見つかり、総費用が膨らむことがある。

リフォームした方がいい場合とは?

リフォームのメリットは何といっても、費用を抑えられることです。ただし、場合によっては新築よりも費用が高くなったりすることもあります。また、1000万円以上かけてリフォームしても、数年後には結局建て替えなければならないというケースも少なくありません。

現在の状況が以下の項目に当てはまればリフォームを検討してみてください。

①終の棲家かどうか、はっきり決まっていない場合や、家を継承する人が決まっていない場合

②家に思い入れががある場合

③将来を考え、予算を低額に抑えたい場合

④現在の住まいについての不満が部分的な場合

⑤建物診断時、9割以上が良好であった場合

⑥1981年6月1日以降に確認申請を出した新耐震基準の建物の場合※(1)

⑦建築基準法や都市計画法など現行法規制で新築が出来ない場合※(2)

※(1)1981年6月1日から「新耐震基準」というこれまでの規定よりも厳格化された基準が施工されました。この日以前に建てられたいる家は「旧耐震基準」であるため、地震に対する強度が弱いので、建て替えや耐震補強を検討するべきです。

※(2)現在の法規制で新築ができない場合があります。

 

建て替えとリフォーム、失敗しない判断はどうすればいい?

ここまで建て替えとリフォームのメリット・デメリットについて解説しましたが、建て替えとリフォームはどのように判断すればいいでしょうか?

以下2つのポイントが重要になります。

①ライフプランを整理する

新築と同じく、リフォームにおいても自分たちにとって無理のない予算を考えることが大切です。まずはライフプラン(生涯設計)を踏まえ、何年住むためのリフォームなのか?今後その家をどのように使うのかを想定し、かけられる予算を把握しましょう。

ローンを利用する場合は、新築と同じく、どのぐらいなら借入でき、無理なく返済できるかを確認しましょう。

リフォーム工事は住みながら進めるのが一般的ですが、大規模な工事になる場合や工事内容によっては仮住まいを用意しなければならない場合もあります。

家具やカーテンの購入費用、引っ越し費用など、工事費以外にもお金がかかることを踏まえてて資金計画を立てましょう。

国や自治体ではリフォーム工事向けの支援制度を設けていることもあるので、適用されるかどうか事前に確認しておきましょう。

②建物診断をする

結局、建物診断をしないと建て替えかリフォームかの判断はできません。

建て替える場合も、リフォームする場合も建築のプロによる建物診断は(インスペクション)は必ず行い、建物の状態を把握しておきましょう。

建物診断とは、国土交通省の定める講習を終了した建築士が、基礎や外壁のひび割れや天井の雨漏りなどの劣化、シロアリ被害などが発生していないか調べるものです。

もし全面的なリフォームが必要な状態なら、リフォームではなく、建て替えた方がいい場合もあります。

リフォームした場合と建て替えた場合にかかる費用やそれによる改善点を踏まえて、自分たちの将来設計に合った選択をしていきましょう。

 

「中古住宅購入+リノベーション」という選択肢

中古住宅を購入して、リノベーションするというケースも増えてきています。

「新築を建てるか?中古住宅を購入してリノベーションするか?」この判断で迷われている人も多く見受けられます。

判断の目安としては、中古住宅の購入価格とリフォームの費用の合計金額が同地区・同規模の新築物件の購入費用の8割以下になるようであれば、中古住宅購入+リノベーションを検討してよいです。

例:土地付きで4000万で購入可能なエリアの場合、物件購入費とリフォーム費用の合計が3200万になるなら検討の余地あり。

空き家を有効活用する

2018年の総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%と、過去最高になっています。中四国では2030年に空き家率が20~30%を超えると言われており、かなり深刻な問題となっています。

参考:総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要

国としてもこの空き家問題を対策すべく、住宅政策として物件購入からリフォーム費用が一体型の金融商品などもあります。

これからの時代の家づくりでは、「ストック住宅」を有効活用していくことも一つの選択肢になります。

 

3.リフォーム会社の種類や特徴

リフォームを行っている会社にはさまざまな業態があります。

特徴が違えば得意分野も異なるので、自分たちが行いたいリフォームに合わせて会社を選ぶ必要があります。

リフォーム会社は大きく分けて、以下の4つの種類に分かれています。

  • ハウスメーカー
  • リフォーム専業会社
  • 家電量販店・ホームセンター
  • 工務店

それぞれでどんな違いがあるのか、どの会社を選べばよいのかを解説いたします。

 

ハウスメーカー

自社施工物件のアフターメンテナンスが中心です。知名度の高さとブランドイメージによる安心感が特徴と言えます。

一方で、広告宣伝費や人件費など多くの経費が伴うため、工事費用が比較的高めになります。また、実際の工事などは下請け工務店などの外部に委託するケースが多いので、そこでも費用が上乗せになったり、細かな対応が不得意な傾向があります。

リフォームショップ

ちょっとした修繕から設備交換、内装リフォームなども手掛けます。

フランチャイズで出店している店舗が多く、豊富な設備を取り揃えていますが、設備以外のリフォームはあまり行っていない傾向にあります。

家電量販店・ホームセンター

近年、家電量販店でもリフォームの工事を取り扱う所が増えています。

キッチンやトイレなどの設備を取り扱うのが主流でしたが、本格的な工事を受注する家電量販店もあります。

家電量販店では、リフォームの工事を自社で行う事はほぼなく、協力業者のリフォーム会社や工務店に依頼して施工を行っているところがほとんどです。

工務店

設備交換から大規模な工事まで幅広く手掛けています。直接施工なので適正価格で行うことができます。また、地域密着なので、何か起こった際には迅速な対応が期待できます。

ただし、対応力や提案力、技術力は会社ごとに違います。

 

どんな工務店を選べばいいか?

リフォームは直接施工で適正価格、信頼できる丁寧な対応をしてくれる工務店によるリフォームがおすすめです。

そして工務店にもさまざまな種類がありますが、以下の7点を満たした工務店を選ぶようにしましょう。

①直接施工で適正価格の工務店

下請けが介入する工務店だと、利益が二重になり費用が高くなります。直接施工の会社を選びましょう。

②建物診断ができる工務店

リフォームをしようと思っても、建物診断の結果次第ではできない場合もあります。建物の現況を確かな目利きでしっかりを判断してくれる工務店に依頼しましょう。

③自社に腕利き職人がいる工務店

リフォーム工事では特に職人の技術力によって、完成の質が異なります。

④新築ができる技術を持った工務店

実はリフォーム工事では非常にトラブルやクレームが多いです。そのほとんどの理由が、「難しい工事にも関わらず、ノウハウがない会社が多いから」です。

リフォームでは当然、古い家を工事しますが、その際、家全体のバランスを考えずに床や配管や壁などを部分的に修繕しようするとトラブルの原因になります。新築ができる工務店だと、全体のバランスを考えて工事をしてくれるので、正しく工事を進めることができます。

⑤プラン提案ができる工務店

言われたことしか行わない工務店も多いですが、家全体のバランスを考えたときに、他の工事を追加で行った方が良い場合もあります。

自分たちにとって本当に良いプランを提案してくれる工務店を選びましょう。

⑥木材の見極めができる工務店

どの材をどのように使えばいいのか、見極められる工務店に依頼しましょう。

⑦木材のストックを持っている工務店

多く買い付けをして、倉庫にたくさんの材を抱えている工務店もあります。そういった工務店は材料費を安くすることができる可能性もあります。

 

4.安全性を考えたリフォーム

日本は「地震大国」です。いつどこでどんな大地震が起こるかわかりません。設備の交換や内装などの表面的なリフォームだけでなく、安全性を考慮した耐震補強なども検討していきましょう。

耐震基準を確認する

お住まいの家の耐震基準はご存知でしょうか?

耐震基準とは、地震に対する住宅の安全を確保する基準です。

耐震基準は「建築基準法」で規定されており、建築基準法は大地震などの災害が起こるたびにその被害状況を検証し、何度も改正されてきています。建築確認の申請がいつ行われたかで、その家がどの耐震基準に沿って建築されたのかが分かります。

耐震基準には大きく「旧耐震」と「新耐震」があり、さらに木造住宅は2000年に大きな変更が加えられ、再び改正されました。

旧耐震基準とは?

1950年から1981年5月まで適用されていた基準です。家屋が「震度5強程度」の揺れに対して、倒壊・崩壊しない強度にすることが定められています。

新耐震基準とは?

1981年6月1日から2023年時点まで適用されている基準です。

家屋が「震度6強~7程度」の揺れに対して、倒壊・崩壊しない強度にすることが定められており、旧耐震基準よりも規定は厳格化されています。

2000年基準とは?

2000年基準とは、新耐震基準で建築された多くの木造住宅が1995年に起こった阪神淡路大震災によって倒壊・半壊したことをきっかけに、新耐震基準の弱点を強化した基準です。

現存住宅の7割が2000年以前に建てられたもの

建築時期別における耐震基準の割合

上の図は総務省の調査による、現存住宅の耐震基準の割合を示した図です。

2000年以前に建てられている住宅が約7割ありますが、これらの住宅は「耐震等級1」にも満たない家です。

耐震等級とは、地震に対する建物の強度を示す指標のひとつです。ランクが3段階に分かれており、その数字が大きいほど建物の耐震性能が高いということを表しています。

耐震等級についてはこちらで詳しく解説しています。

まずはご自宅がいつ建てられたのかをチェックすることで、どんな対策を取ればいいのかが見えてきます。

 

大地震による被害に備える

今後数年以内に「南海トラフ巨大地震」という地震が起こると言われており、多くの地域で甚大な被害を及ぼすことが予想されます。

南海トラフ巨大地震での震度想定

上の図は南海トラフ巨大地震で想定される震度の強さと範囲を示したものです。

南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。

参考:国土交通省 気象庁

震度6強から全壊率は高まる

震度6を超えると住宅倒壊は加速度的に増える

上の図は震度と家の全壊率の割合を示したグラフで、震度6強から全壊率は急に高まっていことが分かります。

耐震等級1の家だと震度6の地震に対して、1度は耐えることができますが、揺れにより家がダメージを受けてしまい、躯体などの変形で住み続けることは困難になってしまいます。

南海トラフ巨大地震による建物の全壊棟数は、最大で約238万棟と想定されています。安全のためにも、最低でも耐震等級は1以上にはしたいところです。

耐震改修工事で安全な家に

上記でも述べたように、現存の約7割の住宅が耐震等級1にも満たない家です。地震大国日本において、このような家に住むのはあまりにも危険だと言えます。

これからリフォームを検討するなら、まずは耐震改修工事を行い、安全に住み続けられる家にすることが最優先です。

耐震改修の費用は?

耐震改修工事には、耐震診断・耐震改修計画・耐震施工などの工程があります。

耐震改修工事にかかる費用は、実際に耐震診断を受けて、耐震改修計画を立てないと算出することはできませんが、過去の事例から、建物の構造種別、用途、階数及び延べ面積等に応じて、工事費の目安をつけることができます。

平均的な耐震改修工事費の目安は100~150万となっています。

参考:国土交通大臣指定耐震改修支援センター 一般財団法人日本建築防災協会

費用がネックですが、地震に強い安全なまちづくりを目指すために、耐震改修は国から補助金を受けることが可能となっています。

耐震診断と一緒に建物診断も受けることがおすすめ

耐震診断とは、建物の有する耐震性を確認するものです。

建物の現況を調査して耐震性に関わる様々な情報を確認し、その建物の設計図面を見て耐震性に関わる情報を拾い出していき、その情報から耐震性を計算していきます。

現地調査で行うことは、主に建物の劣化具合の確認です。例えば、基礎のひび割れの有無や建物の傾きを調べることです。

また、耐震診断と同時に、建物診断(インスペクション)も受けておくことをおすすめします。耐震診断と建物診断を一緒に同じ会社で実施できれば、料金も安く抑えることができます。

信頼できる建築のプロを見つけ、安心できる家づくりを実現しましょう。

 

5.快適・省エネ性を考えたリフォーム

現在、お住まいの家はエアコンがしっかり効く家でしょうか?

長く住んでいると、その住環境に慣れてしまっているので、何も感じないかもしれませんが、実は現存住宅のほとんどはエアコンの効かない、冬寒く夏暑い家です。

断熱リフォームをはじめとする、快適性や省エネ性を高めるリフォームも検討しましょう。

現存住宅のほとんどは断熱性不足

極寒のリビングで厚着をして寒さを凌ぐ

上の図は日本の一般的な住宅をサーモグラフィで表した図です。見てわかる通り、とても温度が低く寒い家であることが分かります。

驚くことに現存住宅のほとんどが上の図のような断熱性の低い家なのです。このような家は冬寒いだけでなく、夏も暑いです。また、エアコンが効かないので、光熱費も多くかかってしまいます。

温度差がある家では事故も起こる?

冬寒く夏熱い家、つまり温度差のある家では「ヒートショック」という事故も引き起こされます。

ヒートショックとは、家の中での急激な温度差によって血圧が大きく変動し、失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすことです。

入浴中に心筋梗塞が発生

冬の寒いお風呂場など温度差があるところで高齢者や、疾患を持っている方に多く発症しています。

年間交通死亡事故者とヒートショック要因の室内死亡者の割合

 

その死亡者数は年間約17000人以上で、交通事故では年間3000人弱の方が亡くなっていますが、ヒートショックはその5倍以上が亡くなっているということになります。

つまり、日本の現存住宅はそれだけ断熱性能の低い家が多いという証拠になります。

ヒートショックについて詳しくはこちらで解説しています。

断熱材の施工不良による被害

断熱材の施工不良

上の図は壁の中で断熱材が施工されている様子で、たくさんの隙間が空いています。こういった家では、壁体内結露が引き起こされます。

結露と言えば、冬場に窓につく水滴を思い浮かべると思いますが、実は壁の中でも発生しています。この結露が原因でさまざまな被害が起こります。

断熱材の施工不良が住宅の腐朽をもたらす

①人の体への健康被害

壁の中に結露が発生すると断熱材にカビが発生します。カビが発生するとダニが大量繁殖します。ダニの主食はカビだからです。

そして、カビやダニの死骸・糞はハウスダストとなり、人が吸い込むことでアトピーやアレルギー性皮膚炎、喘息などの症状を引き起こしていきます。

②家を腐食させる

目にすることのない壁の中の結露は気付かないうちに、断熱材にカビを発生させると共に、それに接触する柱や梁を腐らせてしまう可能性があります。

そして腐朽菌を呼び込み柔らかくなった木材をシロアリが好むためシロアリ被害が発生するケースもあります。

腐朽菌やシロアリの浸食が進むと建物を支える柱や梁の強度が極端に低くなり、地震の際に建物を支えられない恐れがでてきます。

結露は「家」と「体」を蝕むとっても恐ろしいものなのです。

断熱材は正しく施工することが大事

正しい断熱施工

上の図のように断熱材は隙間なく正しく施工し、気密性能を高めることが大切です。

気密性能はC値という指標で示されます。

断熱性能は窓の大きさや、どんな断熱材を使用したかで求めることができますが、気密性能は一棟ごとに「気密測定」を実施しないと求めることができません。

丁寧な施工で目安は「C値1.0」以下と言われています。

施工不良による結露の被害や断熱性・気密性の重要性についてはこちらで詳しく解説しています。

断熱リフォームで快適性と省エネ性をアップ

いくら冷暖房しても夏は暑く冬は寒い、その原因は「断熱・気密性能」が低いことにあります。これらの性能が低い家ではヒートショックや結露の被害も発生します。

設備の交換や屋根・外壁などの表面的なリフォームと比べると、あまり検討されることのない断熱リフォームですが、これから長く住んでいくことを考えると、とても重要なリフォームなのです。

断熱リフォームによるメリット

①快適性が向上する

家の中が快適な室温に保たれ、部屋ごとの温度差によるストレスも軽減します。

②光熱費を削減される

少ないエネルギーで効率よく冷暖房できるので、光熱費の削減につながります。

③耐久性が向上する

結露の発生を抑えて建物の劣化を防止できます。結果的に耐久性が向上します。

④健康に過ごせる

温度差によるヒートショックを防ぎ、カビ・ダニをを抑えて健康被害を防止します。

手軽にできて効果的!窓リフォーム

建物をまるごと断熱改修するのが理想的ですが、予算的に難しい場合には、全体ではなく日常よく使う空間だけ断熱する「部分断熱」という方法もあります。

ただし、断熱改修にはそれなりの予算も必要になります。予算的に難しい場合は手軽にできる窓リフォームという選択肢もあります。

熱の大部分は開口部から出入りする

上の図のように、冬は52%もの熱が窓から出ていき、夏は74%もの熱が窓から入ってきます。

つまり、熱の出どころである窓をリフォームすることで効率よく快適性や省エネ性を向上させることができるのです。

例えば、日本の昔の窓にはアルミサッシが使われていますが、アルミは熱の伝導率が非常に高く、木の1000倍の熱を通すので、これを高性能な樹脂サッシに交換すると、非常に効果的です。

またアウターシェードを取り付けると、夏の熱気は遮断できます。

窓の詳しい性能や効果についてはこちらから

ただし、いくら高性能な窓を取り付けても、建物の断熱性が低ければ効果は発揮されにくいので、やはり断熱改修のリフォームはとても重要です。

全面改修すべきか、部分断熱でも良いのか、ライフプランと予算を踏まえて考えていきましょう。

 

6.まとめ

いかがでしたか。

本記事では建て替えかリフォームの判断術や、リフォーム費用の相場、これから行うべきリフォーム内容などについて解説しました。

●リフォームの現状として、設備交換や内装•外壁などのリフォームは多く行われていますが、安全性や快適性・省エネ性を上げるためのリフォームはあまり行われていません。

●リフォーム費用は幅があり、新築のように基準がないので必ず、見積もりを2社以上で取って比較検討することが大切です。

●建て替えか、リフォームかの判断は2ポイント

①ライフプラン(生涯設計)の整理

ライフプランを踏まえ、何年住むためのリフォームなのか?今後その家をどのように使うのかを想定し、かけられる予算を把握しましょう。

②建築のプロによる建物診断を行う

建物診断をしないと建て替えかリフォームかの判断はできないです。

●リフォーム会社は大きく分けて、ハウスメーカー、リフォーム専業会社、家電量販店•ホームセンター、工務店の4種類があります。

直接施工で適正価格、信頼できる丁寧な対応をしてくれる工務店によるリフォームがおすすめです。

●大地震に備えて、耐震補強を行い安全な家にしましょう。

●断熱リフォームで快適•省エネ性も高めましょう。

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