断熱等級5では不十分?等級6との違いを解説!
2024.12.25

家づくりの情報を集めていると「断熱等級」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか?
断熱等級は2025年4月に等級4が義務化に、2030年には等級5(ZEH水準)への引き上げが予定されています。
これから家を建てる方にとっては、等級5で十分なのか、それともさらに高い等級6や7で建てるべきなのか大きな疑問となると思います。
この記事では、その疑問に答えるため、断熱等級5と断熱等級6の違いや最適な断熱等級の選び方を解説します。
断熱等級について詳しく知りたい方、快適な住まいを実現したい方は、ぜひこの記事を参考にして、賢い家づくりを進めてください!
この記事でわかること
- 断熱等級について
- 断熱等級5と6の違い
- これから求められる断熱性能について
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1.断熱等級とは
断熱等級とは正式に「断熱等性能等級」と言い、住宅の断熱性能がどのくらいかを示す基準です。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、国土交通省が定めています。
等級は1から7までの7段階で、数字が大きいほど断熱性能が高くなります。基準を満たすためには、適切な断熱材や開口部などの建材を選ぶ必要があります。
断熱等級と関連して「HEAT20」という言葉も耳にすることもあるかと思います。HEAT20については以下の記事で解説しています。
関連記事>>HEAT20とは?G1・G2・G3レベルやこれから求めるべき断熱基準を解説
2.2022年に新設された「断熱等級5」とは
ここでは断熱等級5について、新設の背景やレベル感について解説します。
断熱等級は省エネルギー法に基づく基準として1980年に初めて導入され、これまで何度か改正を重ねてきました。
現在設けられている断熱等級1~7それぞれの大まかな特徴は以下の通りです。
断熱等級 | 内容 |
断熱等級7 | HEAT20 G3と同等レベル |
断熱等級6 | HEAT20 G2と同等レベル |
断熱等級5 | ZEH水準(2030年義務化予定) |
断熱等級4 | 平成11年 次世代省エネ基準(2025年義務化) |
断熱等級3 | 平成4年 新省エネ基準 |
断熱等級2 | 昭和55年 旧省エネ基準 |
断熱等級1 | 昭和55年基準に満たないもの(無断熱) |
「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、日本では住宅の省エネ化が進められていますが、2025年4月から原則全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準(断熱等性能等級4)の適合が義務化されます。
さらに、2022年は等級5・6・7が新たに設けられました。これも「2050年カーボンニュートラル」という目標を実現するための取り組みのひとつです。住宅の断熱性能をさらに引き上げることで排出する炭素量を減らし、将来的な脱炭素化を目指しています。
カーボンニュートラルの住宅については下記で解説しています。
関連記事>>カーボンニュートラルを実現させるための住宅とは?
断熱等級5とZEH
ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略のことで、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅を指します。
住宅の断熱性能の向上と高効率な設備システムの導入により、大幅な省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギー等の導入を行います。
ZEH水準とは、ZEH住宅とするための外皮の断熱性能と一次エネルギー消費量の基準を定めたものです。
このZEHに求められる断熱性能等級が「断熱等級5」です。
ZEHには、一次エネルギー消費量の削減率によって「ZEH+」「Nearly ZEH」「Nearly ZEH+」「ZEH Oriented」といったように種類が分かれますが、すべてにおいて断熱等級5を満たす必要があります。
断熱等級5は長期優良住宅の認定条件
「長期優良住宅」とは、簡単に言うと「長く住み続けられるように作られた丈夫で高性能な家」のことです。
長期優良住宅を取得するには国から認定を受ける必要がありますが、断熱等級5はその認定基準のひとつとなっています。

長期優良住宅 8つの認定基準
2022年以降は断熱性能の基準が従来の等級4から5に、一次エネルギー消費性能が等級6に引き上げられました。
3.今から建てるなら断熱等級5・6どちらを選ぶべき?
結論として、これから家を建てるのなら、将来を見据えて断熱等級6以上の家を建てることを推奨します。
必ずしも断熱等級が高い家がベストであるとは言えませんが、政府が近年省エネを積極的に推進しているという現状や、光熱費が高騰している現況などを踏まえると、等級6の家づくりにしておくのが得策でしょう。
2030年には最低ラインがZEH水準=断熱等級5になる
先述した通り、2025年4月に断熱等級4(省エネ基準)は全ての新築住宅・非住宅に適合が義務化されます。
ただし、等級4の断熱性能は平成11年に作られた次世代省エネ基準と同等で、世界的に見てもかなり低いレベルにあります。
義務化で一定の断熱性能は確保できるようになりますが、消費エネルギーやCO2の削減、温度差による健康リスクを防ぐ意味では十分とは言い難いです。
そのため国は省エネ基準を「段階的に」引き上げるとしており、遅くとも2030年までには断熱等級5(ZEH水準)となる予定です。
断熱等級5に関しても、ZEH水準や長期優良住宅の認定基準にもなっていますが、快適で省エネに暮らすための性能としては少し低い、というのが実情があります。国が省エネ化を推進している現状を考えると等級6もいずれ義務化となることが予想されます。
つまり、断熱等級5は最低限度クリアすべき指標であり、目指すべきは断熱等級6以上が望ましいでしょう。
また、一部の大手ハウスメーカーや工務店では、等級6を標準仕様にする動きが加速しています。
例えば、セキスイハイムは2024年1月から、省エネ地域区分5~7地域で販売される全商品で等級6を標準化しています。このような流れは今後もさらに広がっていくものと予想されます。
これからの家づくりでスタンダードになる「断熱等級6」については下記の記事で解説しています。実際の住み心地やかかる光熱費などもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
あわせて読みたい>>断熱性能はどこまで必要?これから求められる『断熱等級6』について解説!
4.断熱だけでなく「気密性能」も不可欠
住宅の省エネ化を実現するため、断熱性能と共に欠かせないのが「気密性能」です。
省エネ基準やZEH要件にも気密性能の具体的な数値は示されていませんが、いくら断熱性能を高めても、気密性能が低い、つまり家の中に隙間が多ければ省エネ住宅にはなりません。

断熱・気密性能が低い家。 性能の低い家はいくら暖房しても暖かい空気が隙間から漏れ出し、床下から冷たい空気が侵入する。
隙間があれば冷暖房した空気は外に逃げ、外気が流入するので、冷暖房効率の悪い家になってしまいます。断熱材が隙間なく、施工されて初めて少ないエネルギーで家になります。
気密性能は1㎡に何c㎡の隙間があるかを表すC値(相当隙間面積)という指標で表されますが、高気密住宅の目安はC値1.0以下です。

図は断熱・気密性能の高い家。 足元と天井の温度差もなく、エアコン1台で22~23℃の快適な室温に保たれている。
断熱性能だけでなく、気密性能をたかめて「高気密高断熱住宅」にすることが快適で省エネな住まいにするための秘訣です。
気密性能については以下の記事で詳しくまとめています。
関連記事>>高気密高断熱の住宅とは?メリット・デメリット、後悔しないためのポイントを徹底解説!
5.まとめ
今回は断熱等級5やこれから求められる断熱性能について解説しました。ポイントは以下の通りです。
- 国は「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け省エネ化を進めている
- 2025年4月に断熱等級4(省エネ基準)が適合義務化となる
- 2030年には断熱等級5(ZEH水準)が適合義務化となる予定
- これからスタンダードとなるのは断熱等級6以上
- 断熱性能だけでなく気密性能も同時に高める必要がある
断熱等級は、2030年には等級5がすべての新築住宅について義務化されることが決まっています。省エネ化は国がどんどん推し進めており、いずれは等級6が義務化されると考えるのが自然です。
そのためこれから家を建てるのであれば、断熱等級6以上にすることを目指すことをおすすめします。
また、一年を通して心地よい健康的かつ省エネな暮らしを実現する断熱性の高い家づくりをしたいのであれば、気密性の高さも重視する必要があります。そういった家づくりには高度な技術が必要とされるため、経験値に大きく左右されます。高断熱・高気密の家づくりの実績が豊富で、そのノウハウと確かな技術を持ち合わせた住宅会社を選ぶことが大切です。
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