注文住宅にかかる費用の相場とは?地域・価格別の事例も紹介
2024.09.30
2023.10.26
注文住宅は広さや間取り、部材や工法、性能、土地のエリアや条件などで価格が大きく変わります。
また、建築費以外にかかる諸費用には家具や家電、外構なども含まれており、それぞれの条件が異なるため、一口に「費用相場」と言っても、具体的にイメージしづらいという事実もあります。
そこで、本記事ではこれから注文住宅を建てようと検討している方に向けて以下の項目を解説します。
- 土地なし・土地ありの注文住宅の費用相場
- 地域別の注文住宅の費用相場
- 注文住宅の費用の内訳
- 注文住宅の価格帯別の特徴
- 費用を抑えて理想の家に近づけるためのコツ
- 家を建てた後かかる費用
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この記事を読んでいただきたい人
- これから注文住宅を建てようと思っている人
- 注文住宅の費用相場がまったくわからない人
- 自分たちの予算でどのような家が建つか知りたい人
1.注文住宅を建てるにはいくらかかる?費用相場と内訳を解説
本章では、注文住宅を建てる際にかかる費用相場を「土地の購入が必要なケース」と「土地の購入が不要なケース」に分けてご紹介します。
また、注文住宅の費用の内訳についても解説します。
注文住宅の費用相場:(1)土地の購入が必要なケース
所有している土地がない方が、土地を購入して注文住宅を建てるケースの費用相場は下記のようになります。
◇土地を購入して注文住宅を建てる時の費用相場
- 土地購入費:1,499万円
- 建築費:3,194万円
- 合計:4,693万円
引用:2022年度 フラット35利用者調査 土地付注文住宅の全国平均価格
上記の金額はあくまでも全国平均であることに注意してください。土地込み注文住宅を購入する場合、土地価格によって大きく左右されます。
土地購入費と建築費の適正な予算配分
土地購入費と建築費の予算配分は 3 : 7 程度が望ましいです。
土地購入費
3
建築費
7
例:総予算が4,000万円の場合、土地購入費が1,200万円、建築購入費が2,800万円程度が適当
注意点は、立地や利便性などを優先するあまり、土地にかける予算が膨れ上がってしまい、住宅に予算をかけられなくなることです。
すると…夏暑く冬寒い、光熱費のかかる家になってしまう恐れがあります。
注文住宅を建てた後の費用については、後述する 5.イニシャルコストだけでなくランニングコストも考えて家づくりをしよう を参考にしてみてください。
土地購入費は地域によって差がある
先述した通り、土地と住宅の予算は 3 : 7 程度がバランスを推奨します。
しかし、地域によっては土地価格が高いこともあり、この予算配分では家づくりができないケースも多々あります。
例えば、首都圏では地価がとても高く、総額に占める土地費用の割合が40%を超えることも多いです。
◇首都圏で土地を購入して注文住宅を建てる時の費用相場
- 土地購入費:2,288万円
- 建築費:3,117万円
- 合計:5,405万円
引用:2022年度 フラット35利用者調査 土地付注文住宅の首都圏の平均価格
特に地価の高い首都圏エリアでは建築総予算の約4割が土地費用になっており、土地と建物 3 : 7 の予算バランスで家づくりをすることは困難です。
また、首都圏には茨城県や栃木県、群馬県、山梨県などの地価が低いエリアが含まれおり、都心部にいくほど土地価格も上がっていきます。
では、首都である東京都の土地込み注文住宅の平均価格はどうなっているでしょうか?
東京都の土地込み注文住宅の平均価格は下記の通りです。
◇東京都で土地を購入して注文住宅を建てる時の費用相場
- 土地購入費:3,662万円
- 建築費:2,960万円
- 合計:6,622万円
引用:2022年度 フラット35利用者調査 土地付注文住宅の東京都の平均価格
上記の通り、土地購入費が建設費を上回っており、東京都では土地と建物 3 : 7 の予算バランスで注文住宅を建設することは困難です。
東京都の土地価格については「土地代データ 東京都」を参考にしてみてください。
参考までに、全国・首都圏・近畿圏・東海圏の土地+注文住宅の平均価格と建築総予算に占める土地購入費の割合を表にまとめています。
地域別の土地+注文住宅の総額と土地費用
地域 | 土地+注文住宅の総額 | 土地購入費用(割合) |
全国 | 4,693万円 | 1,499万円(32%) |
首都圏 | 5,405万円 | 2,288万円(42%) |
近畿圏 | 4,893万円 | 1,760万円(36%) |
東海圏 | 4,693万円 | 1,299万円(28%) |
土地込みで建てる注文住宅の費用は、地域によって価格差が非常に大きいことが分かります。
注文住宅の費用相場:(2)土地の購入が不要なケース
既に所有している土地があり、土地の購入が不要なケースの注文住宅の費用相場は3,715万円になります。
引用:2022年度 フラット35利用者調査 注文住宅の全国平均
当然、土地を購入する必要がないので総予算は安くなります。また家を広くしたり、素材にこだわったり、性能を上げるなど建物にお金をかけることができます。
ただし、既に土地があっても地盤調査を行う必要があります。調査の結果、地盤改良が必要になれば費用が発生します。
地盤改良の費用はおおよそ数十万から数百万円程度になります。
土地を所有する場合でも、地盤調査や改良には費用がかかるため、事前にしっかり予算を組んでおくことが大切になります。
注文住宅の建築費用の内訳
注文住宅を建てる際には、建物費用の他にもさまざまな費用がかかります。
住宅会社のHPや情報誌などに掲載されている価格だけを見て、「このぐらいで建てられるんだ」とならないように注意しましょう。
また、住宅会社によって見積もりに入れる費用の範囲や記載内容は異なるので、費用の内訳がよくわからなければ担当者にしっかり確認しましょう。
本章では、建築総予算が3,000万円の場合、どのような費用の内訳になるのか具体的な金額を出して解説します。
本体工事費
その名の通り、建物本体にかかる工事費です。本体工事費には主に以下の項目が含まれます。
- 構造材やコンクリート等の原材料
- キッチンやお風呂、トイレなどの設備
- ドアや壁紙等の内装
本体工事費は建築総予算のおおよそ75~80%を占めます。
建築予算が3,000万円の場合は、本体工事費は 2,250~2,400 万円程度かかることが分かります。
付帯工事費
本体工事費用とは別に必要となる工事費用です。付帯工事費には主に以下の項目が含まれます。
- 屋外給排水工事費
- 屋外電気工事費
- 解体工事費
- 照明器具工事費
- カーテンやエアコンの購入費・取付工事費
- エクステリア工事費(外構・植栽)など
- 造成、地盤改良・補強費用
- 仮設工事費(足場・仮設トイレなど)
付帯工事費は建築総予算のおおよそ15~20%を占めます。
建築予算が3,000万円の場合は、付帯工事費は 450~600 万円程度かかることが分かります。
諸費用
諸費用とは主に税金や手数料などで、住宅ローンの借入額には含まれず現金で支払います。
諸費用には主に以下の項目が含まれます。
- 地盤や敷地の調査費用
- 建築確認申請費用
- 住宅ローン保証料・融資手数料
- つなぎ融資金利・手数料
- 登記申請費用・登記手数料
- 契約時の印紙税
- 団体信用生命保険
- 火災保険・地震保険料
- 土地の仲介手数料
諸費用は建築総予算のおおよそ5~10%を占めます。
建築予算が3,000万円の場合、諸費用は 150~300万円程度かかることが分かります。
先述の通り、原則住宅ローンに含ませることはできません。あらかじめ全体予算の10%を現金で用意しておきましょう。
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2.地域別の注文住宅の平均費用相場
本章では、全国で理想の家づくりをサポートしている「家づくり学校」の拠点がある 埼玉県・神奈川県・山梨県・兵庫県・岡山県・広島県・山口県・香川県・愛媛県 の8県を抜粋して、土地込み注文住宅の平均費用相場、建築総予算に占める土地購入費の割合を紹介します。
以下、地域名をタップすると地域別の詳細に飛ぶことができます。
地域 | 土地+注文住宅の総額 | 土地購入費用(割合) |
埼玉県 | 4,930万円 | 1,658万円(33%) |
神奈川県 | 5,485万円 | 2,472万円(45%) |
山梨県 | 3,949万円 | 838万円(21%) |
兵庫県 | 5,087万円 | 1,777万円(34%) |
岡山県 | 4,357万円 | 1,044万円(23%) |
広島県 | 4,456万円 | 1,157万円(25%) |
香川県 | 3,621万円 | 784万円(21%) |
愛媛県 | 4,039万円 | 1,049万円(25%) |
埼玉県の土地込み注文住宅の平均費用相場
- 土地購入費:1,658万円
- 建築費:3,272万円
- 合計:4,930万円
埼玉県は都心へのアクセスが便利なのにも関わらず、東京や神奈川に比べて土地価格が低く、比較的大きな敷地で注文住宅が建てられるといった魅力があります。
とはいえ、全国的に見れば土地価格は高く、埼玉県の平均地価は15万654円/㎡、目安坪単価は49万8032円/坪となっています。
引用:土地代データ 埼玉県
注文住宅を建てる上で川越市・さいたま市・所沢市・川口市・新座市などが人気のエリアです。
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神奈川県の土地込み注文住宅の平均費用相場
- 土地購入費:2,472万円
- 建築費:3,013万円
- 合計:5,485万円
神奈川県は東京にもアクセスしやすく、自然環境にも恵まれています。そのため、のびのびと子育てができるなどの理由から関東でもトップクラスの人気を誇ります。
神奈川県の平均地価は30万1082円/㎡、目安坪単価は99万5314円/坪となっており、全国的に見ても土地価格は高い傾向にあります。
引用:土地代データ 神奈川県
注文住宅を建てる上で藤沢市・茅ヶ崎市・平塚市・鎌倉市・横浜市など湘南を中心とするエリアの人気が高いです。
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山梨県の土地込み注文住宅の平均費用相場
- 土地購入費:838万円
- 建築費:3,111万円
- 合計:3,949万円
山梨県は自然豊かな環境でありながら、東京へのアクセスも非常にいいです。
甲府駅から東京の新宿駅まで「JR特急あずさ」を使えば約90分、高速バスを使えば約2時間で向かうことができます。
また、首都圏でありながら土地価格は低いことも特徴で、山梨県の平均地価は2万6196円/㎡、目安坪単価は8万6601円/坪となっています。
引用:土地代データ 山梨県
土地が安い分、敷地面積を広くできたり、建物に予算を十分に割くことができます。
こうしたことから、山梨県は注文住宅の建設にとても適したエリアと言えるでしょう。
注文住宅を建てる上で甲府市・甲斐市・南アルプス市・中央市・昭和町などが人気のエリアです。
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兵庫県の土地込み注文住宅の平均費用相場
- 土地購入費:1,777万円
- 建築費:3,310万円
- 合計:5,087万円
おしゃれな港町の神戸市、商業施設が充実している西宮市、姫路城などの歴史やレジャーを満喫できる姫路市、下町の明石市と、兵庫にはさまざまなタイプの街があります。
また、兵庫県は多くの市が大阪方面への通勤エリアになるので、ベッドタウンとして人気があるということも特徴です。
兵庫県の平均地価は15万9946円/㎡、目安坪単価は52万8747円/坪となっており、全国的にみると高い価格です。神戸市など東のエリアと姫路市などの西のエリアで土地価格が大きく異なっていることも兵庫県の特徴です。
引用:土地代データ 兵庫県
注文住宅を建てる上で神戸市・西宮市・姫路市・明石市・加古川市などが人気のエリアとなっています。
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岡山県の土地込み注文住宅の平均費用相場
- 土地購入費:1,044万円
- 建築費:3,313万円
- 合計:4,357万円
「晴れの国」と呼ばれるほど温暖な気候と、災害の少なさや交通アクセスの良さ、商業施設や教育施設、医療機関の充実などから、岡山県は戸建てエリアとして高い人気があります。
岡山県の平均地価は4万8447円/㎡、目安坪単価は16万0155円/坪となっています。
土地価格もそこまで高くなく、敷地面積も広く取ることができます。そのため、注文住宅を建てるには適したエリアであると言えます。
引用:土地代データ 岡山県
注文住宅を建てる上で岡山市・倉敷市・総社市・早島町・津山市などが人気なエリアとなっています。
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広島県の土地込み注文住宅の平均費用相場
- 土地購入費:1,157万円
- 建築費:3,299万円
- 合計:4,456万円
広島県は平和都市としての知名度や、プロのサッカークラブや野球球団、オーケストラといったスポーツ・文化活動、マツダをはじめとする製造業など、多彩な魅力と活力があふれる街です。
広島県の平均地価は10万7467円/㎡、目安坪単価は35万5265円/坪となっています。広島市を中心とする西部エリアと福山市を中心とする東部エリアでは土地価格が大きく異なります。
引用:土地代データ 広島県
広島市の中心部では土地価格が高いことからマンションを購入するケースや、隣接市の東広島市までエリアを広げて注文住宅を検討される方もいます。
注文住宅を検討する上で広島市・東広島市・福山市・尾道市・呉市などが人気のエリアとなっています。
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広島県東部 福山市周辺 および 西部 東広島市周辺 で注文住宅をご検討の方向けに厳選した住宅会社の紹介記事もございます
香川県の土地込み注文住宅の平均費用相場
- 土地購入費:784万円
- 建築費:2,837万円
- 合計:3,621万円
四国山地や瀬戸内海をはじめとする豊かな自然があり、「うどん県」としても有名な香川県。日本で最も面積の狭い県ながらも家づくりは比較的活発な地域です。
香川県の平均地価は3万9924円/㎡、目安坪単価は13万1980円/坪となっており、全国と比較しても安い金額で購入することができます。
引用:土地代データ 香川県
注文住宅を検討する上で高松市・坂出市・丸亀市・さぬき市・三木町などが人気のエリアです。
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愛媛県の土地込み注文住宅の平均費用相場
- 土地購入費:1,049万円
- 建築費:2,990万円
- 合計:4,039万円
しまなみ街道や息吹山など、海にも山にも囲まれた自然豊かな愛媛県。理想的な住環境が広がり、四国地方最大の都市である松山市があるなど、自然と都市が調和した住みやすい街として人気です。
愛媛県の平均地価は4万7745円/㎡、目安坪単価は15万7835円/坪となっています。
引用:土地代データ 愛媛県
注文住宅を検討する上で松山市・今治市・西条市・東温市・松前町などが人気のエリアです。
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注文住宅の相談は「家づくり学校」へ
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3.注文住宅の価格帯別の特徴やデザイン
本章では注文住宅の特徴やデザインを価格帯別に解説します。
自分たちが検討している予算と照らし合わせて、どのような家が建つのかシミュレーションしてみてください。
2,000万円台(注文住宅 土地込み)
土地の特徴
最低でも1,000万円以内の土地で検討する必要がある
住宅の特徴
- 1,000万円台のローコストビルダー・工務店で検討
- コンパクトで小さな家
- 真四角でシンプルなデザイン
- 断熱性や気密性といった性能は求められない
ポイントと注意点
土地込みの注文住宅を建てる上で、予算2,000万円台は平均と比較すると少ないです。
土地は最低でも1,000万円以内で検討する必要があります。駅近で利便性の高いエリアは地価も高いため、郊外で探すことが多くなるでしょう。
また、ローコストな住宅会社を選択する必要があり、そういった会社の特徴として外観デザインは総2階のシンプルな設計で「規格型」の住宅になることが多いです。
あまり高望みはできないので、本当に譲れない箇所を絞り込んで計画することが大切です。
関連記事>>【実例あり】2,000万円~2,500万円の注文住宅の間取りや特徴を紹介
3,000万円台(注文住宅 土地込み)
土地の特徴
1,000万円程度の土地で検討
住宅の特徴
- 2,000万円台のハウスメーカーや工務店で検討
- 比較的コンパクトな家になることが多い
- 真四角なシンプルなデザインになることが多い
- 性能や素材にこだわるのであれば土地価格を下げる必要がある
ポイントと注意点
土地込みの注文住宅を建てる上で予算3,000万円台は平均と比較するとやや少ないです。
土地は1,000万円程度で検討し、住宅に予算をかけると良い家づくり計画になります。
住宅は2,000万円代と比較するとかなり選択肢も増えてきますが、すべての要望をかなえられる訳ではないので、優先順位を明確にして進めていきましょう。
関連記事>>【実例あり】3,000万円台で建てられる注文住宅、間取りやデザインの事例を紹介
4,000万円台(注文住宅 土地込み)
土地の特徴
1,000~1,500万円程度の土地で検討可能
住宅の特徴
- 2,500~3,000万円程度のハウスメーカー・工務店で検討
- 平均的な30~33坪程度の広さ
- さまざまな素材を使用して、お好みのデザインに仕上げることができる
- 断熱性や気密性などを十分に高めることができる
ポイントと注意点
土地込みの注文住宅を建てる上で、予算4,000万円台は平均、地域によっては平均よりやや多いです。
4,000万円台の予算であれば、おおよその希望に沿った住宅を建てることができます。
ただし、土地価格の高い首都圏のエリアなどでは4,000万円台の予算だと少ないので、土地とのバランスを考えた上で検討する必要があります。
5,000万円台(注文住宅 土地込み)
土地の特徴
1,500~3,000万円程度の土地で検討可能
住宅の特徴
- 3,000~4,000万円台のハウスメーカー・工務店で検討可能
- 40坪以上の広い家にすることができる
- 上質な素材を使用して、耐久性などを高めた上でお好みのデザインに仕上げることができる
- 断熱性や気密性などを高水準で求めることができる
ポイントと注意点
5,000万円の予算であれば、ほとんど希望通りの住宅を建てることができます。
ただし、予算があるからといってあれこれ詰め込み過ぎると、予算オーバーになってしまうこともあります。
たくさんの選択肢があるからこそ、自分たちはどんな暮らしをしたいのか、どこにこだわりたいのかなどを明確にして家づくりを進めていく必要があります。
家づくり成功のカギは「予算」と「要望」を具体的につくること
ここまで、土地 + 注文住宅の特徴を予算別にご紹介しました。ただし、上記で取り上げたさせていただいたものはあくまでも一例にすぎません。
土地込みで注文住宅を建てる場合、下記のような条件がご家庭ごとに異なります。
- 年齢
- 家族構成・人数
- 希望エリア
- 仕様・性能
- デザイン性、間取りなど
自分たちがどのような暮らしをしたいか、どんな家づくりをしたいかを正しく判断するためには、「家づくりの基準」を持つ必要があります。ここでは、基準は「予算」と「要望」を指します。
無理のない予算立てや、ご要望に沿ったお客さまぴったりの住宅会社のご提案など、家づくり学校のアドバイザーが丁寧にサポートいたします。
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4.予算がオーバーしてしまったら?注文住宅の計画で見直すポイント4選
注文住宅の計画では、想定していた予算よりオーバーしてしまうことも多くあります。
予算オーバーしてしまった際には、以下のポイントを見直してみましょう。
①床面積を小さくする
まずは家の広さ、床面積を見直してみましょう。
注文住宅の費用は、(延べ)床面積 × 坪単価で決まります。そのため費用を抑えたい場合は床面積を小さくすることをおすすめします。
費用 = 床面積 × 坪単価
例えば 延べ床面積35坪、坪単価70万の注文住宅を建築する場合…
35坪 × 70万 = 2,450万
ここから、5坪 減らして 30坪 の注文住宅にすると…
30万 × 70坪 = 2,100万
5坪 減らすことで 約350万円 削減できる計算です。
初期の検討段階では、自分たちが生活する上で本当に必要な広さ(坪数)が曖昧なケースが多く、「4人家族だと平均が○○坪だと聞いたので…」といった基準で決めてしまっていることもあります。
平均はあくまでも目安ですので、自分たちがどのような生活をしたいか改めて検討していきましょう。
また、実際に等身大のモデルハウスや完成見学会などに訪問することで、より具体的にイメージすることもできます。
②設備を変更する
設備を見直すことで、価格を大きく下げられることもあります。
例えば、キッチン・洗面台・お風呂・トイレといった水回りの設備。せっかく家をつくるなら「最新の設備にしたい」と思う方もいるかもしれませんが、最新のものであるほど高額になります。
キッチンのグレードを最新のものに変更するだけで、100万円単位で金額が変わることもあります。本当に最新のものでないとダメなのか?妥協できるところ、できないところを1つずつ見極めて決めていきましょう。
また、設備の耐久年数はどんな最新のものでも10〜15年ほどだと言われています。10年後には買い替える必要が出てきますので、限られた予算を設備に回し過ぎるのは得策とは言えないでしょう。
③素材を変更する
設備の見直しと同様に、本当にこの素材でないとダメなのか?という事をしっかり吟味した上で選択しましょう。
例えば、自然素材を重視した会社だと、「家全体を無垢や珪藻土、漆喰で仕上げた方が良いですよ」といった提案をされることもあります。
たしかに、自然素材を使用することで調湿性が増し、快適な暮らしができたりするなどのメリットがあります。ただ、物置やあまり人が行き来しない部屋については、素材のランクを下げるといった選択肢も持っておくことが大切です。
また、「自然素材」と一口にまとめても、さまざまなグレードの素材があるので、会社の提案をそのまま受けるのでなく、全体のバランスを見て検討していきましょう。
④外構工事にかける費用を削減
外構とは、門扉・フェンス・ブロック塀・植栽・駐車スペースなど、建物まわりの構造物のことを指します。
外構にまでとことんこだわるデザイン性の高い会社もありますが、生活する上で重要な指標は、最低限の防犯面や安全性、車を何台駐めるのか、といったことです。
そのため、限られた予算の中では、おしゃれに見せるための植栽や庭などは優先順位の低い項目になります。
また、外構工事の費用は、施工会社によって大きく異なるケースもあるので、複数社から見積もりをもらって比較してみることもおすすめです。
以上が、予算オーバーした時に注意して見直すべきポイントです。
予算のことを含め、自分たちにぴったり合う住宅会社を見つけるには、複数社で比較検討してみることをおすすめします。
しかし、全国には数万社もの工務店・ハウスメーカーが存在するため、どこがいいのか迷ってしまうこともあると思います。
そこでおすすめなのは「家づくりの基準」をつくることです。
「家づくり」はほとんどの方にとって初めての経験。経験がないことに対して最善の判断をしようとしても、自分の中に“基準”がなければできません。
家づくりの後悔の多くは、自分たちの無理のない予算はいくらで、どういう生活がしたいのかといった要望や方向性が具体的にないまま会社を決めてしまった結果なのです。
だからこそ「家づくり学校」では、個別相談や各種セミナーでの学びと、気になる住宅会社への見学訪問などの体感を通して、あなただけの「家づくりの基準」をつくるお手伝いをさせていただいています。
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5.イニシャルコストだけでなくランニングコストも考えて家づくりをしよう
イニシャルコストとは最初にかかる費用のことです。住宅購入費用やローン保証料や登記費用、火災保険といった諸費用、各種税金などもこれにあてはまります。
ランニングコストとは家を建てた後にかかる費用のことです。例えば、光熱費・修繕費・保全費などがこれにあてはまります。
図:イニシャルコストとランニングコスト
イニシャルコストおよびランニングコストの合計がライフサイクルコストと呼ばれます。建設費などのイニシャルコストは表面化しており予算を立てる上でも意識が向くはずです。
一方、光熱費や修繕費などのランニングコストは表面化していないために、住み始めてから発生する金額が想像以上に大きいことに後で知る人も少なくありません…
ランニングコストを可能な限り削減するには下記の方法が挙げられます。
- 断熱・気密性能を高めることで光熱費がかからない家にする
- 耐久性の高い素材を使用することで、メンテナンスをしなくてもいい家にする
また、壁の中を丁寧に施工することで、壁体内(内部)結露も防ぐことができるので結果的に耐久性も向上します。
壁体内結露の危険性については下記で解説しています。
関連記事>>家は見えない所が一番大切 3.結露の危険性
生涯でかかる金額を比較
生涯で住宅にかかるランニングコストを削減するには、住宅の性能を高めたり、耐久性のある素材の利用を挙げました。
しかしながら、住宅性能を高めることで逆にイニシャルコストを高めてしまうことも事実です。
では、イニシャルコストを削減した家とランニングコストを削減した家とでは、生涯で支払う金額にどのような違いがあるのでしょうか?
例えば、イニシャルコストを下げた住宅と、性能や素材の耐久性を高めた高性能住宅との間で300万円の差があるとします。
金利1.5%と仮定すると、毎月支払う住宅ローンは高性能住宅の方が10,000円負担が大きいです。
一方、新居に住み始めてからかかるランニングコスト(光熱費)を比較してみましょう。
光熱費
一般の住宅
35,000円/月
高性能住宅
10,000円/月
※金額は30~35坪、4人家族で生活した時の一般的な例になります。季節によって金額は異なります。
程度に依りますが、高性能化によって毎月25,000円ほど光熱費の負担の削減に成功しました。
上記の条件で、住宅ローンと光熱費の合計を計算します。
月々の住居費
一般の住宅 ¥2,200万円
住宅ローン
67,000円/月
光熱費
35,000円/月
102,000円/月
高性能住宅 ¥2,500万円
住宅ローン
77,000円/月
光熱費
10,000円/月
87,000円/月
住居費という固定費でみれば、月額15,000円の差になり、年間では180,000円の差になります。
図:一般の住宅と高性能住宅の毎月支払う金額の違い
図:一般の住宅と高性能住宅の生涯で支払う金額の違い
生涯で支払う金額を比較すると、高性能住宅の方が少なくなっていることがわかります。
また、世界的なエネルギー危機で光熱費は年々上昇しているので、光熱費がかかってしまう家は今後ますますお金を払っていく必要があります。
どの程度の断熱性や素材を求めるかのバランスは考える必要がありますが、イニシャルコストだけで判断してしまうと、光熱費の支払いなどで後悔してしまうこともあるので、どのような仕様の家づくりにするのかはよく考えて選択しましょう。
住宅の快適性の秘訣は下記で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
関連記事>>家は見えない所が一番大切 4.快適で省エネ、耐久性の高い家は正しい施工がカギ
6.まとめ
注文住宅の計画ですべての要望を満たそうとすると、予算オーバーになってしまうことが多いです。
見積もりで出た金額で決定ではないので、妥協できないポイントはどこなのか、ご家庭ごとにしっかりと話し合って進めていきましょう。
- 土地込みで注文住宅を建てる際には、地域によって大きな価格差がある
- 土地購入費と建築購入費の予算配分は3:7程度が望ましい
- 注文住宅を建てる際には、建物の費用だけでなく、付帯工事費や諸費用などがかかる
- 予算オーバーになったら、床面積や設備、素材、外構などを見直す
- イニシャルコストだけでなくランニングコストも考えて家づくりを進める
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