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住宅性能と住み心地

耐震住宅で災害に備えた安心な暮らしを!地震に強い家づくりのポイント

2025.03.03

家づくり学校

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耐震住宅で災害に備えた安心な暮らしを!地震に強い家づくりのポイント

突然襲ってくる地震。もしもの時の備えはできているでしょうか?

日本は世界有数の地震大国。いつ、どこで大きな地震が起きるかわかりません。これから家を建てるなら、住まいの安全性は最優先事項です。

今回は災害に備えた安心の耐震住宅を実現するためのポイントを紹介します。これから新築をご検討されている方は、この記事を参考に地震に強い家づくりをかなえてください。

この記事でわかること

  • 耐震性能の2つの指標「耐震等級」と「耐震基準」
  • 2025年4月から変わる「構造」にまつわる建築基準法
  • 建物の安全性を測る2つの計算方法
  • 耐震性能と同時に考えるべき「耐久性能」について

本記事は、累計28,000組以上の家づくりをサポートさせていただいた「家づくり学校」が執筆しています。

家づくり学校」では、家づくりの基本知識や予算設定のコツ、信頼できる住宅会社の見極め方などを出版社ならではの公平かつ中立の立場で個別相談やセミナーを通してレクチャーしています。

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家づくり学校とは?

 

日本で暮らすなら知っておきたい大地震のリスク

大規模地震が起こる確率

出典:内閣府防災情報ページ「地震災害」

近い将来、「発生の可能性が高い」とされている大地震には、南海トラフ地震、日本海溝・千鳥海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、相模トラフ沿いの海溝型地震、中部圏・近畿圏直下地震があります。特に、関東から九州の広い範囲で強い揺れと高い津波が発生するとされる「南海トラフ地震」と、首都中枢機能への影響が懸念される「首都直下地震」は、今後30年以内に発生する確率が70%と、高い数字で予測されています。

国を挙げて地震の予想や対策が進められていますが、熊本地震を引き起こした布田川断層帯の大地震の発生確率は30年以内に1%未満だったことからも分かるように完全な予測は難しいのが現状。

いつ、どこで大きな地震が起きてもおかしくないからこそ、安心して暮らすためには住まいの耐震対策が欠かせません。

 

住宅の耐震性能の指標「耐震等級」と「耐震基準」を知ろう

安心・安全に住むためには耐震性能が欠かせません。住宅の耐震性能には「耐震等級」と「耐震基準」という指標があります。以下で詳しく解説します。

耐震等級

耐震等級とは、建物の耐震性能を表す指標で、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて定められている住宅の品質についての基準のひとつです。

地震に対する建物の倒壊・損傷等のしにくさを基準に建物の耐震性能に応じてランクが3段階に分かれており、等級の数字が大きければ大きいほど、建物の耐震性能が高いため、消費者にとって検討時の指針のひとつとなります。

耐震等級1・2・3

耐震等級1は、建築基準法が定める最低限の耐震性能。耐震等級2は、病院や学校など災害時の避難所となる建物の耐震性レベルです。一番ランクの高い耐震等級3は、消防署や警察署など災害復興の拠点となる建物の耐震性レベルであり、耐震等級1の耐震性レベルを「1.0」としたとき、耐震等級2はその「1.25倍」、耐震等級3はその「1.5倍」の強さを満たしています。

耐震基準

耐震基準の変遷

耐震基準とは、建築基準法が定める最低限クリアすべき指標で、大地震を経るごとに最低基準が見直されてきました。

旧耐震基準

震度5強程度の中規模地震で建物が倒壊・崩壊しない

新耐震基準

震度6~7の大規模地震で倒壊なし、震度5強程度の中規模地震で軽度なひび割れ程度

現行耐震基準

新耐震基準に加え、地盤調査の実施、接合部の金物使用、耐力壁のバランス強化などの条件が明確化

被災後の生活を守るためには「耐震等級3」が望ましい

耐震等級別の被害状況

出典:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」

熊本地震の被災状況を耐震等級別にまとめたグラフです。

「建築基準法レベル」とは、住宅性能表示未取得物件(2000年6月~)及び等級1のもの。つまり、現在の建築基準法レベルである2000年以降の現行耐震基準の住宅であっても、6.3%は大破・倒壊したということです。一方で、住宅性能表示「耐震等級3」の住宅は87.5%が無被害、他は軽微または小破の被害だっため、被災後もそのまま住み続けることができています。

熊本地震の被害状況を通して、耐震等級3にすることで安全性が高まることが明らかになりました。これから家を建てるなら、耐震等級3の家にすることを推奨します。

 

2025年4月から変わる建築基準法の内容をピックアップ

2025年4月の改正内容は、省エネ基準の適合義務化が注目を集めていますが、「構造」にまつわる部分も改正される見通しです。

2025年4月に全ての建築物に省エネ基準の適合が義務化します。適合するためには、断熱材の厚みを強化したり、場合によっては太陽光パネルを設置したりする必要があるため、今までよりも建物の重量化が見込まれるようになります。

重量が増えても建物の安全性を確保できるように、建築確認・検査対象の見直しや審査省略制度の縮小も併せて措置されるようになったのです。

このタイミングで構造のルールにメスが入ったのは、こういった背景があります。

今回は「構造」にまつわるルール改正から2つご紹介します。

  • 建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の変更(4号特例の廃止)
  • 木造建築物の構造計算対象の規模の変更

建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の変更(4号特例の廃止)

4号特例廃止

今までは、木造2階建てと木造平屋建ては「4号建築物」に分類されていましたが、改正によって、木造2階建てと延床200㎡超の木造平屋建ては「新2号建築物」に、延床200㎡以下の木造平屋建ては「新3号建築物」と、細かく分類されるようになりました。

「4号建築物」は、審査省略制度の対象で、建築確認申請時に「構造関係規定等の図書」の提出を省略できた(これを4号特例と言っていました)のですが、新たに区分された「新2号建築物」は、審査省略制度の対象外なので「構造関係規定等の図書」の提出が必須になりました。実質的な、4号特例の廃止です。「新3号建築物」につきましては、引き続き、審査省略制度の対象です。

可能性だけなら、構造計算をしていなかったとしても建築確認申請自体はおりる状態だったのです。チェックされないからといって実際、構造の安全性を確認しないケースはないと考えられますが、第三者のチェックが入るというのは安心材料がひとつ増えたと言えるでしょう。

 

木造建築物の構造計算対象の規模の変更

構造計算の規模

建物の規模ごとに構造の安全性を確認する方法が異なります。今回の改正により、「高度な構造計算」を必要とする建物の高さが13m以下から16m以下に、「簡易な構造計算」を必要とする延床面積が500㎡超から300㎡超にそれぞれ変更となりました。

建物の安全性を確認するには許容応力度計算がベスト!

建物の安全性を検査する方法には「仕様規定」による計測と、「許容応力度計算」があります。

仕様規定

構造安全性を確認する方法のひとつで、全ての木造建築物が最低限遵守しなければならないルールを定めています。壁量計算・四分割法・N値計算の簡易的な計算方法で構造の安全性を確認します。

仕様規定が壁のみの必要量とバランスを見るのに対し、許容応力度計算は基礎や床・屋根の強度、構造材や接合部の強度など構造上重要な部分を全て算出する精密な計算方法のため、安全性レベルは高いと言えます。高い耐震レベルを確保し、建物と住む人の命を守るためには、耐震性をより精緻に確認し、安全性を高められる許容応力度計算を用いた耐震等級3の取得が安心です。

許容応力度計算とは

各部材ごとに強度などを計算して、家全体の構造安全性を確認する方法。柱や梁など全ての部材にかかる力(応力)を計算し、それが、部材が耐えられる(許容できる)レベルに収まっているかどうかを判定していきます。

仕様規定と許容応力度計算

300㎡以下の平屋や2階建ての建物は、「仕様規定」でよいという風に思えますが、仕様規定は許容応力度計算(構造計算)ほどのチェック項目はありません。間取りも省エネ性能も建物重量も遷り変わっているからこそ、建物の大きさに関わらず許容応力度計算で安全性を確かめましょう。

 

「耐久性能」も同時に考えよう

高い耐震性能を持続させるためには、耐久性能も一緒に考えることが大切です

耐震性能を高めても、建物を支える構造体が傷み、本来の強度を損なうと耐震性能は格段に低下してしまいます。木造住宅の耐久性能を損なう大きな原因となるのが、木材の腐れとシロアリ被害。これらの被害を防ぎ、住まいの耐久性能を高めることも耐震性能と同様に重要です。

劣化・強度低下の大きな原因①:木材の腐れと

原因はキノコの胞子。木材と水分、温度、酸素の4条件がそろえば木は腐るため、とにかく木を濡らさないことが重要。雨漏り、水漏れ、結露を起こさない家にすること、そして、木材を防腐剤で処理することが必要です。

劣化・強度低下の大きな原因②:シロアリ

木材を食べて空洞化してしまうシロアリ。構造体が被害を受けると地震で倒壊する原因ともなるため、シロアリを寄せ付けない防蟻処理が欠かせません。処理方法は安全性や持続性も踏まえて選択しましょう。

耐久性の高い家にするための対策3選

以下のポイントを踏まえて耐久性の高い住宅を実現しましょう。

  • 断熱・気密性能を高めて結露しない家にする
  • 劣化対策等級3を取得する
  • 耐久性の高い材料を使う&定期的なメンテナンスをする

断熱・気密性能を高めて結露しない家にする

木材の腐れやシロアリ被害の共通要因である「湿気」。湿気はカビやダニの発生も促進させ、健康被害につながる可能性もあります。断熱・気密性能を高めれば、壁の中での結露の発生を防ぐだけでなく、計画換気により通気・換気がしっかり行われて、木材の腐れやシロアリ被害から住まいを守ることができます。

劣化対策等級3を取得する

劣化対策等級とは、品確法で定められた住宅の劣化軽減対策を評価する指標です。等級3は通常想定される自然条件及び維持管理条件の下で3世代(75年~90年程度)まで耐用期間を確保するために必要な対策(構造躯体のシロアリ対策や点検口の設置など)が講じられていることを表し、長期優良住宅の認定基準のひとつとなっています。

耐久性の高い材料を使う&定期的なメンテナンスをする

完成した時点での強度が続かなければ、いつ起きるか分からない地震に備えることはできません。経年劣化は避けられませんが、木材は適切な環境下にあると非常に長持ちする材。外壁などの建材も技術の進歩により高耐久のものが開発されています。使う材や環境に留意するとともに、定期的なメンテナンスで、傷んだ箇所を早期に発見して修繕すれば、末永く建物の強度を保て、暮らしを守ってくれる家になるでしょう。

 

これからのトレンドはレジリエンス住宅

レジリエンスとは困難な状況を乗り越える強靭性や回復力のことです。

「レジリエンス住宅」とは平常時は省エネ・快適に暮らせて、災害時には高い耐震性や防火性能で命を守り、建物の被害を最小限に抑えることができる住宅。そして、災害後には一時的に電気や水道などのライフラインが断絶しても数日間は在宅避難を選択できる機能を持ちます。災害リスクが高い日本の住宅に求められる大切なポイント。

レジリエンスを高めるためには、耐震性・耐久性の向上、地域での災害対策、保険での備えも重要です。

 

まとめ

今回は地震に備えた安心な家づくりのポイントについて解説しました。

  • 「南海トラフ地震」と「首都直下地震」は、今後30年以内に発生する確率が70%と、高い数字で予測されている
  • 住宅の耐震性能には「耐震等級」と「耐震基準」という指標がある
  • これから家を建てるなら「耐震等級3」は必須
  • 2025年4月に全ての建築物に省エネ基準の適合が義務化に伴い、断熱材の厚みを強化するなど、今までよりも建物の重量化が見込まれるようになる。それに伴い「構造」にまつわる部分も改正される見通しである
  • 建物の安全性を確認するには許容応力度計算がベスト
  • 高い耐震性能を持続させるためには、耐久性能も一緒に考えることが大切

家づくりを進めていくうえで大切なことは、今回取り上げたような地震に備えた家づくりのことをはじめ、大切な知識を学び、ご自身で後悔のない選択をできるようになることです。

家づくり学校」では個別相談やセミナーで、基本知識のレクチャー、ムリのない予算立て、信頼できる会社のご提案を行っています。

最終的には自分だけの「家づくりの基準」が出来上がり、ご自身で住宅会社を見極められるようになります。

これから家づくりをお考えの方、いろいろ見過ぎて迷ってしまった方は、まず「家づくり学校」にご相談ください。素敵なマイホーム実現のお手伝いをさせていただきます

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この記事を書いた人

岡山校

「家づくり学校」は埼玉、神奈川、群馬、山梨、兵庫、岡山、広島、山口、鳥取、島根、香川、愛媛、徳島県で住宅情報誌を発行する(株)KG情報が運営する、家づくりの無料相談&優良住宅会社提案サービス。個別相談や各種セミナーでの学びと住宅会社への見学訪問を通してあなただけの「家づくりの基準」をつくるお手伝いをさせていただいています。

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