【家づくり】エコなお家ってどんなもの?
2023.09.16
2019.09.13
皆さんは「太陽光」をどうお考えですか?
今日ご来校くださったお客様は、どんなお家にしたいですか?との問いに対して、「太陽光をしっかりのせて、光熱費のかからないお家にしたい」というお考えでした。結論から言うと、太陽光をたくさんのせたって…お家(箱づくり)を丁寧にしないと意味もないってことです。そのお家づくり(箱づくり)がどういうものなのか、基本知識をお伝え!色々な角度から、勉強していただきました。
そこで今日は、自然の力を活用した「パッシブハウス」という設計手法をについてご紹介します。
パッシブハウス=自然の力を活用して快適な住まいを設計
パッシブハウスとは、①断熱 ②日射遮蔽 ③通風 ④昼光利用 ⑤日射熱利用暖房の5つを建物に組み込む設計技術のこと
建物の断熱性能を高め、太陽の光や風の力を最大限に活用し、明るさや暖かさ、涼しさ、そして常に新鮮な空気が得られるよう建物を設計することで、エネルギーの消費量を減らしながら心地よく暮らせるようになります。
断熱
特に冬の暖房は、エネルギー消費量が多いため、断熱性能を高めることで省エネにつながります。気密・断熱性能を高めるには、ただ断熱材を入れればいいというわけではありません。断熱材はそれ自体が性能を持つのではなく、隙間なく施工することで初めて性能が発揮されます。そして、きちんと施工され、高気密・高断熱の家になっているかどうかは「気密測定」により数値で確認できる。
気密測定では建物のC値(隙間相当面積・建物全体の隙間が床面積1㎡あたりに隙間が何c㎡あるかを示した値)がわかるが、数値が小さいほど気密性の高い住宅。C値は間取りや設計、施工状況などが異なるため、1 棟ごとに実測しなければならないもの。計算しただけでは実現できないということです。
日射遮蔽
「夏涼しく」を実現するために、何より重要なのが「日射遮蔽」。夏はとにかく日射を窓から室内に入れないことが重要です。夏に室内に入ってくる日射熱のうち、70%程度が「窓」からだと言われているからです。この日射熱をカットできれば、冷房に使うエネルギーを削減することができます。
方法としては、日射遮蔽に効果のあるガラスを選択し、軒や庇(ひさし)をしっかりと出すことです。最近では軒や庇のないデザインの家もありますが、季節ごとに変化する日射角度をふまえて軒や庇の長さや角度を設計することで、夏は直射日光が入るのを遮り、逆に冬は取り入れて室内に陽だまりを作り、暖かさを確保することができます。また、窓の内側のカーテンはもちろん、窓の外側に日射を遮る装置を付けるのもポイント。ルーバー雨戸や外付けブラインド、シェードや昔ながらのすだれなどを取り付ければ、風を通しながら日射を遮ることができる。
そして、庭に冬には葉を落とす落葉広葉樹やグリーンカーテンを植えるのも効果的です。屋根や外壁に日射を反射しやすい素材を使うのも、一定の効果があります。
通風
家全体に自然の風を行き渡らせ、室内に溜まった熱を排出するための技術が「通風」。風通しのよい家にするためには、どの方向から風が吹いても風が通るようにしておくことが大切です。
また、外気温が低い時や、外気温が低い窓から風を取り入れるのもポイント。夏であれば夜、風を取り込み、昼間であれば直射日光の当たらない窓から取り入れるというイメージです。
建物内での風の動きを予測しながら窓の配置や大きさを考えることも重要だ。そして、風を室内へ誘導する工夫もある。ぶつかっても方向を変えて進む風の性質を利用したもので、風向きにあわせて互い違いに開く縦すべり出し窓を開いたり、袖壁のデザインを工夫したりすることで、窓や壁にぶつかった風が室内に入り、循環するというものです。
その他にも、吹き抜けや階段室を通じて上下に風を通す「立体通風」や、最上階の上部に窓を付けて、室内に溜まった熱を排出させる「高窓」、日本古来の「欄間」「格子戸」など、さまざまな工夫を組み込むことで、風が家の隅々まで行き渡り、快適な室内環境を生み出すことができます。
昼光利用
昼間の明るさを取り入れることで、照明器具に頼らず室内を明るくし、照明エネルギーを削減するための技術が「昼光利用」。昼間はできるだけ照明を使わずに過ごしたいけれど、敷地条件によっては光が十分に届かないこともあります。
昼間長く過ごすリビングなどには、直接光が長く入る南側を含め、1面以上に窓を設ける、天窓や高窓を作るなど、窓の配置や大きさを考えると共に、吹き抜けや中庭を設ける、南側のベランダや庇に反射させた光を奥まで導く、室内の壁の色を明るくして光が反射しやすい状態にするなどの工夫が必要です。
日射熱利用暖房
「日射熱利用暖房」は、冬に窓からできるだけ日射熱を室内に取り込み、その熱を蓄えて、主に夜間の暖房に利用するという技術。日射熱を取り入れる「集熱」、日射熱を逃さないための「断熱」、蓄える「蓄熱」の3つが実現できれば、室温の変動が小さくなり、快適性が向上します。暖房エネルギーが削減でき、省エネ性も高くなります。
気候風土や敷地条件をふまえてこそパッシブデザインは生かされる
地域や敷地によって求められる性能は異なるものです。夏暑く、冬の日射量が多い気候風土では、その特性をふまえた設計が必要だし、敷地にあわせて設計することが不可欠です。パッシブデザインの技術をただ取り入れても、快適で省エネな住宅になるとは限りません。重要なのは紹介した5つの要素をバランスよく取り入れることです。温熱計算や通風、日照シミュレーションを行いながら、気候風土や敷地ごとに緻密な設計することで、本当に快適で健康的で省エネな家が実現できるのです。
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