平屋は建築費が高くなる?おしゃれな平屋の実例を紹介
2024.07.17
2022.07.27
ワンフロアで生活が完結し、階段の上り下りがないため年を取ってからも暮らしやすいと人気の「平屋」。新築棟数自体は減少する一方で、平屋の棟数は年々増加しています。
国土交通省の建築着工統計調査によれば、2021年に着工した平屋(居住専用住宅)は全国で約55800棟で、建築総数に占める比率は12.4%。2012年の着工棟数と比較すると約1.8倍に拡大しています。
コロナ禍で在宅勤務が普及し、広い土地が手に入る郊外での暮らしを選ぶ人が増えたことや、少子化による少人数世帯の増加、また、将来を見据えた家づくりが広まる中で、若者世代のみならず、子どもが独立後のシニア世代による平屋への建て替えも増えているようです。
ですが、「敷地が広くないと建てられないのでは?」「2階建てよりも建築費が高くなるのでは?」といった不安の声もよく聞きます。憧れはあるけれど敷居が高いイメージがある「平屋」。この記事では実例を交えながら、実現のポイントを紐解いていきます。
本記事は、累計25000組以上の家づくりをサポートさせていただいた「家づくり学校」が執筆しています。
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平屋を建てる6つの理由
1.ワンフロアで家族がつながる
平屋ではリビングや水回り、寝室など、すべての空間がワンフロアにあるので、家族の存在を感じながら暮らせてコミュニケーションが取りやすいです。また、2階がない分、勾配天井で開放感のある空間を実現できます。
一方で、家族それぞれのプライバシーを守りにくい面も。ずっと心地よく暮らすためには、書斎や趣味空間、寝室の工夫など、一人の時間を持てる空間づくりも考えたいところです。建物の高さを利用してロフトを設け、多目的に使えるフリースペースにすれば、一人の時間を過ごす空間としても最適です。
2.デザインの自由度が高く、ストレスのない動線が作れる
2階以上の建物では、階段があることや上階の荷重に耐えられるよう柱や壁の位置を考えなくてはならないことから、どうしても間取りに制約がでます。平屋は1階のみなので、設計の制約がなく、ワンフロアなので各部屋のつながりや機能的な動線が作りやすくなります。上下の移動がないので、荷物の運搬や掃除が楽になり、ロボット掃除機も使いやすいです。
生活ストレスを減らすには、とにかく移動距離を短く、コンパクトにすること。例えば家の中をぐるりと回れる「回遊動線」。部屋と部屋の行き来にかかる時間が短縮でき、暮らしはより楽になります。
ちょっとした家事の手間や部屋の移動にかかる時間や動きづらさも積み重なれば大きなストレスになります。コロナ禍を経て、これまで以上に「家事が楽になる動線」「生活しやすい家」といった要望が大きくなっています。
3.室内と庭との一体感
コロナ禍の外出自粛を経て、ニーズが高まった庭やウッドデッキなどの屋外空間。平屋はリビングからウッドデッキやテラス、濡れ縁、土間などを介して外とつながる空間づくりがしやすく、室内と庭の一体感や開放感が生まれるのも魅力のひとつです。
外とのつながりがあることで、日々、景色に癒やされたり、四季の移ろいを感じたり、気軽にアウトドアを楽しめたりと、よりアクティブな暮らしが実現できます。
4.地震や台風に強い
平屋は2階以上の建物に比べて重心が低く、構造的にも安定しているので、地震に強く、台風時の風圧による揺れも少ないです。また、上部の荷重が屋根だけなので、構造への負担が少なく、広い空間や大開口も実現しやすいです。
5.メンテナンスコストを抑えられる
建てた後には外壁や屋根、太陽光発電設備などのメンテナンス、雨どいの掃除などが必要だが、平屋は高所作業の足場を組まなくてもよいため、メンテナンスコストも抑えられます。
6.家庭内事故のリスクが少なくずっと安心して暮らせる
家の中のけがの原因として多いのが、転落・転倒によるもの。特に階段は転落リスクが高いです。高齢者だけの問題ではなく、子どもや妊婦にとっても注意が必要な場所。平屋は階段がないため転落リスクを減らせ、年齢に関係なく体への負担が少ないです。また、将来、子どもが独立して夫婦だけの生活になったり、高齢の親と同居することになったりと家族構成が変わっても空間を無駄なく使うことができ、長く快適に住み続けられます。
また、全部屋が地面に近いので、災害や火災などの非常時に脱出しやすいというメリットもあります。一方で、河川のはんらんなどが発生した場合には2階へ避難することができません。土地購入の前にはハザードマップなどでエリアの災害リスクを確認することが必要不可欠です。
平屋に関するよくある疑問
将来を見据えた間取りで人気な平屋。ですがまだまだ平屋に対する敷居は高く、疑問点も多いのが現状です。ここからは、平屋に関するよくある疑問について解説していきます。
平屋は2階建てよりも高くなる?
同じ面積の家を建てる場合、2階建てよりも平屋のほうが基礎と屋根の面積が広くなります。そのため、坪単価としては高くなる場合が多いようです。
ただ、平屋の場合、2階建てでは必要な階段(階段を設けると上下階で約2坪分のスペースが必要)や廊下、2階ホールやトイレなどが省けて、コンパクトでも無駄なスペースがなく広く使えるため、総費用としてはそれほど変わらない場合も。
また、設計の工夫、設備や素材選びでコストを抑えることもできます。それでも平屋を建てるのが難しいケースでは、子供部屋だけを2階に配置する平屋風の2階建てを選択する人も増えています。
土地が広くないと平屋は無理?
すべての部屋をワンフロアに収めるためには必然的に2階建てよりも広い土地が必要。また、日当たりや風通し、プライバシーを確保するためには隣家との距離も重要で、その点でも広い方が設計しやすいのは事実です。また、庭との一体感や開放感を実現しようとすれば、庭の面積も確保しなければなりません。ただ、それほど広くない土地でも、建物をコンパクトにするなど、設計次第で平屋は建てられます。
土地探しの際には平屋を建てる前提で条件を見極め、購入前に必ず建築のプロに見てもらってアドバイスを受けましょう。
厳選!平屋での住まい
ここからは、実際に平屋で理想の住まいを手に入れられた方の実例をご紹介いたします。
景色と木の表情を楽しむ 端正な和の住まい
のどかな景色が広がる郊外にゆったりと佇む平屋。麦畑を臨む南側にリビングとウッドデッキを配置し、全開口サッシで内と外が一体となります。日々、自然を感じながら心豊かに暮らせる住まいです。
外壁は優しい風合いが魅力のシラスそとん壁に。
職人手作りの格子戸から心地よく風が抜け、柔らかな光がこぼれます。絶好のロケーションを生かしたふたつの大きな窓が、暮らしの質を高めます。
ステンレスのオープンキッチンを採用。ダイニングには大きなピクチャーウインドウを設け、のどかな田園風景を暮らしに取り込むことができます。
ランドリー、浴室、洗面、ウォークインクローゼットを一直線に配置。空間にゆとりを持たせているから、家事も身支度もストレスフリーです。
ご主人の趣味はサーフィン。駐車場から直接入れる専用部屋にはウエットスーツを洗える流しも設置しました。
室内への期待感を高める、上質な素材と大工技術で仕上げた玄関。光を部屋の奥まで届けられるよう、窓配置も緻密に計算されており、建具も光を通す素材で造作されています。
自然に寄り添い、生かすパッシブな平屋
大開口上部に開閉式の高窓を設けた変形切妻屋根が印象的な平屋。目の前の山の高さや時間ごとの日射角などを踏まえ、おひさまの恩恵を存分に受けられるよう、パッシブデザインに基づき建物や窓を配置。陽だまりのあたたかさに包まれます。
窓に向けて大開口を設けることで開かれた空間を実現。上部には開閉式の高窓を設け、平屋でも立体的な空気の流れをつくることで夏はこもった熱を排出し快適に。建具には光を通す素材を用い、取り込んだ太陽光を奥の部屋にも届けています。間取りはいずれ夫婦だけの暮らしになることを想定して計画されています。
キッチンから背後の洗面脱衣所、浴室、子供部屋への通路を回遊できる効率の良い動線で家事負担を軽減できます。
小上がりには吊押入れと引き出しを設け、リビング収納としても活用。大工が造作したカウンターは子供の勉強スペースにピッタリでキッチンからも様子が見守れます。
将来の暮らしやすさを見据えて、玄関、そして、その先のウッドデッキともフラットにつながるスロープを。手すりもつけ、小さなお子様にも安心です。
土間のあるリビングに集う平屋
ご夫婦こだわりの広い土間がある平屋。薪ストーブを囲んで家族が集まり、くつろげる空間になっています。老後の暮らしを考えた、生活動線、バリアフリー設計で、住むほどに愛着が深まる平屋です。
玄関から通り土間を経て、30帖の土間リビングへ。時にはテーブルを置いて薪ストーブを囲み、アウトドア気分も満喫できます。
❝かっこよくておしゃれな和室❞が暮らしの質を高めてくれます。
足をのばしてくつろげる掘りごたつは、家族の憩いの場です。
居室がワンフロアでつながる平屋ならではの動線設計です。
心を解き放つ中庭のある平屋
中庭のある住まいで家族団らんの時間を。家族がくつろげるシンプルな理想の平屋です。
外からの視線は遮り、光をしっかり取り入れるウッドデッキ。子どもを安心して遊ばせたり、家族でBBQをしたり、洗濯物も気兼ねなく干すことのできる奥様お気に入りの空間です。
憧れの平屋暮らし、実現への第一歩は?
いかがでしたか?平屋実現のポイントや設計のヒントをつかんでいただけたのではないでしょうか。
今回の記事を読んで、平屋についてもっと詳しく知りたい、平屋の事例をもっと見たいという方はぜひ家づくり学校をご利用ください。
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