家づくりに「相続時精算課税制度」を利用するには?
2023.10.25
2021.05.24
相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。これは国税庁の説明ですが、、わかりにくいですよね?
●STEP.1
受贈者(※1)が2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受けることができる
※1 受贈者とは「20歳以上の子または孫」のこと
●STEP.2
贈与者(※2)が亡くなった時に、この贈与された財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合計した金額から相続税額を計算して相続税を納税する
※2 贈与者とは「60歳以上の父母または祖父母」のこと
⭐年齢は、贈与した年の1月1日時点で判定します。
(例)
65歳の父親が、35歳の息子に2,000万円を贈与したとします(←贈与時の価額:2,000万円)
相続時精算課税制度を利用した場合、この時点で「贈与税」は発生しません。
その後、父親が亡くなり、その父親の相続財産が5,000万円あった場合(←相続財産の価額:5,000万円)
2,000万円+5,000万円=合計7,000万円に対して相続税額が計算されることになります。
贈与税を相続税のいわば前払い的なものとして、相続税の課税時にその精算を行う方式をとるところから「相続時精算課税制度」と呼ばれています。
⭐2,500万円を超えて贈与を受けた場合は一律20%の贈与税がかかります。
⭐2,500万円の非課税枠は、贈与者ごとに判断。
例えば、両親がそれぞれに一人の子どもに対して贈与をした場合
父→子どもに対して相続時精算課税制度を利用して2,500万円贈与
母→子どもに対して相続時精算課税制度を利用して2,500万円贈与
2,500万円+2,500万円=5,000万円まで「贈与税」は発生しません。
⭐1人の贈与者からの贈与額の合計が2,500万円になるまでは、何回贈与を受けても非課税
贈与税の場合、
最高税率が55%ととても高い税率です。
基礎控除の額も
相続税が、3,000万円+(600万円×法廷相続人の数)に対して、
贈与税は、年間110万円と小さいです。
生前に子どもに「土地を贈与したい」「家を建ててあげたい」と考えている方にとって、相続時精算課税制度はお得に使える制度と言えるかもしれません。
ですが、、
相続時精算課税制度には注意した方がいい点がいくつかあります。
✅相続時精算課税選択届出書を一度提出すると、撤回できません。
先ほど書いた贈与税の基礎控除額年間110万円も、それ以降ずっと適用されなくなります。つまり、相続時精算課税制度を利用した後は、年間110万円以内の贈与であっても税金がかかるようになるということです。
※ただし、年間110万円の贈与税の非課税枠となる「暦年贈与」が別の贈与者からの贈与であれば利用可能です。
(例)
父→子どもに対して相続時精算課税制度を利用して贈与 →暦年贈与は利用不可
母→子どもに対して相続時精算課税制度を利用していない →暦年贈与は利用可能
✅贈与された財産の時価が低下した場合には余分な税金を払うことになる
相続が発生した時に「贈与した時の価額(=相続時精算課税制度を利用した時の価額)」がそのまま相続財産として相続税の計算がなされるため、実際の相続まで待っていれば価値が下がっていたかもしれない財産を、価値が下がる前に贈与してしまうと、後で相続税の負担が重くなってしまいます。
反対に、将来値上がりが予測される「立地のよい土地」であれば、相続時精算課税制度を活用することで、相続が発生した際には値上がりをする前の評価額で相続税の計算を行うことができるため、相続税の負担を軽くすることができます。
✅小規模宅地の特例が使えなくなる
小規模宅地の特例とは、被相続人の住んでいた土地の評価額が相続時に80%まで減額されるもの。一定の要件はありますが、適用されると相続税を軽減することができます。ですが、相続時精算課税を適用して贈与を受けた場合、この特例を適用することができなくなります。
メリット・デメリットどちらもあり、本当にお得かどうかを見極めるのはかなり難しい制度ではないかと思います。ご利用をお考えの際には、専門家にご相談される方がいいのではないでしょうか?
相続時精算課税を選択した場合、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの贈与税の申告期間内に、贈与税の申告と一緒に「相続時精算課税選択届出書」の届け出が必要となります。
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