注文住宅の値上がりはいつまで続く?価格高騰時代の賢い家づくり
2025.02.05

近年、注文住宅の価格高騰が続いています。木材や鉄鋼、断熱材や配管部品など、住宅建築に欠かせないあらゆる資材が値上がりしており、家づくりを計画中の多くの方にとっては大きな課題となっています。
しかし価格高騰の背景を理解し、賢い家づくりをすることで、理想の住まいを実現できる可能性は十分にあります。
この記事では、注文住宅の価格高騰の原因、今後の見通し、そして価格高騰時代に失敗しない家づくりについて詳しく解説します。
この記事でわかること
- 注文住宅の価格が高騰している原因
- 注文住宅の価格高騰はいつまで続くのか
- 価格高騰時代に賢く家づくりをするための対策
本記事は、累計28,000組以上の家づくりをサポートさせていただいた「家づくり学校」が執筆しています。
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1.なぜ注文住宅の価格が高騰しているのか?原因を徹底解説
国土交通省が公表している「不動産価格指数」によると、注文住宅を含む戸建て住宅の価格は2020年頃を境に上昇傾向にあります。
特に大都市を中心に価格が高騰しているマンションと比べると上昇率は緩やかですが、2024年2月時点で戸建て住宅の不動産価格指数は、2010年を基準に114まで上昇しています。
※この指数は建売住宅や注文住宅を含む全体のデータですが、住宅価格全体が上昇している現状を反映しています。
続いて、実際に注文住宅を建てた方のデータをピックアップして、価格推移をチェックしてみましょう。住宅金融支援機構が実施しているフラット35利用者調査の直近10年分のデータを比較してみます。
出典:住宅金融支援機構 フラット35利用者調査 をもとに弊社で作成
2013年から年々価格は上昇傾向にありますが、「注文住宅のみ」「土地付注文住宅」ともに、2021年度から特に高騰しています。
2023年度の注文住宅の全国平均価格は3,861万円ですが、3年前の2020年度と比較すると、約300万円も価格が上がっていることになります。
住宅価格が上昇傾向にある背景には、以下の大きな3つの要因が複雑に絡み合っています。
- 資材・住宅設備の価格高騰
- 人件費の上昇と職人不足
- 土地価格の上昇
以下で詳しく解説します。
資材・住宅設備の価格高騰
最も大きな要因の一つが、建築資材や住宅設備の価格上昇です。その背景には、「ウッドショック」やロシアによるウクライナ侵攻の影響による建築資材不足、運搬にかかるエネルギー価格の高騰などが挙げられます。
また、住宅設備の価格上昇も、原油価格の高騰などが影響しています。たとえば、鉄鋼やアルミニウムの価格上昇は、構造材や住宅設備のコスト増加に直結しています。
上記のグラフは「日本建設業連合会」の調査です。建築資材の価格は2021年から急激に上がっていますが、これが家づくり全体のコストを大幅に押し上げる要因となっています。
人件費の上昇と職人不足
建設業界では深刻な人材不足が続いており、人件費の上昇を引き起こしています。高齢化に伴う技能労働者の減少や、若年層の建設業離れが主な原因です。
国土交通省が公表している『建設業を巡る現状と課題』によると、建設業の就業者数は1997年のピーク時から約30%減少しています。このような人材不足は、残業の増加や賃金上昇をもたらし、建築コスト全体を引き上げています。特に熟練工の不足は、工事の質と効率にも悪影響を及ぼしています。
さらに、物流業界でも人手不足が深刻です。ドライバーの高齢化や過酷な労働環境により若い世代の参入が減少し、物流コストが上昇しています。これに加え、eコマースの急成長による配送需要の増加も物流コストを押し上げており、建築資材の運搬費用にも影響を与えています。
土地価格の上昇
土地価格の上昇も住宅価格を押し上げる要因です。
特に都市部では住宅用地の需要が高まり、価格が継続的に上昇しています。人気の市街地では土地が市場に出るとすぐに売れる状況が続き、後発の土地ほど高値がつく傾向にあります。
また、建物の解体費用の上昇も影響しています。都市部で新たな住宅用地を確保する場合、既存の住宅を解体して更地にする必要があるケースが多く、解体費が土地価格に上乗せされることが少なくありません。その結果、買主が解体費を負担する場合でも、全体的なコストが増加し、住宅価格を引き上げる要因となっています。
2.注文住宅の価格高騰はいつまで続く?今後の予想
これまで解説してきたように、住宅価格は世界情勢などの影響を大きく受けるため、将来的な価格を正確に予測するのは困難です。
しかし現在の状況を踏まえると、注文住宅の価格が大幅に値下がりする要因は見当たらず、今後もしばらく価格上昇が続くという見方が一般的です。
もちろん、数年後に住宅価格が下がる可能性が全くないわけではありません。しかし、価格下落を期待して待つ間、現住居に対する不満を抱え続けたり、家賃を払い続けたりすることで、結果的に損をするケースも考えられます。
また、仮に住宅価格が下がったとしても、その時点で住宅ローンの金利が上昇していれば、総支払額が増えてしまう可能性も否定できません。
さらに、円安の進行も懸念材料の一つです。円安が進むことで輸入資材の価格が上がり、住宅価格がさらに上昇する可能性もあります。そのため、注文住宅の購入を検討している場合、円安がこれ以上進む前に決断することも一つの賢明な選択と言えるでしょう。
もし、現在の予算内で理想の注文住宅を建てられるのであれば、価格の値下がりを待つよりも、自分の理想の暮らしを早く実現することを優先したほうが良い可能性もあります。たとえ価格が上昇している状況でも、工夫次第でコストを抑える方法はあります。今できる範囲で、最適な選択を検討することが大切です。
「家づくり学校」では、一人ひとりに合った最適な家づくりの計画、無理のない予算立て、ぴったりの住宅会社のご提案・紹介を行っています。
安心で無理のない計画を立てて、賢く家づくりを進めていきましょう!
3.住宅価格高騰時代の失敗しない家づくり
住宅価格が高騰する中で、失敗しない家づくりを実現するためには、以下の4つのポイントを押さえることが重要です。
- 希望エリアを見直す
- 床面積を小さくする
- 断熱性能を高め光熱費などのランニングコストを下げる
- ローコスト住宅に安易に飛び込むのは危険
希望エリアを見直す
家づくりの費用は大きく、「土地代」と「建物代」の2つに分かれます。建物代が高騰している今、土地代を抑えることで全体の予算を調整しやすくなります。
たとえば、駅や商業施設から少し離れたエリアなどを選ぶことで、土地代を大幅に削減できる可能性があります。
特に郊外エリアでは、都市部に比べて土地価格の上昇ペースが緩やかで、場合によっては市街地の半分以下で購入できる場所も多く残っています。また、自然豊かな環境は、子育て世帯にとって市街地以上の魅力を持つ場合もあります。のびのびとした生活を重視するなら、郊外での暮らしを検討するのも一つの賢い選択です。
床面積を小さくする
建物代を抑えるには、床面積をコンパクトにするのが効果的です。
床面積を減らすことで、基礎工事や屋根工事といった高額な工事費を削減できるほか、内装材や外装材の使用量を減らしてさらなるコストダウンが可能になります。
断熱性能を高め光熱費などのランニングコストを下げる
住宅価格が高騰する現代では、断熱性能を高めた高性能住宅を選ぶことが長期的に見て経済的であると言えます。
家は建てた後もお金がかかります。
昨今、光熱費も年々上がっているため、イニシャルコスト(建築費)を抑えるために住宅性能を最低限にするのは危険で、結果的に光熱費や修繕費が増加し、総コストが高くなる可能性があります。
断熱・気密性能が高く、省エネ性に優れた住宅は、冷暖房費を抑えるだけでなく、耐久性が高く、外壁や内装のメンテナンス費用も抑えられます。長い目で見て高性能住宅はコストパフォーマンスが良い選択となるでしょう。
高気密高断熱住宅でどれぐらいの電気代が節約できるのかは以下のコラムで解説しています。
関連記事>>高気密高断熱住宅の電気代はどれぐらいかかる?エアコンの使い方・ライフスタイルをご紹介!
ローコスト住宅に安易に飛び込むのは危険
住宅価格が高騰する中、価格の安さから「ローコスト住宅」に目が向きがちですが、安易に選ぶことは避けるべきです。
ローコスト住宅は建築費用が抑えられている一方で、耐震性、耐久性、断熱性、省エネ性といった基本性能が低く抑えられているケースが多く見られます。
このような住宅を選ぶと、安価な建材や施工の影響で修繕費用がかさむ「メンテナンスコストの増加」、将来的な「資産価値の低下」といったリスクが生じる可能性があります。
また、夏の暑さや冬の寒さを防ぎきれない「住み心地の悪化」にもつながります。

図は真冬に撮影した断熱性能の低い住宅 足元を中心に温度が低く、寒さを防ぐことができない
家は人生で最も大きな買い物の一つです。短期的なコストのみに注目するのではなく、長期的な視点で住宅の性能や快適さを重視して選ぶことが重要です。
関連記事>>ローコスト(1,500~2,000万円)の注文住宅は危険?後悔しない会社選び
4.マイホームの購入はご状況に合わせて最適な決断を
これまでにご紹介してきたように、資材高騰や円安の影響などから、住宅価格が下がる見通しは今のところ立っていません。そのため「もう少し様子を見たほうがいいのでは…」と迷う方も多いのではないでしょうか。
将来的に住宅価格が下がる可能性があるとすれば、不景気によって住宅の売れ行きが悪くなり、建築会社が値引きをして販売する場合が考えられます。しかし、不景気になると個人の収入も停滞し、ボーナスの減少や消失といった影響で購入意欲自体が低下する可能性もあります。また、現在のインフレ傾向を受けて、住宅ローン金利が上昇するリスクも否定できません。
現状、日本の住宅価格には上昇を後押しする要因が多く存在し、待っている間にさらに価格が上昇し、結果として家を建てるタイミングを逃してしまう可能性があります。環境の変化に期待して希望的観測で待ち続けるよりも、「購入可能な今」を逃さず行動するほうが、結果的には賢明な選択といえるでしょう。
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