造作家具で理想の住まいを実現!メリット・デメリット、選び方を解説
2024.12.03
間取りや使い勝手、ライフスタイルに合わせて造り付ける「造作家具」。デザイン的にも機能的にもこだわりや想いを存分に反映させられるので、マイホームに対する満足度がアップします。
この記事では、そんなオリジナリティーあふれる造作家具を取り入れる際のポイントや注意点、メリット・デメリットをご紹介します。
買い替えることができないからこそ、しっかりと計画を立てて、使い勝手のよいこだわりの造作家具をつくりましょう。
この記事で分かること
- 造作家具のメリット・デメリット
- 造作家具を依頼するときのポイント
- 造作家具の実際の施工事例
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1.造作家具の4つのメリット
「造作家具」とは、住まいの空間やライフスタイルに合わせて、一つひとつオーダーメイドで制作される家具のことです。
既製品の家具とは異なり、部屋の寸法や形状、収納したいもの、理想とするデザインに合わせて、自由に設計・製作することができ、自分だけのオリジナル家具を作ることができます。
そんな造作家具にはさまざまなメリットがあります。
- 空間を無駄なく使える
- 使い勝手がよくなる
- 好きなデザインにできる
- 耐震性が高くなる
以下、主な4つのメリットを解説します。
①空間を無駄なく使える
間取りに合わせた寸法で家具を設置すれば、既製品の置き家具を配置する場合よりも圧迫感が抑えられ、広々とした空間をつくり出すことができます。
「デッドスペース」と呼ばれる構造上や設備設置でやむを得ず発生してしまう空間にも、造作家具なら収納量を増やせたり、新たな一室をつくれたりと有効な活用が可能になります。家事動線を意識して、使う場所ごとに収納を設けておくのは収納術の鉄則です。
また、ぴったりと空間に収まった家具は埃が溜まりにくく、掃除がしやすいという面もあります。
②使い勝手がよくなる
置きたい場所の幅や高さにぴったり合う家具を探すのはなかなか難しいでしょう。ましてや、その家具が自分たちにとって使いやすいものであるかどうかは店頭やウェブサイトで見ただけではなかなか分かりません。造作家具であれば、設置する空間、使い手、ライフスタイルなどに合わせてジャストサイズの設計ができます。
例えば、自分たちの背の高さに合わせてキッチンの天板や吊り戸棚をつくれば、体に優しく作業効率もアップ。造作家具は、家事や生活を楽にしてくれる機能的な要素も持っています。
③好きなデザインにできる
内装は自分たちの好みのデザインで仕上げたのに、後から持ち込んだ家具のせいで雰囲気が台無し…ということもよくあります。造作家具なら好きなテイストやデザインに合わせて、木材の材質や色みなどもオーダーメードできます。それにより、空間全体、家全体に統一感や調和が生まれ、より自分たちらしい住空間をつくり出すことができます。家具そのものが家の一部として溶け込み、暮らしに豊かさをもたらしてくれるでしょう。
また、イメージに近い家具を探し回る手間が省け、引き渡し後すぐに生活できるというメリットも。新居に家具が入らないという失敗もありません。
④耐震性が高くなる
地震対策により耐震性能に優れた住宅が普及し、建物自体が倒壊する危険性は近年低くなっています。しかし、家の中はどうでしょうか。固定されていない家具は震度6 弱以上で転倒するとされており、それらの下敷きになって動けなくなることや、通路がふさがって脱出できなくなることは相変わらずリスクとして存在します。そのため、大型家具の配置や設置方法には注意が必要になります。
壁に直接取り付けることがほとんどの造作家具なら、地震の揺れによる移動や転倒、落下のリスクを抑えられ、安全性の高い住まいにできます。
3.造作家具の3つのデメリット
造作家具は、自由度の高い家具として人気ですが、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが大切です。主なデメリットとしては以下の3つが挙げられます。
- 費用が高くなる傾向にある
- 時間と手間ががかかる
- 変更が難しい
順に解説していきます。
①費用が高くなる傾向にある
造作家具は、既製品の家具とは異なり、一から設計・製作するため、材料費や人件費がかかります。特に、特殊な素材や複雑なデザインを選択した場合、費用はさらに高額になる可能性があります。
また、設計変更や追加工事が必要になった場合も、追加費用が発生することがあります。
関連記事>>造作家具にかかる費用は?失敗しないための注意点
②時間と手間ががかかる
造作家具はオーダーメイドのため、設計から製作、設置まで、通常の家具と比べると一定の期間を要します。特に複雑なデザインの家具の場合、打ち合わせなどで作業が遅れる可能性があります。
③変更が難しい
一度設計が確定すると、変更を加えるのが難しく、変更する場合、追加費用が発生する場合があります。これは、造作家具がオーダーメイドであるため、設計図に基づいて製作されるためです。
また、一般的に壁に取り付けられるため、間取りの変更や引っ越しによる撤去はできません。ライフステージやトレンドに合わせた模様替えには不向きなので、長期的な視野を持って、必要であるかどうかを判断しましょう。
4.造作家具の完成までの流れとポイントを解説
ここでは、造作家具の完成までの流れと、それぞれの工程におけるポイントをご紹介します!造作家具を取り入れようとご検討の方はぜひ参考にしてみてください。
①打ち合わせ
住宅会社と行う間取り設計打ち合わせのタイミングで、造作したい箇所も決めていきます。大切なのは、契約前の見積もり段階で造作家具の希望を伝えておくこと。そうすれば、建築費用のうち造作がどれくらいのコストを占めるのか見積もりの段階で把握できて予算オーバーも防ぐことができます。
要望を伝える際には、具体的なイメージが共有できるとスムーズ。事前に写真などの資料を集めておくようにしましょう。
ポイント
造作家具は一度作ってしまうと、移動させたり撤去したりができないため、子どもの成長やライフスタイルの変化など将来的な間取りや動線も見据えて考えることが大切。また、全てを造作にするのではなく、置き家具とのバランスや使い分けも決めて、予算を見ながら優先順位をつけよう。
②設計
建築のプロが、使いやすさやスムーズな生活動線、暮らし方などを考えて設計。もちろん、施主の要望するデザインやインテリアとの統一感も考慮してくれます。
こんな要望を伝えておくとスムーズ!
- 持ち物のサイズ、容量
- 使いたい収納ケースのサイズ
- 置きたい電化製品
- 使用者の身長
③設計図確認
作成された設計図をもとに、すり合わせを行います。(この時、別途造作家具の図面を作成してくれる場合もあります。)要望がきちんと反映されているか、イメージのギャップはないかをしっかりチェックしましょう。
ポイント
図面の見方や専門用語が分からないといった困りごとはそのままにせず、疑問点はその都度質問して、内容を吟味できるようにしましょう。
造作家具は最終的な仕上がりが想像しにくいため、「思っていたものと違った」とならないようにするこのフェーズが一番の肝。素材のサンプルチェックは、大きいもので行う方がイメージしやすいです。
④造作工事
設計図をもとに大工による造作工事がスタート。壁下地の補強をして、材料加工・組み立てを行います。特殊な部材を使うときは取り寄せの日数が生じるため、スケジュールにはある程度のゆとりを見込んでおく必要があります。
ポイント
造作家具の施工には「大工工事」と「家具工事」の2 種類があります。
「大工工事」とは、大工が現場で加工や取り付けを行うこと。家全体の雰囲気を見ながらつくり上げていくため統一感が生まれ、その場で微調整も可能です。技術力の高さはもとより、材質の見極めなどの専門性も要するため、大工の腕による差異が生じやすいと言えます。
一方、「家具工事」は造作家具屋や建具屋が主に作業場で製造し、現場で組み立てます。家具のプロフェッショナルならではの精度や素材・色みのバリエーションが期待できるでしょう。ただし、搬送や据え付けの工事費用がプラスでかかることもあるので注意が必要です。
⑤現場確認
造作工事完了後、現場監督が設計図に基づき、仕様や納まりを確認します。
まさかの!?造作家具失敗談
造作家具を作って失敗してしまったという事例を紹介します。
- デザインが気に入って決めた水栓+ボウルだけど、実際使ってみると子どもが手洗いしにくかった。毎日床も台もビチャビチャ… (Yさん)
- パントリーの棚の奥行きが深すぎて、出し入れが毎日ストレス!深さがある方がたくさん置けてよいと思っていたけど、取り出しやすさまで考えていなかった (Kさん)
- せっかくスタディースペースをつくったのに、机の幅が狭すぎてキーボードが置けないという恥ずかしい事態に。しかもプリンターも置けない…そこに置く物や座った時の作業のしやすさを考えておけばよかった! (Mさん)
⑥施主確認
工事完了後に造作箇所をチェック。イメージ通りの仕上がりになっているかどうか、使用時の動作を意識しながらしっかり確認しましょう。ケースなど実際に置く予定のものを持参してみるのも〇。
ポイント
造作工事に立ち会ったり、工事直後に現場に足を運んだりするのもおススメです。イメージとの違いや使い勝手の悪さなど、気になる箇所を早期に発見できるからです。
ビスの止め忘れや緩みはないか? 用途や素材に応じてしっかり固定されているか? などガタつきや納まりなど、見た目だけでなく建てつけの確認も忘れずに。引き渡しのタイミングでは変更できずに、追加料金と引き渡し延長が生じるケースもあるため、入念なチェックが大切になります。
5.こだわりの造作家具の施工事例を紹介!
ここでは、造作家具を随所に取り入れたAさん邸の施工実例をご紹介!間取りや、家具ごとのこだわりを解説します!
Aさんは工務店と何度も打ち合わせを重ね、上棟時にも大工と話し合って、家族の使い方に合わせて寸法や高さを細かく調整したそうです。家具や棚をほぼ全て造作したことで、さまざまな素材や質感を楽しめて、家族の暮らし方にぴったり合う家になりました。
住まいのデータ
- 完成日: 2023年3月
- 家族構成: ご夫婦、お子さま2 人
- 建物面積: 107.64㎡(32.56坪)
- こだわったところ:無垢の下がり天井、アールの壁
- 床の素材 : オーク
- 棚の素材: パイン
- タイル(洗面): 「名古屋モザイク工業」モロッカンリーフ
- 塗装: オスモクリア塗装
間取り
茶色部分が造作家具の位置になります。
造作家具の本棚
2階フロアの壁一面を本棚に。前には家族のスタディースペースを設けて。使い勝手を計算した造り付けに試行錯誤したそうです。
ファミリークローゼット
ハンガーパイプと突き当たりに布団などの大物が置ける棚を造作。
洗面室
タイルやモルタル選びまでAさんのセンスを取り入れた洗面台。壁面には葉形のユニークなモザイクタイルを丁寧に張り付けました。
階段
上がりやすさだけでなく、リビングとのなじみも考えられた階段。段下にはロボット掃除機を置くために、コンセントも設けられています。
玄関
垂れ壁は全てアールで統一。ニッチの飾り棚を設けることで、玄関入ってすぐにはLDKが見えないようになっています。
LDK
電子ピアノが置ける棚や絵本が飾れるニッチなど、家族の暮らしを彩る造作が満載です!
6.まとめ
造作家具は、まるでオーダーメイドのスーツを仕立てるように、住まいの空間にぴったりとフィットする家具を創り出すことができます。既製品では実現できない、自由なデザインと高い機能性で、理想の住まいを実現することができます。
しかし、費用や時間、移動ができないといったデメリット・注意点も存在します。賢い家づくりをするには、まず自分たちがどんな家づくりをしたいかをしっかりと決めるところからがスタートです。
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