「リバースモーゲージ型住宅ローン」って、何?
2024.07.17
2023.04.05
60歳からの住宅ローン【リ・バース60】というCMを目にされたことはありませんか?
【リ・バース60】は、住宅金融支援機構と提携する金融機関が提供する住宅に関連する使途のみに利用が可能な『リバースモーゲージ(=不動産活用型ローン)』の一つです。
■「リバースモーゲージ」とは?
自宅を担保に借り入れをするローンのこと
債務者(借りた人)が死亡したときに担保となっていた不動産を処分し、借入金を返済する
その間、債務者は持ち家に住み続けることができる
毎月の返済は、利息のみの支払いでOK
借入れした資金の使い道は、基本自由。生活資金などにも利用できる
このようなリバースモーゲージをベースに、
利用用途を住宅関連のみに制限したものが「リバースモーゲージ型住宅ローン」です。
利用用途としては、
・建て替え
・住み替え
・リフォーム
・サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金
・既存の住宅ローンの借換え
などがあります。
※住宅ローンが残っている場合においても、リバースモーゲージの利用は可能です。
リバースモーゲージ型住宅ローンの利用条件
リバースモーゲージ型住宅ローンの中には、
★住宅金融支援機構と提携して貸付を行うもの
★金融機関独自で行うもの
があり、それぞれに要件が異なります。
まずは一般的な共通点をおさえておきましょう。
■利用できる人
申込時、満50歳以上の方(ご本人、配偶者ともに)
公的年金等の安定的な収入のある方
住宅金融支援機構の住宅融資保険の付保承認が受けられる方
債務者がご融資の対象となる物件(自宅)の所有権を有していること
■借入できる金額
100万円以上、かつ下記①~③のうち最も低い金額
①8,000万円
②住宅建設・購入の所要資金、またはリフォーム工事費用、入居一時金の額の100%相当額、借りかえ資金の場合は既存の住宅ローン残高
③担保不動産の評価額の60%(担保不動産が長期優良住宅の場合は65%)※本人、配偶者の両方またはいずれかが60歳未満の場合は担保評価額の30%
■借入期間(契約満了日)
原則として、債務者、連帯債務者、連帯保証人全員が亡くなるまで
※相続人等への債務継承はできない
※配偶者は「連帯債務者」もしくは「連帯保証人」になることで、債務者が亡くなった後でも自宅に住み続けることができる
■返済方法
元金は、担保不動産の売却代金等による一括返済もしくは現金一括返済
毎月の支払いは利息のみでOK
■金利
2.5%~3.0%(金融機関によって異なる)
基本は変動金利型
※固定金利型を取り扱っている金融機関もあるが、変動金利型より金利が高い
※金融機関によっては条件を満たせば、割引金利が適用される所もある
■その他
事務手数料:110,000万円(税込)
※抵当権設定費用等は自己負担
団体信用生命保険:加入なし
火災保険:基本は加入が要件
リバースモーゲージ型住宅ローンには2つのタイプがある
リーバースモーゲージ型住宅ローンを利用することで、老後の暮らしをより充実したものにできそうですが、もし、担保にしていた自宅の価値が下がり、売却しても元金全額を返せなかったら・・どうなるのでしょうか?
(例)
自宅を担保に、1,500万円を借り入れた
↓
利用者が亡くなった後の自宅の売却金額が、1,200万円だった
↓
借りたお金(元金)を全額返済するためには、あと300万円足りない
こういう状況になったら、残されたご家族に迷惑がかかってしまうかも・・と考えると、心配ですよね。
このようなケースを考えて「リバースモーゲージ型住宅ローン」には2つのタイプがあります。
①リコース型
相続人がローンの不足分(残債)の返済をする必要がある
→例えば、
借りたご夫婦に子どもがいた場合、子どもに債務が残り、残債を一括返済する必要があります。
②ノンリコース型
ローンの不足分(残債)があっても相続人が返済する必要はない
→例えば、
借りたご夫婦に子どもがいた場合でも、子どもに債務が残ることはありませんので、返済の必要はありません。
「ノンリコース型」は「リコース型」と比べて、
借入金利が高い
融資限度額が低くなる可能性がある
などのデメリットもあります。
また、返済が不要となる部分については、債務免除益とみなされ、所得税等が課税される可能性があるので注意が必要です。
では、反対に担保にしていた自宅の価値が上がり、売却した金額が借り入れた金額を上回った場合は、どうなるのでしょうか?
↓
この場合、上回った余剰金は相続人が受け取れます。
ただし、売却益が譲渡所得となり、所得税等が課税される可能性があります。
現在、利用者の約99%が「ノンリコース型」を選択されています。
リバースモーゲージ型住宅ローンを利用するならココに注意!
現在、様々な金融機関がリバースモーゲージ型住宅ローンの取り扱いを始めています。
そして多様なニーズに対応して様々なタイプの商品が展開されています。
検討する際には以下の点をチェックしてみましょう!
契約終了日をチェック
契約期限が設けられているタイプがあり、その場合、契約者の生存中に元金と利息を一括で返済しなければならなくなる可能性がでてきます。
✓契約終了日が「契約者が亡くなった日」に設定されているローンを検討してみましょう
不動産評価見直しの有無
金融機関によっては、数年ごとに担保評価の見直しが行われる所があります。その場合、担保資産の価格下落によって、急遽返済を迫られる可能性がでてきます。
✓担保評価の査定が申込時の一度だけとしている金融機関を検討してみましょう
その他の留意点と確認事項
□一定の担保評価額が見込める地域に限定されていることがあるため要確認
□融資対象の住宅が新耐震基準相当の耐震性を有することが要件になっていることがあるため要確認
※原則として法定相続人の承諾が必要
※年1回程度、金融機関より現況確認が入る
まとめ
「毎月の返済が利息分のみ」「自宅に住み続けたまま融資を受けることができる」などのメリットがあるリバースモーゲージ型住宅ローンを活用することで、資金的余裕を持ちながら「老後の暮らしを充実させたい」「健康のためにも快適な家で暮らしたい」といった希望を叶えることは十分に可能です。
ですが、残された親族に不動産を残すことができないというデメリットもあります。
リバースモーゲージ型住宅ローンの利用を検討する際は、家族とよく相談し、メリットとデメリットをしっかりと理解したうえで契約することが何よりも大切です。
「相続人がいない」あるいは「自宅を残す必要がない」などといった人にとっては、充実した老後のためにリバースモーゲージ型住宅ローンの活用を検討してみるのもいいかもしれません。
利用する際は金融機関選びが重要となってきます。
商品やサービスを見比べて、家族とよく話し合って、豊かな老後を過ごすことができる最適な商品をぜひ見つけていただきたいと思います。
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