住宅ローンの「ボーナス払い」って、どうなんですか?
2023.10.25
2022.06.15
住宅ローンのプランを考えていく中で「ボーナス払いって、どうなんですか?」「ボーナス払いは絶対にしない方がいいと聞くのですが…本当ですか?」「ボーナス払いをすると損なのですか?」という質問がよく出ます。ボーナスが出る方にとって気になるポイントですよね?
住宅ローンの返済方法には「毎月払い」のほかに、毎月の支払いにボーナス分を上乗せして支払う「ボーナス払い」(正式には「ボーナス併用払い」)があります。金融機関によっては「ボーナス時返済」「ボーナス時加算」「半年ごと増額返済」など色々な呼ばれ方をしていますが、基本的には同じです。
✅「ボーナス払い」とはどのようなものなのか、見ていくことにしましょう。
「毎月払い」 →毎月の収入から支払いをする返済方法(年12回の支払い)
「ボーナス払い」→毎月の収入からの支払いに加えて、年に2回のボーナスからも支払う返済方法(年12回の支払い+年2回の支払い)
ボーナス払いの返済額は、住宅ローン契約時の借入総額に対する割合で決めます。どのくらいの割合までボーナス払いにすることができるかは金融機関によって異なりますが、上限は40%~50%というのが一般的です。
例えば、借入総額:4,000万円のうち20%をボーナス払いにした場合、元金の割り当ては次のようになります。
年12回支払う毎月返済分の元金:3,200万円
年2回支払うボーナス返済分の元金:800万円
この金額を並行して支払っていくというイメージです。
ボーナス払いのメリットは?
⭐毎月の支払い額を少なくできること
ボーナス併用払いの最大のメリットは、毎月の返済額を安く抑えられることです。毎月のローン返済が減れば、それだけ生活にゆとりがでて楽になりますよね。
どのくらい違うのか、試算してみますね。
(例)
借入総額:4,000万円
借入期間:35年間
返済方法:元利均等
金利 :年1.50%
ボーナスの併用なし
毎月返済分:4,000万円→月々の返済:122,473円
ボーナスの併用あり(ボーナス割合20%)
毎月返済分:3,200万円→月々の返済:97,979円
ボーナス返済分:800万円→ボーナス返済:147,317円
ボーナスの併用あり(ボーナス割合40%)
毎月返済分:2,400万円→月々の返済:73,484円
ボーナス返済分:1,600万円→ボーナス返済:294,634円
※ボーナス返済がある月は、毎月返済分とボーナス返済分の合計額を支払うことになります。
ボーナスの割合をどのくらいにするのかによって違ってきますが、このようにボーナスのタイミングで普段より多く返済することで月々の返済額を抑えることができています。
✅ボーナス払いを併用して返済する場合、支払利息はどうなるのでしょうか?
ボーナスの併用なし
毎月返済分:4,000万円→総返済額:約5,143万円(利息:1,143万円)
ボーナスの併用あり(ボーナス割合20%)
毎月返済分:3,200万円+ボーナス返済分:800万円→総返済額:約5,146万円(利息:1,146万円)
ボーナスの併用あり(ボーナス割合40%)
毎月返済分:2,400万円+ボーナス返済分:1,600万円→総返済額:約5,148万円(利息:1,148万円)
ボーナス払いの割合が高いほど毎月の返済額は小さくなりますが、その分元金が減るペースが遅くなるため総返済額額は増加します。
ボーナス払いのデメリット
⭐支払総利息が増える
⭐ボーナスは不安定な収入
ボーナス払いの最大のデメリットは、ボーナスが支給されなかった、あるいは減額されてしまった場合、ローンの返済が厳しくなる可能性があるという点です。勤務先から支給されるボーナスは、会社の業績に連動していることが多いため、ボーナスは業績によって支給額が変動するリスクがあり、それがローン返済に影響を及ぼすということです。
比較的ボーナスが安定している公務員や、ボーナス減となっても十分に支払っていける収入のある人であれば、このデメリットはそれほど気にしなくてもよいかもしれません。
⭐大きな出費が伴うイベントが制限される
本来ならボーナスから支出する予定だった旅行などのイベントや大型家電の買い替え等が、住宅ローンの支払いがあるためにできなくなる可能性も出てきます。そのため、大きな出費の予定がある場合、毎月の計画的な貯蓄が必要となってきます。そうなれば、毎月の生活費に影響を及ぼすこととなり、毎月のローンの負担減のメリットが薄らいでしまうことになるかも・・・
ボーナス払いの留意点
⭐ボーナスに頼り過ぎない
ボーナス払いを利用する場合でも、ローン借入額に占めるボーナスの割合を低くしておけば、ボーナスの減額等の影響は少なくてすみます。
【※危険】ボーナスに頼ったローンは絶対NG!
ボーナス払いにおいて最も危険なのは、「ボーナス払いを併用して月々の返済額が抑えられたから、ようやく支払える金額のローンを借りること」つまり、ボーナスを併用しなければ返済できないほど余裕のない家計の人が、ギリギリの予算を確保するためにボーナス払いを利用することです。この借り方だけは、絶対にNGです!
✅借入後にボーナスの併用払いを止める等の変更はできる?
住宅ローンの返済は長期間続きます。当初はボーナス払いを利用して住宅ローンを借りたけれども、ボーナスからの支払いの継続が難しくなるということがあるかもしれません。反対に、ボーナス払いの金額をもっと増やしたいということがあるかもしれません。そんな時は、まず金融機関に相談してみましょう。
多くの金融機関ではボーナス払いについて次のような変更ができます。
●ボーナス払いの有無の変更
●ボーナス払いの割合の変更
●ボーナス支払い月の変更
※変更できる内容は、金融機関や住宅ローン商品の種類によって異なりますので確認が必要です。
※金融機関によっては所定の手数料が必要だったり、審査によっては要望が受けられなかったりするケースもあります。
ボーナス払いを利用する際には、そのデメリットとリスクをしっかりと理解して利用していただきたいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=GwnAD3C-D6c