【リフォーム】トイレは命を支える要のお部屋
2023.09.16
2019.09.20
水周りの設備は約30年でリフォームが必要と言われます。そろそろトイレの交換時期かな?実家のは和式で高齢の両親のために洋式便器に変えようかしら?とお考えの方に、少しヒントになる情報です。
先日、英国の美術展で設置されていた「黄金のトイレ」が盗難被害に遭ったとの報道がありました。時価500万ドル(約5億4000万円)超!!のトイレだそうで、その使用感はさぞやハイグレードなことだろうと想像します…いや、むしろ落ち着かないでしょうね(笑)「黄金のトイレ」は極端な話ですが、みなさんの自宅のトイレは本当に自分に合った物でしょうか?たかがトイレ、されどトイレ。なかなか侮れないおトイレ事情です。
ADL(Activities of Daily Living):日常生活活動を考察
ADLとは、一人の人間が独立して生活するために行う基本的かつ、毎日繰り返される一連の身体動作をいいます。この動作は、食事・排泄・入浴・整容などの目的を持った動作です。では、ADL「排泄活動」がどこから始まり、どこで終わるかというプロセスを確認してみましょう。
この様に考察すると案外アクション項目が多いのです。
排泄をスムーズに行うには姿勢を整える必要があります
腹圧がかけやすく、座圧の軽減、直腸・肛門角の鈍角化、肛門周辺の露出に排泄のしやすさのポイントがあります。そして、踵(かかと)が床にしっかりと着くことや前傾姿勢が取れることも重要です。さらにスムーズな排泄ができる姿勢には便座の座面高さが重要になります。「踵がしっかりと着く」ことで、座位下腿長(ざいかたいちょう)高さが座面の高さに合わせる必要があります。座位下腿長は人間工学では、身長の25%程度と言われ、しっかり床に着く必要から、座位下腿長より便器座面の高さの方が1cm程低い方が良いのです。現在、市販されている洋式便所の座面高さは概ね40cmとなっています。ということは…
(身長×25%)-1cm=40cm ∴身長=(40cm-1cm)÷0.25=164cm
この計算から、一般的な便器は身長が164~170cmの人に理想的な座面高さで製作されているといえます。逆に言えば、身長164cm以下の人には座面が高すぎるとなるのです。そして高齢者男性の平均座位下腿長は38.9cm、高齢者女性は36.9cmと言われます。高齢男性の理想の高さより2cm高く、女性にいたっては4cm高いのです。すると、高齢女性にとって”洋式便器は使いづらい”となるのです。
この現象は高齢者だけの問題ではなく、「身長」という枠組みから一般的な問題でもありますが、あまり重要視されていません。実は、筋力(腹筋や背筋)が問題点をカバーしているのです。しかし加齢とともに全身の筋力が低下し、不安定な姿勢で息むことが難しくなると、スムーズな排泄ができなくなります。しかも老化は徐々に進むので、それを自覚することが少ないのです。
便器の座面を使う人に合わせることが理想ではありますが、物理的に難しいですね。そこで、姿勢保持用の手すりの設置が必要となります。手すりは大きく分けて2種類「座位保持用」と「前傾姿勢保持用」です。最近は立ち上がりをサポートしてくれる便座など、優れた商品もあったりします。みなさんが今使っている便器の高さを改めて測定してみると、自分に合った物かどうか知ることができますよ。
ご高齢の方にとって”バリア”となる障害物
便器以外にも障害は他にもいくつかあります。便所が寒い、跨ぐ・段差を昇降する動作があるなど。するとトイレに行くのが”おっくう”になり、排泄回数を減らす努力をします。水分摂取量を減らすなどです。その結果、血管の動脈硬化につながり「心筋梗塞・脳梗塞」を引き起こすのです。(食生活面の要因もあります)つまり、高齢者の身体機能の低下に住環境が対応できず”バリア”となって現れます。トイレは命と直結していると言っても過言ではないのが分かりますね。
この記事を書きながら、海外旅行に行った時に便座が高くて足が全く床に着かず、ぶらんぶらんした事を思い出しました。身長差のあるご夫婦や小さなお子さんがいたり、家族にご高齢の方がおられたりと、体格・体力は様々です。自動で座面高さが調整できる商品が開発されたら大ヒットするかもですね!
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