2022年10月【フラット35】が大きく変わります!【フラット35】を賢く使うコツとは?
2024.06.26
2022.09.01
2022年10月以降【フラット35】が大幅改正されます。その改正によって何が変わるのか?これから住宅ローンを組む人が知っておくべきこととは?改正のポイントについて解説します。【フラット35】は全期間固定金利型のみと、とてもシンプルな仕組みの住宅ローンでした。ところが、新しく制度を追加するたびに複雑になり、わかりにくい制度となってきているように感じます。そんな【フラット35】を賢く使いこなすコツ、注意点などをみていきましょう!
2050年カーボンニュートラルの実現という目標を踏まえ、住宅分野においても省エネ性能の向上の取り組みが進められています。独立行政法人である住宅金融支援機構は【フラット35】を通じて、脱炭素社会の実現のために2022年10月、2023年4月と段階的に省エネ基準の見直しを行う予定です。
2022年10月以降の【フラット35】改正のポイントは?
脱炭素社会の実現に向けた省エネ基準の見直し
⭐【フラット35】S(ZEH)を新設
ZEH(ゼッチ)とは?
建物本体の性能を上げる:断熱性や気密性の高い住宅で省エネを実現
再生可能エネルギーの導入:太陽光発電等でエネルギーをつくる
それにより年間のエネルギー消費量を全体でゼロにすることを目指した住宅のことです。
★2022年3月末まで
通常の【フラット35】に加えて一定の性能をクリアした住宅を取得する場合に利用できる【フラット35】Sがあり、Aプランであれば当初10年間、Bプランであれば当初5年間、金利を年0.25%引き下げることができます。
★2022年4月の制度改正で
現行制度に加えて【フラット35】維持保全型が始まりました。維持保全・維持管理に配慮した住宅や既存住宅の流通に資する住宅を取得する場合、【フラット35】の借入金利を当初5年間年0.25%引き下げることができます。
★2022年10月以降
さらに【フラット35】S(ZEH)が加わり【フラット35】の金利を当初5年間は年0.5%、6年目~10年目は年0.25%引き下げることが可能になります。
✅ポイント
断熱等性能等級5をクリアする必要がある
原則として、適合証明検査においてBELS評価書の提出が必要
※ZEH Oriented又は ZEH-M Orientedを利用する場合は、BELS評価書によらず設計内容説明書、計算書等の提出も可能とする予定(ただし設計検査は必須)
⭐【フラット35】Sの基準の見直し
2022年10月設計検査申請分から、フラット35S等の基準が見直されます。
【フラット35】Sを利用するためにはフラット35の技術基準を満たすことに加えて、以下の4つの分野の中の基準のいずれか1つ以上を満たす必要があります。
①省エネルギー性:高い水準の断熱性などを実現した住宅
②耐震性:強い揺れに対して倒壊、崩壊などしない程度の性能を確保した住宅
③バリアフリー性:高齢者の日常生活を行いやすくした住宅
④耐久性・可変性:長期優良住宅など、耐久性を有し、長期にわたり良好な状態で使用するための措置を講じた住宅
✅強化される基準は?
①省エネルギー性を強化
■新築住宅・中古住宅 共通
・『ZEH』等住宅が新設されます
■新築住宅
・金利Aプランの基準
断熱等級5&一次エネルギー消費量等級6
・金利Bプランの基準
断熱等級4&一次エネルギー消費量等級6
断熱等級5&一次エネルギー消費量等級4又は5
■中古住宅
・金利Aプランの基準
断熱等級4&一次エネルギー消費量等級6
断熱等級5&一次エネルギー消費量等級4又は5
③バリアフリー性を強化
■中古住宅
・金利Bプランの基準
高齢者配慮等級2
✅緩和される基準は?
②耐震性を緩和
■新築住宅
・金利Aプランの基準
耐震等級3(構造躯体の倒壊等防止)or 免震建築物
■中古住宅
・金利Aプラン
耐震等級2以上(構造躯体の倒壊等防止)or 免震建築物
③バリアフリー性を緩和
■中古住宅
・金利Aプラン
高齢者配慮等級3以上
④耐久性・可変性を緩和
■中古住宅
・金利Aプラン
長期優良住宅(維持保全計画認定を含む)or 劣化対策等級3 & 維持管理等級2以上等
*【フラット35】S(金利Bプラン)のうち、中古タイプ基準のバリアフリー性(手すり設置および段差解消)は廃止されます。
既存住宅の流通促進を図るため、中古住宅の(金利Aプラン)は省エネルギー性以外の基準が緩和されています。それにより、新築時フラット35S(金利Bプラン)に該当した住宅を中古住宅として購入する際には、フラット35S(金利Aタイプ)が適用されるようになります。
※ZEHや国が定める住宅の省エネルギー基準等、関連する技術情報についてご紹介する省エネポータルサイトはこちら
金利引き下げ制度をわかりやすくシンプルに
⭐性能等に応じた「ポイント制」の導入
2022年10月借入申込受付分から【フラット35】は、新金利引き下げ制度「ポイント制」に見直しになります。
✅ポイント制とは?
STEP.1
下記3つのメニューから条件に該当する住宅にポイントを付与
①住宅性能
②管理・修繕
③エリア
※【フラット35】地域連携型についてはこちら
※【フラット35】地方移住支援型についてはこちら
STEP.2
ポイントの合計数によって
金利引き下げ期間
金利引き下げ幅
が決まる制度
■獲得した合計ポイントによる金利の引き下げ期間&引き下げ幅は原則4パターン
1ポイント → 当初 5年間 ▲年0.25%
2ポイント → 当初10年間 ▲年0.25%
3ポイント → 当初 5年間 ▲年0.5%、6年目~10年目 ▲年0.25%
4ポイント以上 → 当初10年間 ▲年0.5%
例えば、新築した住宅が下記の条件に該当した場合
①住宅性能:ZEH →3ポイント獲得
②管理・修繕:長期優良住宅 →1ポイント獲得
合計4ポイントを獲得します。
結果、当初10年間 ▲年0.5%の金利引き下げが適用となりますので、金利引き下げのメリットを最大限に利用することができます。
(例)
【フラット35】
借入金利:1.53%
借入金額:2,700万円
借入期間:35年
返済方法:元利均等
金利の引き下げが適用されない場合
月々の返済額:83,067円
総支払利息:35年間で約788万円
4ポイント獲得して、当初10年間 ▲年0.5%が適用された場合
月々の返済額:当初10年間 76,595円、11年目以降 81,276円
総支払利息:35年間で約657万円
35年間で支払う利息の差は約131万円
国策の住宅取得支援策においても「ZEH」や「長期優良住宅」を計画することで税制優遇を受けられる施策があります。そう考えるとこれからの家づくりにおいては「ZEH」「長期優良住宅」にすることのメリットは大きいといえそうです。
◆家づくりに関するお金のこと、予算の考え方、住宅ローンについて学べる「家づくり学校」についてはこちらから