「建売住宅はやめたほうがいい」と言われる理由とは?後悔しないための注意点を解説
2024.11.12
2024.08.11
建売住宅は良い物件と出会いさえすれば、理想の家を比較的低価格で手に入れられる有効な選択肢の一つです。しかしながら「建売住宅は買った後に後悔しやすい」といったネガティブな声もよく耳にします。
コストを抑えることができたり、購入から入居まで短期間で行えるなどメリットも多い建売住宅ですが、「やめたほうがいい」という否定的な意見ははたして正しいのでしょうか?
本記事では「建売住宅はやめたほうがいい」といわれる理由と、後悔しないためのポイントなどについて考えてみたいと思います。
この記事でわかること
- 「建売住宅はやめたほうがいい」といわれる理由について
- 建売住宅の購入で後悔してしまう原因について
- 建売住宅の購入で後悔しないためのポイント
本記事は、累計25,000組以上の家づくりをサポートさせていただいた「家づくり学校」が執筆しています。
1.「建売住宅はやめたほうがいい」と言われる6つの理由
「建売住宅はやめたほうがいい」という声がなぜ挙がるのでしょうか。ここでは、その理由となる建売住宅の6つのデメリットについて解説します。
そもそも建売住宅とはどんな特徴の住宅なのかは下記の記事で解説しています。
関連記事>>建売住宅とは?費用相場やメリット・デメリット、注意点を解説
①間取りを選べない
建売住宅では「既に完成している物件」を購入することになります。よって当然のことですが購入者が間取りを自由に決めることはできません。加えて建売住宅は「プランや仕様が規格化されているもの」も少なくありません。
建売住宅のなかで比較をするにしても、大体が「シンプルで使い勝手の良い、ごく一般的な間取りの家」だったり「似たようなグレードの住宅設備機器を備えた家」だったりします。突き詰めれば「その家の間取りを気に入るか気に入らないか?」「その住宅設備機器で妥協できるかできないか?」が、購入するかどうかの判断基準になりがちです。
家事動線にこだわりたい人や家族構成に合わせた自由な空間を希望する人にとっては、建売住宅は不自由だと感じる可能性があります。マイホームで重視したいポイントに『間取りの自由度』を挙げるのであれば、注文住宅の方がおすすめといえます。
②個性を出すことができない
建売住宅では価格を抑えて提供するために資材を一括で注文したり、同一の分譲地内で複数棟を同時期に建てたりすることが一般的です。なので分譲地には『似たような外観の家』が立ち並ぶことが少なくありません。そういったところでも間取りと同様に『個性が出しにくい』というデメリットがあります。
建売住宅に「安っぽい」というイメージが根強く定着しているのは、分譲地内に同じ外観の建物が立ち並ぶ光景を見て「なんとなく恥ずかしい…」と思う人が多いからかもしれません。
※建売住宅のイメージ
③建築中の工程を確認することができない
建売住宅はすでに完成している物件であるため、購入者は建築中の様子を見ることができません。そのため住宅の「手抜き工事」を心配する声が多いのも事実です。
ネットニュースなどで時折取り上げられる「欠陥住宅」ですが、その致命的な欠陥は『完成後に見えなくなる部分に潜んでいる』ことがほとんどです。住み始めてからのトラブルを避けるためには『建築中の様子をこまめに確認すること』も大切なことなのですが、先にも述べたように建売住宅では基本的にそれができません。
従って購入者は「建築工事が問題なく行われたのか?」や「手抜き工事・施工ミスは発生していないのか?」といったことを、自分の目で見て確認できないまま入居することになります。どうしても気になる場合は「当該物件の施工中の現場写真を提供してもらう」といった方法などでチェックするしかありません。
以前と比べると建売住宅の手抜き工事や施工ミスも減ってきてはいるようです。ただそれでも「欠陥住宅だったら…」という不安感を持たれる方は少なからずいます。そのようなことからも「(建売購入は)やめた方がいい」という判断につながっている人が一定数いるのだと考えられます。
④耐震性能が低いことがある
近年頻発している地震の影響からか「耐震性」についても気にされる人が増えています。
実は建売住宅でも「現行の建築基準法(いわゆる2000年基準)」で建てられているものは「最低限の安全性(=耐震等級1:大地震が発生した時に即座に家が崩落・倒壊し、住まい手の命が奪われることがないような強度)」が担保されています。
それでも検討中の物件が「耐震等級1」であった場合は注意が必要です。なぜならば「大地震が発生した時に即座に崩落・倒壊せず、住まい手の命が奪われることがなく」とも、「耐震等級1」では建物自体が致命的なダメージを受けることがあります。そうなれば、その後の修繕・修復も不可能となり、地震後はそこに住むことができなくなってしまいます。
よって「耐震性」は最低でも「耐震等級2」、可能ならば「耐震等級3」を取得することが望ましいです。しかしながら建売住宅では「コストを削減」するために、その辺りがないがしろにされるケースも少なくありません。
もっといえば建売住宅では「耐震」への策は講じているものの、「免震」や「制震」まで対応している物件は非常に少ない傾向にあります。そのため本当の意味で「地震に強い家」に住みたい人、万が一の災害も想定したマイホームに住みたいという人には、向いていない可能性が高いともいえます。
⑤断熱性能や気密性能が低いことがある
断熱性能と気密性能は、日常生活の快適さを大きく左右する大切な要素です。いくら建売住宅のデザインや設備が素敵でもその二つがおろそかであれば、入居してからの住み心地が最悪になってしまいます。
特に「室内が夏暑く冬寒い」「エアコンがなかなか効かない」「光熱費が非常に高い」ともなれば、日々ストレスを感じるでしょう。「居住環境の悪さ」は住み始めて直ぐに気づかず、実際に生活するうちに不満が次々と出てくるケースも珍しくないのです。
もちろん居住性や快適性は、住み始めた後にリフォームなどで改善することもできます。ただ、そうなると当然追加で費用がかかってしまうことになりますから、「安い価格で購入できたという建売住宅本来のメリット」が失われることにもなりかねません。
家づくりで大切な断熱性や気密性については下記の記事で解説しています。
関連記事>>高気密高断熱の住宅とは?メリット・デメリット、後悔しないためのポイントを徹底解説!
⑥将来のリフォーム計画を立てづらい
注文住宅の場合だと「将来部屋を分割できるようにする」など、設計の段階からライフスタイルの変化に備えた「リフォームしやすい間取り」で建築することができます。
しかし建売住宅だと、そう上手くはいきません。なぜならば建売住宅の間取りは建築コストを抑えるために最小限の広さ・プランで設計されていることがほとんどであり、入居後の変更を前提としていないケースが多いからです。
よって将来のリフォームも見据えた家づくりを行うのであれば、そこまで考えて施工された建物を選ばなければなりません。ただ現実問題として建売住宅でそういった物件を見つけることは、非常に難しいといえるでしょう。
2.事前知識なしは禁物!建売住宅の購入で後悔に繋がる5つの要因
建売住宅を購入して後悔してしまう要因にはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは実際に建売住宅を購入した人の失敗事例から、代表的なものを5つご紹介します。
①間取りが思ったより使いにくかった
規格化によりコストダウンをしている建売住宅では、先にも述べた通り「間取り」も「設備」も基本的に変更することができません。
特に「間取り」はごく一般的な設計になっていることが多いため、実際に住んでみると自分の家族構成やライフスタイルと合わず「イメージしていたよりも過ごしにくい」「我慢しなければならないことが多い」といったように、ストレスを感じてしまうことも少なくないのです。
この他にも「生活動線が長く、使いづらいレイアウト」や「窓や扉、コンセントの位置が悪くて家具・家電を置きにくい」といったことも、典型的な不満としてあげられます。
②生活してみると寒かった
建売住宅を購入して住み始めて最初の冬が来た時に「新築なのに、家の中が寒い…」と感じる人もいます。その理由は大きく分けて二つ。ズバリ「断熱性能の低さ」と「気密性能の低さ」にあります。
建売住宅ではリーズナブルな価格で販売するため、設備や内装などのグレードは低めのものを選ぶことが少なくありません。その流れで「断熱材」や「開口部材(窓・扉)」も安価で性能の低いものが使われることがあります。そうなってしまうと外気温がそのまま室温にも影響しやすくなってしまい、冬場は室内で寒さを感じることになってしまいます。
また建売住宅では建築時のコストカットの一環として「職人単価(大工さんの賃金)」を低めに設定することがあります。そうなると大工さんも同一現場で時間を掛けると割に合わなくなるため、工事も早く切り上げざるをえません。「断熱材の施工」にも手間をかけづらくなり、それが「気密性能の低下」にも影響してきます。冬の外気が断熱材のすき間を通り抜けて室内に侵入し、家の中でも寒さを感じてしまうのです。
加えて断熱性能と気密性能の低さは、冷暖房機器の効率にも直結します。室温が外気の影響を受けやすくなることで冬は暖房の効きも悪くなり、光熱費(電気代)も高くなってしまいます。
③施工品質が悪く不具合があった
建売住宅に住み始めてから不具合が見つかり、「購入したばかりなのに、修理やリフォームをしなければならなくなった」ことで後悔している人もいます。
先の文章でも解説しましたが、建売住宅では基本的に工事の過程を見ることができません。そのため「基礎や壁の中など『目に見えない部分』がしっかりと施工されているかどうか?」を購入時に判断することができません。「見た目はきれいに仕上げられていたとしても、見えない部分に不備があった」ということは、あり得る話なのです。
最近では「明らかな手抜き工事」も減ってきてはいるようですが、一方で「施工品質が良くなかったため、住み始めてから不具合が発生して後悔した」という人が一定数いるのも事実です。
④立地が思ったより不便だった
予算を重視した結果、安かったけれども利便性が良くない立地で建売住宅を購入したことで後悔されている人もいます。
建物だとインテリアを工夫したり、リフォームなどをすることによって理想の居住空間に近づけることはできます。しかしながら土地については駅や公共施設までの距離や交通アクセス、日当たりなど周辺環境を変えることは不可能です。
建売住宅に限らず注文住宅にもいえることですが、住宅購入を検討する際は立地条件もしっかり吟味して選びたいところです。
⑤妥協して選んでしまった
住宅を検討する際には多くの人が「自分の理想が詰まった、オリジナルの注文住宅を叶えたい」と考えることでしょう。しかし、予算などの理由から仕方なく建売住宅を購入された場合だと「一生に一度の家づくりを妥協してしまった…」と後悔される人もいます。
注文住宅であれば例え間取りや設備などに不満を感じる結果となってしまっても「自分でしっかり考えて、決めたことだから…」と、ある程度納得できることもあります。
逆に建売住宅の場合は「早く決めてしまいたい…」の一心で急いで決めようとする人も少なくなく、後になって「もう少し考えて、こだわっておけばよかった…」となる傾向があるようにも思えます。
そのような点で考えると建売住宅は納得感や満足感を得にくく、後悔に繋がりやすいのかもしれません。
家づくりで後悔の原因の多くは「知らずして選択したこと」にあります。家づくり学校ではこれから家を建てるなら知っておくべき知識のレクチャー、一人ひとりに合った最適な予算立て行っています。
相談は全て無料です。ぜひお気軽にご相談ください!
3.建売住宅の購入で後悔しないためにするべきこと
建売住宅は慎重に検討・比較して物件を購入したつもりでも、実際に住んでみて不便さを感じたり、後悔される人も少なくありません。
前章では「どのようなポイントで後悔するのか?」についてお話ししましたが、ここでは「建売住宅で後悔しないために押さえておきたいポイントと対策方法」について解説します。
①家づくりに関する知識をつける
家づくりは人生で一番大きな買い物ですが、購入してから後悔や失敗をしている人が少なくありません。加えてその原因のほとんどは「知らずして選択したこと」にあります。
なので、まずは家づくりについて知ることが大切です。建売住宅の特徴、メリット・デメリットにはどんなものがあるのか?予算感がどれくらいでどういった家づくりができるのか?住宅性能とは何か?住宅会社選びはどういった点を確認していけばよいのか?などなど…。
後悔しない家づくりを行うためにも、家づくりの基本知識を学びましょう。「家づくりの基準」を身につけて、賢く選択していけるようになることが何よりも大切です。
②注文住宅も視野に入れて多角的に検討する
建売住宅を考えられている人の中には「予算と時間(なるべく安く、早く入居したい)」という軸だけで検討されている方を、少なからず見受けられます。しかしながら、色々ある選択肢を全く知らずに最初から建売住宅だけに絞って選ぶと後悔する可能性が高くなります。
例えば建売住宅と同じような予算・価格帯でも、完全オリジナルの注文住宅が叶うケースもあったりします。建売住宅と注文住宅それぞれに、どんなメリット・デメリットがあるのか?フラットな目線で比較検討することが重要です。
なるべく多くの選択肢を持つことで、自分の予算やライフスタイルに最適な家づくりが実現できます。生涯の生活基盤となる大切なマイホームだからこそ、なるべくたくさんの選択肢と可能性を踏まえて、慎重に検討していきましょう。
建売住宅と注文住宅の違いについては下記の記事で詳しく解説しています。
関連記事>>注文住宅と建売住宅の違いとは?価格や特徴を比較!
③適正な予算立てをする
住宅の購入資金は、これからの人生で必要とされるお金のことも踏まえて考えるのが大前提。自分たちの家計収支とライフプランをもとに、無理のない予算を立てていくことが何よりも大切です。
自分たちの適正予算を踏まえて、その上で建売住宅にするべきか?注文住宅にするべきか?を検討していきましょう。
④どのような暮らしがしたいかをイメージして要望を整理する
家づくりの要望についても事前にしっかり整理することで、自分たちにとって最適な家づくりの方向性と検討すべき会社像が見えてきます。
まずは「こんな家にしたい」という希望をできるだけ多く・細かく書き出してみましょう。その理由も併せて書いておくと優先順位が付けられるので、最終的に要望を整理する時に役立ちます。
⑤販売会社だけでなく施工会社も確認する
建売住宅においては販売会社と施工会社が異なることがあります。そのような場合は施工会社についても事前にしっかりと確認するようにしましょう。入居後にずっと快適で健康に暮らせるかどうかは、実際に家を建てる施工会社の腕にかかっていると言っても過言ではありません。
もし悪質な施工会社であれば、SNSや口コミサイトで実際に建築・購入した人の体験談などに、そのような情報が載っていることもあります。良い評判も悪い評判もきちんと目を通して理解した上で、購入を検討するようにしていきましょう。
⑥周辺環境に問題がないか入念にチェックする
建売住宅を検討するに当たっては、物件そのものと同等といっても過言ではないほど大きな決め手となるのが周辺環境です。住宅の不満は知恵と工夫、最終的にはリフォームすることで解消できることもありますが、周辺環境を自力で変化させることは不可能です。
立地条件にこだわりたいのであれば物件から駅や周辺施設へのアクセス、騒音や防犯、災害対策など「自分の要望やライフスタイルに合っているかどうか?」を、事前に何度も足を運んで確認するようにしましょう。
建売住宅では内覧時にも「この住環境でこれからずっと生活していくことができるのか?」ということをイメージしてみてください。
4.まとめ
本記事では「建売住宅はやめたほうがいい」といわれる理由と、後悔しないためのポイントなどについて解説しました。
建売住宅を検討するならば、まずはその特徴やメリット・デメリットをはじめとした「家づくりに関する知識」をつけてからスタートすることが肝心です。また、自分たちが家に対して求めるものを明確にした上で、初めから建売住宅だけに絞り込むのではなく、注文住宅など他の選択肢も視野に入れながら比較検討していきましょう。
家づくりは千差万別です。人によって住宅に求めるものや理想の住まいのカタチは全く異なりますし、絶対的な正解というものもありません。ただそれでも『後悔しない家づくり』を実現するためには、注文住宅にせよ建売住宅にせよ、普遍的に押さえておくべきポイントというものはあります。
ネットや書籍などでそういった情報を収集することも大切ですが、情報過多の現在では「結局、どうすればよいの…?」と迷ってしまわれる方も少なくありません。
家づくりに迷われたら、ぜひお近くの家づくり学校へご相談ください。家づくり学校のアドバイザーがお客さまと共に「家づくりの基準」を作るお手伝いをさせていただきます。
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