最近増えている「軒」のない家ってどうなの?―後悔しないために知っておきたいポイント
2024.07.12
2022.09.23
近年、軒のない家もしくは軒の出が少ない家が多く見られます。
見た目はすっきりとしてスタリッシュですが、実際はどうなのか気になっている方も多いですよね。
今回は軒のない家のメリット・デメリット、軒のない家に適した外壁材、理想的な軒の長さなどについて解説します。
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「軒」ってどこの部分?
「軒」とは、上の写真で示してあるような「外壁より外側の屋根部分」のことを指します。窓やバルコニー、玄関上などに付けられる「庇」と混同されることも多いですが、「庇」は開口部を雨や日射しから守るのに対し、「軒」は外壁全体を守る役割があると言えます。
軒のない家に考えられるメリット・デメリット
軒のない家のメリット
①外観がスタイリッシュに見える
「軒」なしの家に多いのはキュービックな家。屋根がフラットになっていたり、片流れになっていたりとシンプルでスマートな印象を受けます。
②建築費用のコストダウンができる
「軒」を設けない分、材料費や施工費用などを削減できます。
③居住スペースを広く確保できる
「軒」なしの家は、狭小地を検討されている方に有効的です。軒がない分建築制限いっぱいまで居住スペースを確保できます。
軒のない家のデメリット
①雨による影響
「軒」のない家は雨が直接窓に降り注ぐため、雨音が気になったり、窓を開けっぱなしにしてしまい中まで雨が降りこんでしまっていた…ということも。
②室内に日射しが差し込む
「軒」がないために日射しが室内に入りやすく、夏の温熱環境が悪くなる可能性があります。
③外壁材の経年劣化や汚れ
雨水や風、太陽光などの影響をもろに受けやすいため、外壁の劣化が気になります。サイディングの隙間を埋めているシーリング材が痛み、雨漏りの原因になることも。メンテナンスにかかる費用が「軒」ありの家より高くなるケースもあります。
「軒なし」デメリットの対処法とは?
雨や日射しについては、軒のない家でも「庇」をつけることでデメリット面を多少緩和できます。
ただし、室内を快適な温熱環境にするには、家自体の断熱性や気密性、また家のなかで熱の出入りが一番大きな窓とサッシの性能を考えることも重要です。
また、外壁の劣化や汚れについては防水対策が欠かせません。防水対策には、防水機能のある塗料や撥水性の高い建材を使用したり、防水シートのグレードを高くしたりするのも雨漏り防止に役立ちます。ここからは軒のない家でよく使用される外壁材についてお伝えしていきます。
軒のない家によく使用される外壁材とは?
一般的に外壁メンテナンスを行うタイミングは10年が目安と言われていますが、軒のない家の場合に、その特性を活かしてよく使われる外壁材があります。
①ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は金属鋼板をアルミニウム・亜鉛・シリコンでめっき加工したもので、金属系サイディングでありながらサビにくく耐用年数も長い外壁材です。
ただ、いくらサビにくいといっても粉塵や酸・塩などの汚れによって表面が腐食しサビが発生しやすくなるため、こういった付着物を定期的に洗い流すためにも、雨が当たる軒のない家には適した素材と言えます。
②タイル
タイルは粘土または無機質の原料を成形し高温で焼き固めたもので、耐久性が高く汚れなどに強いことから劣化が起きにくい外壁材です。
強度があるので傷がつきにくく、日射にもさらされても退色しにくいため、長く美しさを保てるのが特徴です。また、耐水性も高いため長雨や豪雨が続いた場合でも水分が浸透することはほとんどないと言われています。
③光触媒サイディング
光触媒は紫外線などの光を当てることで強力な酸化力を生み出し、付着した有害物質などを除去する物質のことを指します。紫外線で分解した汚れは接着性が弱いため、雨が降った際に勝手に流れ落ちてくれる「セルフクリーニング機能」があります。
こちらもガルバリウム同様に、雨が当たる軒のない家には適した素材と言えます。
こまめな外壁メンテナンスをお忘れなく
デメリットにも挙げたように、軒のない家は軒のある家に比べると雨漏りのリスクが高まります。
どんな外壁材を使うのかも重要ですが、いくら耐久性や耐水性が高くても生涯メンテナンスフリーの素材は存在しないため、まずはしっかりと定期的なメンテナンスを行うことが有効であると言えます。
推奨されているメンテナンス周期を守り、状態によって適切なメンテナンスをすることを心がけましょう。
理想的な軒の長さって・・・?
軒のある家を建てる場合、その長さは90cmと言われています。夏至では直射日光が差し込まず、冬至では直射日光が差し込む、雨除けにもちょうど良い長さです。ちなみに、軒が25cm未満になると軒ゼロ住宅になります。
建ててから後悔しないために
軒がない家を建てる前に、メリット・デメリットのそれぞれをよく検討してみてください。迷われている方は、真夏の暑い時期や雨の日に「軒なし」と「軒あり」の家を体感比べしてみるのもおすすめです。
また、メンテンナンスコストや雨漏りなど不安に感じることは検討中の住宅会社や軒のない家の施工をしている住宅会社に相談されることをおすすめします。建ててから後悔しないために慎重な選択をしましょう。
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