家づくりのお悩み、間取りで解決!実例から学ぶ失敗しないためのポイント
2025.02.14

「本当にこの面積で快適に暮らすことはできるの?」「無駄のない生活動線はどうしたらつくれるの?」「土地を買ったものの、理想の家は建てられない?」「光は入る?騒音・プライバシー対策は?」など、家づくりを進めていくと不安や疑問がたくさん出てくるでしょう。
この記事では、家づくりにおける課題を「間取り」と「設計力」で解決し、「こんな暮らしがしたい!」という理想を見事に実現した実例を間取り図とともにご紹介します。プロの設計士がどんな意図でプランニングしたかというポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
本記事は、累計28,000組以上の家づくりをサポートさせていただいた「家づくり学校」が執筆しています。
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【実例①】中庭+外庭のある暮らしを楽しめる家にしたい
家族構成
- 夫婦(40代)
- 子ども1人(小学生)
- 猫
住宅の仕様
- 屋根:ガルバリウム銅板 立ハゼ葺き
- 外壁:モルタル下地、ラス網、防水紙 アスファルトフェルト、ラス板、通気胴縁、透湿防水シート 、EXハイパーボード、ベルアート塗装仕上
- 開口部: アルミ樹脂複合サッシ、アルミ製既製品玄関ドア
- 換気:第三種
- 床:タモ材 W120
- 壁:漆喰仕上(LDK、玄関、来客用トイレ)
- 天井:漆喰仕上(LDK、玄関、来客用トイレ)
- 住宅性能:UA値 0.51 Q値 1.8 C値 0.4
「自然豊かな土地で暮らしたい」と田舎に移住してきたこちらのファミリー。自邸の庭を愛でながら、子どもものびのびと暮らせる家をと設計士に要望を出しました。
また、猫ちゃんを飼っているため「猫との暮らし」も家づくりのテーマになりました。
【解決策】コの字型間取りで中庭を囲み、リビングから外庭とつながる平屋に!
- 土地面積: 316.55㎡(95.75坪)
- 延床面積 : 104.34㎡(31.56坪)
玄関前に広がる外庭は、ボール遊びや家庭菜園などアクティブかつオープンに過ごせる場所に。一方、中庭はプライベート空間として機能するコの字型平屋が完成しました。光と風の通りを意識して、どの場所にいても外とのつながりを感じられるようになっています。
南面に広がる自然を感じられる大開口、玄関を開ければ中庭からのあたたかな光
真東に向いたダイニングでは、朝日を浴びながら朝食をとることができます。どこにいても空と緑が感じられるよう、窓の位置や大きさ、高さを念入りに検討しました。
リビングを挟んで来客動線がプライベートスペースを通らないように
平屋でもトイレは2つ。来客用の手洗いとトイレは玄関周りに集約して、家族用のスペースに入らなくてよい間取りにしました。
キッチン裏にあるウォークスルークローゼット
左右から入れるウォークスルークローゼットを家の中心、キッチンの裏に配置。洗濯・収納動線がよくなるだけでなく、出発・帰宅時の服の着脱も簡単になります。
家の内装や外観
1⃣朝日を浴びながら食べる朝食の時間がお気に入りだそう
2⃣中庭を眺めながら家事ができる明るいキッチン
3⃣キッチン裏は奥さまの在宅ワークスペース。キッチンや水回りに近く、仕事の合間に家事を進めることができる
4⃣普段は帰宅後の手洗い場に重宝
5⃣空が見える玄関ホールの大きなFIX窓
6⃣建物で周囲からの視線を遮った中庭。リビングとつながる贅沢な空間
★設計士に学ぶプランニングポイント!
「自然豊かな土地で庭仕事がしたい」と建てられた31坪の平屋。天井を2.3mにすることで、のびやかに広く感じられるよう工夫しており、外観をすっきり見せる効果も。間取りは、キッチンを中心に回遊動線をつくることで家事が楽に。お庭とともに長く心地よい暮らしを楽しめるお住まいです。
【実例②】できるだけコンパクトな空間で暮らしたい
家族構成
- 30代夫婦
- 子ども1人(6歳)
- 犬
ミニマリストのAさんファミリー。余計な物を持たずに、必要最低限の好きな物だけでシンプルに暮らしたいと考えていました。また、家族3人仲良くお互いの気配を感じながら過ごせる家にしたかったそうです。
【解決策】部屋をこまごま分けるのではなく、「ひとつながり」を意識したミニマルな空間に
- 土地面積 : 109.67㎡(33.17坪)
- 延床面積 : 62.41㎡(18.87坪)
設計士が提案したプランは、延床面積18.87坪!の「ひとつながり」の空間でした。狭さを感じさせないように扉はほとんどありません。このおかげで、家族を身近に感じられるとともに室内の温度もエアコン1台で一定に保つことができ、快適に暮らせます。
プライベートスペースは最低限に
パブリックスペースはゆったりとさせ、家族が自然とリビングに集える空間構成にしました。
コンパクトハウスの肝はゾーニング
上下階で大人と子どもの空間を緩やかに分けて、限られた坪数の中でもプライバシーはしっかり確保しました。
扉は極力なしに
圧迫感を軽減して、シームレスな空間にしました。
家の内装や外観
1⃣いつも家族を身近に感じられる距離感
2⃣「家族3人がお互いの気配を感じながらも『個』を尊重してすごせるように」という要望から設計士が間取りをプランニング
3⃣フレキシブルに使えるファミリールーム
★設計士に学ぶプランニングポイント!
ミニマリストのご夫婦が以前住まわれていたワンルームタイプに、お子さまのための1部屋をプラスした間取りに。延床18坪という空間を長く愛着を持って使っていただけるよう、オープン階段や吹き抜けで広く見せるように工夫しました。自然素材やインテリアなどトータルコーディネートし、心地よさが感じられる住まいです。
【実例③】主要道路に面した変形地でも心地よく暮らせる?
家族構成
- 夫婦(30代)
- 子ども2人(5歳/小学生)
住宅の仕様
- 屋根 : ガルバリウム鋼板 立ハゼ葺き
- 外壁 : 焼き杉板仕上げ
- 開口部 : ペアガラスLow-e、木製ドア
- 換気 : 第一種 全熱交換型24時間計画換気システム
- 床 : 杉W150クリアオイル(1F/2F)
- 壁 : エスタコウォール塗り(1F) シナ合板目透かし張り(2F) エス凧ウォール塗り・シナ合板(小屋裏)
- 天井 : Jパネル現し(1F) 針葉樹合板(2F) シナ合板目透かし張り(小屋裏)
- 住宅性能:UA値 0.4 Q値 1.84 C値 0.3
こちらのお家は街中にあります。主要道路に面しているため車通りが多く、また隣家も迫っている変形地。プライバシーを確保しつつ、お子さんものびのびと遊べる家にすることはできるのでしょうか?
【解決策】敷地の中心にリビングを据え、それ以外の部屋と植栽で目隠し
- 土地面積 : 129.40㎡(39.14坪)
- 延床面積 : 102.27㎡(30.93坪)
変形した土地形状を生かして、主要な居住スペースと水回りなどのそれ以外の部屋をしっかり分けて、ゆったりとした間取りをつくり出しました。無垢材をふんだんに用いて、離れ部屋やバルコニーなども設け、自然を楽しみながら都会の喧騒を忘れさせるワクワク感のある住まいです。
街中でも自然に囲まれる暮らし
暮らし心地を高めるため、植栽計画は綿密に。木々が目隠しになり、日陰を作り出してくれます。
コミュニケーションが図りやすい距離は3m
リビングからダイニングまで3m、ダイニングからキッチンまで3m、キッチンからリビングも3m。家族みんなが居心地よく感じられる距離感でLDKを設計しました。
家族の籠り部屋
5⃣リモートや趣味に使える個室型フリースペースの離れを設けました。
バルコニーはキッズリビング
3⃣2階の子ども部屋からつながるデッキスペースは、周りの目を気にせず使用できる外空間です。
家の内装や外観
1⃣庭の眺めながらご近所さんとも会話が弾むちょっとしたベンチ
2⃣洗濯と洗面を一つにまとめ、家事が楽に
4⃣「ワクワクできる居場所」を家の各所に設けて
6⃣薪ストーブで暖かく、火を見て安らぐ空間に
7⃣2階のスタディースペース
8⃣コンパクトながら、窓により抜け感を演出したリビング・ダイニング
★設計士に学ぶプランニングポイント!
10年経っても20年経っても、住みやすく飽きがこない形。特殊なことはせずに、シンプルに建てることを意識しました。L型につながるLDKが東西南北全てに窓を通して広がり、明るく風通しがよくなること、そして視線が抜けることで狭さを感じさせない設計になっています。
【実例④】庭と景色を堪能できる平屋にしたい
家族構成
- 夫婦(夫40代・妻30代)
住宅の仕様
- 屋根 : ガルバリウム鋼板、平葺き
- 外壁 : ユニプラルSL
- 開口部 : YKK AP W330 LOW-E(ペア) アルゴンガス入り 樹脂アングル
- 換気 : 第三種
- 床 : アカシア無垢乱尺(1F) 杉無垢上小節(2F)
- 壁 : オガファーザー素地仕上げ(無塗装のまま使用)
- 天井 : オガファーザー素地 一部杉無垢板張り
- 住宅性能:UA値 0.41 C値 0.5
こちらのご夫婦は「囲炉裏のある住まいにしたい」というのが第一要望でした。一方で、高断熱・高気密といった性能も譲れなかったため、屋内に囲炉裏を置くことは断念。その代わりに、庭に囲炉裏を設置することになり、そこから庭と家の中をいかにつなぐかということがメインテーマになりました。
【解決策】山並みを望む敷地のよさを生かすため、あえて2階建てに。庭と一体となるリビングをプランニング
- 土地面積 : 386.52㎡(116.92坪)
- 延床面積 : 86.95㎡(26.30坪)
広大な敷地を生かした上で自分たちのライフスタイルに合うのは、なんとなく平屋かなと思っていたご夫婦に、設計士は2階建てを提案します。その理由とは…?
どの窓からも緑が見える贅沢さ
2階建てを選択したことで広がった庭に木々を植えて、室内からいつでも緑が愛でられます。
庭に突き出た広いウッドデッキ
「友人たちとBBQがしたい」という夢をかなえられる広々としたウッドデッキ。念願だった囲炉裏をご主人が自作しました。
安らぎのビューポイント
山並みを眺めながらひと息つける心地よい居場所です。
家の内装や外観
1⃣勾配天井と吹き抜けで開放的に
2⃣寝転がりながら好きな本が読めるヌックスペース
3⃣2階ホールの出窓に腰掛けられるスペースを設けて
4⃣階段下を活用し、籠り感もあるスタディースペース
5⃣木製のバイクガレージを大工が造作。長いアプローチと植栽で玄関をさりげなく目隠し
6⃣野菜を育てたり、囲炉裏を囲んだりと庭暮らしを存分に楽しめる
★設計士に学ぶプランニングポイント!
敷地確認時、まず目に入ったのは、西側に広がっている山並みでした。「この山並みを見るための場所をつくりたい!」という想いが住まいの設計の手がかりとなり、「庭と共にある暮らし」をテーマに掲げました。平屋を希望していた施主さまに2階建てを提案。階段を上った先に、山並みを望むセカンドリビングとなるホールとヌックを造ることにしました。表情豊かなお庭が、日々の暮らしの中で少しづつ変化をしていき、長い年月をかけて本当の意味での住まいの完成に近づいていくのだと思います。
まとめ
家づくりにおける間取り決めは、理想の暮らしを実現するための重要な第一歩です。この記事では、多くの人が直面する間取りの悩みを解決するヒントを実例を交えながらご紹介しました。
間取りの工夫一つで、家族のコミュニケーションが円滑になったり、家事の負担が軽減されたり、はたまた収納スペースが劇的に増えたりと、暮らしの質は大きく向上します。
この記事で紹介した実例やアイデアが、家づくりのお役に立てれば幸いです。ぜひ、家族みんなで話し合いながら、それぞれのライフスタイルに合った間取りを見つけて、“後悔のない家づくり”を実現してください。
家づくりの後悔の多くは「知らずして選択したこと」にあります。家づくりで失敗しないためには、正しい基本知識の習得が欠かせません。
「家づくり学校」では、家づくりをする上で必須な知識の“学び”と実際の住宅の“体感”を通して、後悔のない家づくりをサポートしています。
これから家づくりをする方、いろいろ訪問して分からなくなった方は、ぜひ家づくり学校へお越しください!
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