共働き夫婦の場合、住宅ローンはどう組む?
2024.11.13
2023.08.21
ご夫婦がともにお仕事をしていて収入がある、いわゆる「共働き世帯」の場合、住宅ローンはどのように考えればいいのでしょうか?どのような組み方があるのか?それぞれのメリット・デメリットは?どんな点に注意したらいいの?をまとめてみました。
ご夫婦ともに収入がある場合の住宅ローンの組み方
大きく分けて3つ
単独ローン:夫婦のどちらか1人だけが住宅ローンを組む
ペアローン:夫婦がそれぞれ住宅ローンを組む
収入合算:夫婦2人の収入を合算して借入金額の上限を決めてから、1本の住宅ローンを組む
※収入合算には2つのタイプがある
★連帯債務型
★連帯保証型
単独ローン:夫婦のどちらか1人だけが住宅ローンを組む
■契約本数 1本
■借入可能額 債務者(借りた人)の収入に応じた金額まで
■返済義務 債務者のみ負う
■団体信用生命保険 債務者のみ加入
■住宅名義 債務者の単独名義
■住宅ローン控除 債務者のみ利用できる
⭐メリット
手続き等がシンプル
債務割合を決める必要がない
債務者の収入に見合った返済額を設定しているため、配偶者の収入減等のリスクが低い
⭐デメリット
「ペアローン」や「収入合算」に比べて、借入金額が少なくなる傾向にある(※ただし、頭金が充分にある、債務者の収入が高い場合にはあてはまらないこともあり)
住宅ローン控除の節税効果が限られる
✅ご夫婦共に働いていらっしゃるご家庭の場合、ご夫婦の収入を合わせて住宅ローンを組むことができます。
例えば
夫:税込年収 400万円
妻:税込年収 300万円
◆条件 金利 3.0% 借入期間 35年 返済負担率 30%
夫だけで借りた場合 → 借入限度額は、約2,600万円ですが、
夫婦で借りた場合 → 借入限度額は、約4,550万円となります。
もし、自分だけの年収では希望する借入金額に満たない場合でも、配偶者の収入を合わせることで希望する金額の借り入れができる可能性が出てきます。ここからはご夫婦協力のもとでできる住宅ローンの組み方をご紹介します。
ペアローン:夫婦がそれぞれ住宅ローンを組む
■契約本数 ご夫婦がそれぞれ1本ずつで合計2本
■借入可能額 ご夫婦それぞれの収入に応じた金額まで
■返済義務 夫婦それぞれが債務者として負うと同時にお互いの連帯保証人としても返済義務を負う
■団体信用生命保険 夫婦それぞれが加入
■住宅名義 共有名義
■住宅ローン減税 夫婦それぞれが利用できる
⭐メリット
夫婦それぞれの年収から借り入れ金額を決めることができるため、借入限度額が多くなる
住宅ローン控除を2人分受けられるため減税効果が大きい
夫側が固定金利、妻側が変動金利にするなど、夫婦それぞれが異なる金利プランを選択できる
⭐デメリット
契約が2本になるため、事務手数料や登記手数料といった諸費用がほぼ倍になる
どちらかの収入が減ってしまった場合、家計にかかる負担が大きくなる
団体信用生命保険が適用された場合でも、返済されるローンは片方のみの借り入れ分だけで、もう一方のローンは残る
収入合算:夫婦2人の収入を合算して1本の住宅ローンを組む
★連帯債務型
夫婦のうち1人が「主債務者」、もう1人が「連帯債務者」となる形で1本のローンを組む方法
夫婦2人の収入を合算して借入金額の上限を決めることができる
金融機関は、連帯債務者と主債務者の双方に貸しているのでどちらに請求してもよい
■契約本数 1本
■借入可能額 夫婦の収入を合わせた金額まで
■返済義務 夫婦それぞれが同等(全額)の返済義務を負う
■団体信用生命保険 原則、主債務者のみ加入(夫婦ともに加入できる商品もある)
■住宅名義 購入資金の負担割合に応じて持分割合を定め共有名義とすることができる
■住宅ローン減税 夫婦ともに持分割合に応じて利用できる
⭐メリット
夫婦の収入を合算して融資の審査を行うため、借入額を増やすことができる
住宅ローン控除を2人分受けられるため減税効果が大きい
契約する住宅ローンが1本のため、ペアローンに比べ諸経費が抑えられる
⭐デメリット
どちらかの収入が減ってしまった場合、家計にかかる負担が大きくなる
団信に加入できるのは、原則、主債務者または連帯債務者のどちらか一人だけ(夫婦連生団信であれば夫婦2人とも加入ができる)
取り扱っている金融機関が少ない
★連帯保証型
夫婦のうち1人が「債務者」もう1人が「連帯保証人」となる形で1本のローンを組む方法
✅「保証人」とは債務者に代わって借金を返済することを約束した人のことを指しますが、「保証人」と「連帯保証人」では責任の重さが大きく違ってきます。
●債権者(お金を貸した人)から、返済の請求があったとき、
保証人であれば「まずは債務者に請求してください」と主張することができますが、連帯保証人の場合には、この主張ができません。
●債務者が返済できるだけの資産はあるのに返済を拒否した場合、
保証人であれば、債務者の資産を先に差し押さえるよう主張できますが、連帯保証人の場合にはこのような主張ができません。それだけでなく連帯保証人の資産を差し押さえられる可能性もあります。
「連帯保証人」になることは「債務者本人」と同じ重い責任を負うことを意味します。
■契約本数 1本
■借入可能額 夫婦の収入を合わせた金額まで
■返済義務 連帯保証人も債務者と同等の返済義務を負う
■団体信用生命保険 債務者のみ加入
■住宅名義 債務者の単独名義
■住宅ローン減税 債務者のみ利用できる
⭐メリット
夫婦の収入を合算して融資の審査を行うため、借入額を増やすことができる
※金融機関によっては連帯保証人がパートであっても収入合算ができるところもある
契約する住宅ローンが1本のため、ペアローンに比べ諸経費が抑えられる
連帯債務型よりも取り扱っている金融機関が多い
⭐デメリット
連帯保証人は住宅ローン控除が適用されないため、収入があり所得税を支払っていたとしても節税効果は見込めない
連帯保証人は団体信用生命保険に加入ができないため、万が一ことがあっても何も保証されない
万が一離婚した場合、連帯保証人の解除を申し出ても銀行に承諾されないことがほとんど
夫を債務者にしたケースでかんたんにまとめてみました?
単独ローン | ペアローン | 収入合算 | ||
連帯債務型 | 連帯保証型 | |||
契約形態 | 夫:債務者 妻: – |
夫:債務者 妻:債務者 |
夫:債務者 妻:連帯債務者 |
夫:債務者 妻:連帯保証人 |
住宅ローン控除 | 夫:○ 妻:✕ |
夫:○ 妻:○ |
夫:○ 妻:○ |
夫:○ 妻:✕ |
団体信用生命保険 | 夫:○ 妻:✕ |
夫:○ 妻:○ |
夫:○ 妻:✕(※) |
夫:○ 妻:✕ |
※連帯債務型の場合、金融機関によって夫婦で加入できる団体信用生命保険もある
残念ながら「連帯保証型」は、「ペアローン」や「連帯債務型」に比べるとメリットはあまり感じられないですね?
共働き夫婦の住宅ローンの組み方ポイントまとめ
ご夫婦のどちらも一定以上の収入がある場合
▶収入合算をしたり夫婦が別々に住宅ローンを組むことで、借入額を増やすことができる
ただし、借入額が増えると返済負担も増えることになります!余裕をもって返済できる借入額にしましょう!
▶夫婦ともに住宅ローン控除を利用できる「ペアローン」「連帯債務型」を利用すると節税効果が大きくなる
ただし、産休・育休期間中は、他に収入がなければ住宅ローン控除を利用できません。ライフプランを考えて負担割合を決めましょう!
??ここに注意
「ペアローン」や「連帯債務型」を利用する場合、住宅ローンを負担している割合と住宅の所有割合が異なると、贈与税が発生してしまう可能性があります。
万が一離婚となった場合には、
ケース①住宅を売却する
売却金額で住宅ローンの残債が返済できるのであれば大きな問題はありませんが、住宅ローンの残債ですべてを返済できない場合、離婚後も住宅ローンの返済が続くことになります。
ケース②夫婦のどちらかが住み続ける
住宅ローンには「自分が住むこと」という条件があります。もし、離婚してどちらかが家を出て行ってしまうとその条件を満たさないことになり、金利が高いローンへの条件変更や一括返済を求められるおそれがあります。
離婚後にどちらかが自宅に残りたい場合には、
住宅ローンを一括返済する
もしくは、住み続ける方が新たな借入を行って住宅ローンを一本化する
いずれにしても、土地や建物が共同名義となっている場合には別れた相手の同意が必要となります。
夫婦の収入を合わせて住宅ローンを借りるということは、お互いが債務全額の支払い義務を負うということです。ご夫婦がともに最後まで一緒に返済していく覚悟を持っていただきたいと思います。
ご夫婦が協力して手に入れたマイホームで仲良く暮らすためにも、お互いへの思いやりを持つことが何より大切ですね?