アドバイザーブログ
家づくり学校 東広島校
2023.08.21
2023.08.10
山根 孝二
自治体で異なる住宅施策の取り組み
先日、ある断熱セミナーに参加する機会がありました。岡山県での開催だったのでリモートで視聴させていただきました。東京大学の前教授という、断熱・省エネを普及するための研究や開発をされている、業界では超有名な方が講師でした。
2時間半に渡り、貴重なお話を沢山聞くことができましたが、私が印象に残っているのは、住宅に関する取り組みが、自治体によって大きく異なるということ。もちろんその事は知っていましたが、改めて自治体の意識と施策の方向性が、そこに住む人々の生活環境を変えることになると実感しました。
例えば、住宅の断熱性能について、地域毎に方向性が異なるのは当然です。北海道で建てる家に求められる断熱性能と、沖縄県で建てるそれとは、当然求めるものが違います。
平均年齢が高い自治体ではバリアフリーや介護住宅への補助を充実させ、土地が少ないエリアでは、マンションに対する施策を打ち出すなど、地域性があるのは当然です。
しかし、必要な部分に目が向いていない、または、取り組みが遅い自治体があるのも事実。私が住んでいる広島県のことが気にまりましたが、今日は全国の中でも取り組みが進んでいる自治体の一つ「鳥取県」を取り上げます。
国の基準を上回る省エネ基準を設けた「鳥取県」
鳥取県独自の取り組み
私の故郷である島根県のお隣「鳥取県」。全国でも省エネに対する取り組みが先進的であると有名な自治体の一つです。前教授のセミナーでも話題に挙がりました。
鳥取県は令和2年、戸建て住宅における「健康省エネ住宅性能基準」という県独自に定めた、高気密・高断熱住宅に求める基準を制定しました。また、その基準に適合した住宅を建てる住民には助成金を出します。しかも、助成制度の予算を十分に確保した上で、常識的には年度またぎができない補助金を、年中いつでも申請できるよう工夫し、事業者や住宅取得者が使いやすくするための工夫もしています。
国を上回る独自の省エネ基準
2025年4月以降に着工する全ての建物について、省エネ基準適合が義務付けられます。その基準は地域によって異なりますが、鳥取県で義務化される断熱性能はUA値=0.87。気密性能については特に基準は設けれていません。
鳥取県が独自に設け、助成補助対象とした「健康省エネ住宅性能基準」はと言うと、、、
国の義務化(2025年) UA値=0.87
ZEH(政府推進レベル) UA値=0.6
T-G1(鳥取県最低レベル)UA値=0.48 C値=1.0
T-G2(鳥取県推奨レベル)UA値=0.34 C値=1.0
T-G3(鳥取県最高レベル)UA値=0.23 C値=1.0
上の赤い部分のレベルが助成補助対象であり、鳥取県が自治体として強く推奨するレベルです。国が示してもいない気密性(C値)にまで言及しています。
如何に国の基準レベルが低く、鳥取県の現状に合っていないのかがわかります。それに気づき、独自の対策を打ち出した鳥取県って凄いと単純に思います。ライバル県である島根県出身の私でもそう思います笑
広島県については別の機会で触れますが、ここで言いたいのは「国の基準」が全てではないということ。あくまで最低ラインを示しているに過ぎず、地域ごとに細かく見ていけば、事足りないレベルになっているのが住宅性能の基準だということです。この事実がありながら、国の基準で家を建てている住宅会社に依頼するのか、先を見据え国の基準を上回る性能の家を建てている住宅会社に依頼するのか。この選択が、後悔、満足の大きな分かれ目になりそうです。
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