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門田 章

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【お客様からの質問】「建売住宅」には手を出すべきでない…!?【アリ?ナシ?】

松山校

アドバイザー日誌

【お客様からの質問】「建売住宅」には手を出すべきでない…!?【アリ?ナシ?】

家づくり学校を利用されるお客様から「近所で建売住宅が販売されているので、購入を検討しています。どう思いますか?」という質問を頂くことがあります。

以前ならば「最終的にはお客様が決められることなので、“良い・悪い”というお答えは私どもからはできません。“家づくりの実態”を知った上で、検討されるのは“アリ”だと思いますが…」とお答えしておりました。

ただし現在では、その認識は変わっておりまして「極めて一部の例外を除いては、基本的に建売住宅は“ナシ”だと思います。おススメできません!!」とお応えしております。

なぜ上記のような回答をするようになったのか?については、幾つか理由がございます。

この記事でお伝えしたいこと

  • 完成している建物は、その「施工精度」を確かめられないのが最大のネックであること
  • 「施工精度」の裏付けとなる「数値・データ」といったものも存在するが、殆どの建売住宅では重視されてないということ

※当ブログ記事は“特定の団体や物件を誹謗中傷するため”に執筆したものではございません。これからお家づくりをされる人、住宅購入をされる方の“後悔を少しでも減らせること”を願って記した次第です(断じて「全ての建売住宅がダメ!!」と申し上げている訳ではないので、あしからず…)。

 

建売住宅をおススメできない理由⇒「施工精度」が判らない(汗)

一口に「施工精度」といっても色々とございますが、ここでお伝えしたいのは主に「見えない部分(壁の中・床下・小屋裏)」に関する施工精度ということです。

自身の経験や建築実務者からのヒアリングも踏まえて正直に申し上げますと、「建売住宅では施工精度が低い(=悪い)ものが多い」という印象です。

 

例えば「床下」。

床下の断熱が垂れてます
※築十数年の建売住宅を床下に潜って撮影したもの。

 
建築時に断熱材が「ピシッ!」と入ってなかったため、垂れてきております。これではすき間ができてしまい、断熱材が本来持っている性能が発揮されません。冬場は床が冷たくなってしまうため、スリッパなしでは歩けません…。

 

例えば「小屋裏」。

小屋裏断熱の施工状況
※上述の建売住宅の小屋裏から撮影。

 
「天井断熱」なので「断熱材は一応置かれている」状態ですが…すき間(赤丸部分)が目立ちますよね…施工不良です。

その上、断熱材をめくってみると…


※写真右手の断熱材が「桁上に置かれただけ」だったため、桁から天井までが無断熱状態…!

 
こうなってしまうと、夏は屋根からの熱射が階下(2F部分)に伝わってしまうため、灼熱地獄になってしまいます。エアコンも効きが悪くなり、光熱費も余計に掛かってしまう事態で、住人は阿鼻叫喚…。

 

そして「壁の中」。

コンセントボックスからのすき間風
※同じ建売住宅の1Fリビングにあるコンセントボックス。

冬場は室内で暖房をつけると、コンセントボックスから冷気が室内に侵入してきます。

コンセントボックスからのすき間風イメージ
※冷気が吹き込むイメージ。スース―します。

これは全て、床と間仕切壁との取り合い部分で「気流止め」がキチンと出来てないことが原因です。施工不良です。

繰り返しになりますが「全ての建売住宅が施工不良だ!」と断定しているわけではありません。それでも実際問題として、建売住宅の施工不良が少なくない数で存在しているのは事実です。

そのような施工不良の発生には、そもそもの原因があります。

 

建築実務者の本音⇒建売住宅に時間を掛けていられない(汗)

建売住宅のイメージ
※建売住宅のイメージ

総じて、最近の建売住宅はデザインもお洒落でカッコイイものも多い印象です。立地もファミリー層に人気のエリアで建てられており、加えて値段も比較的リーズナブル(例:土地と建物セットで3000万円!)となれば、ついつい食指が動くのも納得!!

…と、至極当然のことのように語って毎度、疑問に思います。「デザイン性の良さ」、「立地も人気のエリア」、「値段がリーズナブル」。

普通に考えると「デザイン性の良さ」と「立地も人気のエリア」を両立させた時点で、「値段はそこそこ高くなる」のが市場原理的に当然ではないか?と思うからです。

デザイン性と立地条件と価格安が成立?
※イメージ:「デザイン性」も「立地条件」も良ければ、「住宅価格」も上がるのでは…?

 
「企業努力」の一言で済ますのは少し乱暴です。商品価格を下げるためには「原価」を下げる必要があります。その際はまず「仕入費(=資材などの購入費)」がやり玉にあがりますが、家を建てるために必要な木材や金物、建材や住設機器の仕入れ価格の値引きにも限界があります。

そうなると次に目を付けられるのが「人件費(=職人単価)」です。より安価に住宅を提供するため、住宅会社も職人さん(大工さん等)に「職人単価の減額交渉」を行っています。

例えば「請負大工さん」なんかだと、家1棟を「大工手間(坪単価)×住宅坪数」で引き受けたりします。仮に大工手間(坪単価)5万円だとすると30坪のお家を建てるならば請負金額150万円。そこから逆算して大工さんは「(日当単価で赤字にならないためにも)この家はXX日以内に仕上げる必要があるな…」という風に考えられたりするわけです。

住宅会社から「仕事を継続して依頼したいと思うので、大工手間(坪単価)3万円でお願いします!」と言われたりすることもあるそうです。大工さんの多くは個人事業主のため、仕事はなるべく途切れない方が良い。継続して依頼してくれるならば…ということで、言われた金額で引き受ける大工さんもいらっしゃいます。

建前のイメージ
※大工さんによる建前のイメージ

 
それでも大工手間(坪単価)が従来の約半分(3/5)になってしまうと、いくら次の仕事が見えているからと言っても、今まで同じペースで建築すると割に合いません。ではどうするか?というと「1棟あたりを従来の約半分(3/5)の時間で仕上げる」という風にせざるを得ないのです。

30年くらい前までは住宅建築における「木材カット(刻み)」は現場における大工さんの仕事の一つであり、家を1棟建てるのに1年位は掛かっていました。現在では「工場での木材カット(プレカット)」が当たり前になり、「新建材」や「住設機器」など既製品が多く使われるようになったこともあって、工期は大幅に短縮。早ければ4カ月、大体6か月もあれば家は完成します。

大工道具を使って家を建てる
※イメージ:昔は大工道具で大工さんが自ら柱を刻み、家を建てていたそうです(今でも一部、そのようにお家づくりをされている会社もあります)。

 
そのうち大工さんが現場で仕事をする期間は2カ月~2カ月半が一般的と言われていますが、これはあくまで「大工手間(坪単価)を普通に頂ける場合」の話。前述のように「大工手間(坪単価)が従来の約半分(3/5)」になってしまうと、この期間が1カ月ちょっと(!)に短縮されてしまうことになります。

そうなると、どうなるか?はばからず申し上げると「いかに効率よく現場で作業をするか?(=本来は手を掛けるべきところも、なるべく手を抜いて仕上げるか?)」というように考えざるを得ません。誰しも同じ状況に置かれれば、そのように考えてしまうものと思います。

住宅というものは工業製品のように一律の品質保証がされているものではありません。現場で職人さん(大工さん)が手作業で1棟ずつ作りあげていくものなのです。最終的には「大工さんがどれだけ丁寧に仕事をしたか?」によって、その品質、ひいては施工精度が変わってくるものなのです。

「職人単価が低くなりがちだから、仕事はなるべく早めに切り上げる必要がある」…それが多くの建売住宅における実際です。そのような状況下では「施工精度が高く、丁寧に仕上げられた住宅」というものを見つけるのは、まさに『砂漠で砂金を探すようなもの』。非常に難しいのではないか?と思えて仕方ありません。

丁寧な仕事は大切ですが…
※建築現場イメージ:消費者目線でも「安価で丁寧な仕事をして貰えること」は理想ではありますが、なかなか厳しいと思います…。

 

「施工精度」を確かめる手段⇒「気密測定」を実施しているかどうか?

ここまでの話の流れだと私が「建売住宅は総じてダメ!⇒家づくりをするなら注文住宅しかダメですよ!」と申し上げているように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。なぜなら注文住宅でも「施工精度が低く、施工不良の物件」というものが存在するからです。

施工精度の確認方法については幾つかあります。まずは「建築中の現場を、自分の目で確かめる」こと。これは「建てて貰っている自分の家」を確認するのではなく、「検討中の住宅会社が手掛ける建築現場(さらに付け加えると自分の家を建ててくれることになるであろう職人さんによる現場)」を確認することに意義があります。

建築現場を見学する
※建築現場のイメージ。

 
「素人目で見て、施工精度なんてわかりますか?」というご質問を頂くこともございますが、「断熱性・気密性の重要性」を理解して頂いた上で「丁寧な施工とはどういうものか?」という目線を持ちさえすれば、自ずと分かるようにもなるかと思います。
家づくり学校のセミナー個別相談でもこの辺りは詳しくお伝えしております。

丁寧な断熱施工
※丁寧な施工のイメージ。

 
あとは施工精度の高さを確認する裏付けとして、「気密測定を実施しているかどうか?」ということも大切になってきます。

気密測定の様子
※建築中の現場で気密測定を行っているイメージ

 
気密測定を実施すれば「C値(相当すき間面積)」という絶対的な数値・データでもって、その住宅の施工精度がまるわかりになります。ここでは詳しい説明は省きますが「C値1.0以下が高気密(=施工精度が高い)」であり、「C値が1.0より少ない(0.9>0.8>0.7>0.6>0.5…)ほど、さらに施工精度が高い」ということになります。

C値とはズバリ「その家に(見えない所に)どれくらいすき間があるのか?」を計るものであるため、冒頭で述べたような「断熱材の施工不良」などがあれば、とんでもなく悪い数字(例:C値5.0=施工精度が低すぎる!)でもって示されることにもなるのです。

ここで「施工精度が判る大切なものならば、気密測定は住宅建築では当たり前に行われているのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。ただし、残念ながらそれは違います。現行の法律(建築基準法など)においては、気密測定の実施は義務化されていません。やる・やらないは完全に住宅会社側の任意なのです。

気密測定の結果
※イメージ:気密測定の結果。この物件はC値0.1なので超高気密(=施工精度がものすごく高い!)です。

 
さらに言えば、全国に何千・何万とある住宅会社(ハウスメーカー・ビルダー・工務店)でも、気密測定を行っている会社は全体の1割もありません。注文住宅でも建てられたうちの数パーセントで気密測定が行われているかどうか?というのが実態です。

「職人には(単価の問題で)施工精度よりも施工スピードを求める」現状があって、「気密測定を実施すれば、C値という数値・データで施工精度の高低が露見する」こと、そして「気密測定の実施義務はない」のであれば、「気密測定をやらない方がいいか…」と考える住宅会社が出てくるのは仕方ないとも言えます。特に棟数をこなす会社であればあるほど、その傾向にあります(※)。

とは言えど、一方的な住宅会社側の理屈を、実際に住宅を建てる・購入する消費者側に押し付けられてはたまったものではありませんよね。何千万円もする買い物において、施工精度の低い、施工不良なものに当たってしまうということは、自ら避けねばならない…それが現代の家づくりの難しいところでもあります。

⇒「気密測定や見えない所の大切さ」については、こちらのコラムもご参考ください。

※裏を返せば、建売住宅でも「気密測定を実施し、施工精度をC値でハッキリと示されている」ものがあれば、それはとても素晴らしいことだとも思います。

 

まとめ:住宅購入・家づくりは慎重に考えながら進めましょう!!

ここまで長々とお伝えしてきましたが、言いたいことは一つ。それは「一生で一番高い買い物である住宅購入・家づくりは、知らずして進めるべきではない!!」ということです。

さらに言うと、この記事で述べた「施工精度」や「気密測定」も、実は『知っていただきたい数ある情報の中の一つ』にしか過ぎません。家づくりに大切な「予算」のことや「業態別の価格の違い」など、知っておくべき知識はたくさんあります。

ぜひとも「家づくりに関する知識」を身に着け、自らで住宅会社を「見極める力」を養ってください。そして、後悔しない家づくりを実現しましょう。そのためにもまずは家づくり学校へお越しください!!

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この記事を書いたアドバイザー

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