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注文住宅の予算と費用

20代・30代・40代・50代・60代 年代別「マイホーム資金計画」のポイント

2023.10.24

今井 園美

今井 園美

20代・30代・40代・50代・60代 年代別「マイホーム資金計画」のポイント

現在、住宅ローン金利が低いことも後押しとなって、20代でのマイホーム購入を考える人たちが増えています。その一方で、お子さまの入学・卒業を機にマイホーム購入を考えるという30代~40代の方も変わらず多くいらっしゃいます。あるいは、自分たちの老後を見据えたマイホーム作りを考えるシニア世代(50代~60代)も増えてきました。

一言で「マイホーム資金計画」と言っても本当に人それぞれ。世代が変われば、家族の状況、ライフスタイル、資金的余裕なども違ってきて当然ですよね。そこで、今回は、年代別にマイホーム取得のための資金計画の考え方の違いについて解説いたします。

マイホームを購入するとき多くの方が「この家に住みたい!」というところから逆算して家を購入しようとして、身の丈に合わない住宅ローンを組んでしまい、結果、毎月の返済が家計を苦しめ、返済を滞らせ、最終的には破綻してしまうリスクを高くしています。

住宅ローン破綻を避けるためには、2つのマネープラン「適切な購入予算」「無理のない返済計画」を立てることが何より重要となってきます。そして、この2つのマネープランを立てるために考えなければならないのが「ライフプラン」です。ライフプランを考え、将来、どのタイミングで何にいくら費用が必要になるのかを把握したうえで、住宅取得のための資金計画を立てる、これが住宅取得後の生活の安定に繋がり、住宅ローン破綻のリスクを最小限に抑えるためのコツです。

2つのマネープラン①「適切な購入予算」

「適切な購入予算」は家を建てたい人がまず最初に考えるべき資金計画です。

家の予算は『自己資金+援助資金+住宅ローン』の合計金額で決まります。

自己資金:住宅のために使える貯蓄(自己資金)はいくらあるのか?
援助資金:祖父母・両親からの援助があるのか?いくらあるのか?
住宅ローン:無理なく返済できる「借入金額」はいくら?

「自分の建てたい家がどれぐらいの費用がかかるのか?」を確認し、その金額が自分たちの「購入予算」と合致して初めて安心して家づくりを進めていくことができます。

2つのマネープラン②「無理のない返済計画」

住宅ローンを利用する場合、

いくら借りるか?
返済期間を何年にするか?

それによって毎月の返済額は変わってきます。

そのため、将来のライフプランと現在の家計状況を確認したうえで適切な借入額を決め、各金融機関の住宅ローンを比較検討することがとても重要になってきます。

年代別マイホーム資金計画のポイント

■20代後半~30代前半での家づくり

★ライフスタイル

結婚や出産のほか、転勤や転職などライフスタイルの変化が多い年代
賃貸であればライフスタイルや価値観の変化に合わせて気軽に引越しできますが、家を購入することでそれができなくなるため慎重に検討する必要があります。

★購入予算

一般的に収入がまだ少ないため借入可能額が低い傾向にあります。
上の世代と比べると貯蓄額はまだ少ないケースが多いとは思いますが、土地と建物以外にかかってくる諸費用分位は自己資金で支払う予定で準備していただきたいと思います。

✅自己資金の目安は住宅取得予算の10%以上

20代で10%以上の頭金を蓄えるにはしっかりとした資産計画が必要です。

✓この年代は予算が少なくなりがち、そのため家づくりの幅が狭まる可能性があります。
✓「子育て世帯」「若者夫婦世帯」を対象とした「こどもエコすまい支援事業」などの補助金制度を活用しましょう。

※令和5年こどもエコすまい支援事業は、令和5年9月28日時点で補助金申請額(予約を含む)の割合が100%になり、申請受付を終了しています。

★返済計画

長期ローンが組めるので、月々返済額が少なくて済む
産休・育休の収入減も視野に入れた計画を考える
住宅取得後の税金や維持費の負担増も忘れずに

★ライフプラン

定年まで余裕をもって返済できるため、老後の資金にゆとりが生まれる
若い頃にマイホームを購入すると定年や老後を迎える頃にリフォームや建て替え、住み替えが必要になる場合も考えられます。今後のライフスタイルの変化を考慮したマイホーム計画を立てることが重要

★20代後半~30代前半のシミュレーション例

この年代の傾向「今が大変!」

夫婦だけの生活の時には余裕があり住宅取得のための頭金の貯蓄もできているのですが、お子さまが生まれ、産休・育休を取得することにより世帯の収入はダウン。そして、同じ時期に住宅取得をしたことで支出は大幅増となり、結果、今が一番苦しい状況に!!

ポイントは「住宅取得のタイミング」

家を建てる計画を2年先まで伸ばしてみました。その間に貯蓄も増え、不安のない収支になりました。

■30代後半~40代前半での家づくり

★ライフスタイル

結婚したり子どもが生まれたりすることで、収納が足りなくなった、近隣への音が気になるなど、賃貸での暮らしを考え直す人が多くなる年代。
家族構成も定まってくる時期ですから、無駄のない間取りの設計なども考えやすくなります。また、子どもの就学などもあり、どこでどのような家を買うのか検討しやすく、マイホームを買う人が最も多い年代です。

★購入予算

社会人になって約10年以上経過し、収入も安定してきているため借入可能額が高くなる傾向にあります。※ただし、借りすぎに注意が必要
頭金もある程度出せるだけの預貯金もできている年代ですから、予算も十分に確保できる可能性が高く、希望通りの家づくりが実現できそうです。

✅自己資金の目安は住宅取得予算の20%以上

★返済計画

ライフスタイルから月々の返済額を算出するとともに、起こりうる家計の変化を織り込んで返済計画を考える
35年ローンを組むなら30代のうちに
住宅ローン控除を効果的に活用する
将来が見えてきて資金計画がたてやすいため、収入が増えていれば、繰上返済資金の準備も検討する

★ライフプラン

ライフプランを具体的にイメージして、今後、負担増が考えられる教育資金と老後資金はバランスを考えて計画的に準備していきましょう。
また、仕事上での責任の変化、プライベートでも子どもの入学・卒業などライフイベントが多くなる時期ですから、それらの費用も計画的に用意しておく必要があります。

★30代後半~40代前半のシミュレーション例

この年代の傾向「子どもの進学時期が大変!」

家を建ててからも家計収支は安定した状況が続いていましたが、子どもの大学進学時期に一挙に苦しい状況に・・・教育費の負担と住宅ローンの負担が重なるこの時期が一番大変!

ポイントは「教育資金の早めの準備」と言いたいところですが、このご家庭の場合、実は教育資金の準備もされていました。ただ計画が甘く足りなくなってしまいました。どのタイミングで何にいくら必要になるのか、具体的な資金計画を立てる必要があります。

そして、もう一つの

重要ポイントが、家を建てた後の「ランニングコスト」

現在、どんどん上がっている電気料金ですが、今後も電気料金の上昇が予想されています。それを見越した家づくりをすることが将来のキャッシュフローに大きく影響してきます。

次のシミュレーションは

建築費用が300万円ほどUPして、住宅ローンの返済額も月1万円ほどUPしました。ですが、住み始めてかかる電気料金を抑えることができる家づくりをした結果、生活費は月1万円ほどの節約ができました。その結果、大学進学時も何とか持ちこたえられる収支に

毎月の光熱費の負担減は、長い期間にわたり、少しずつ効果を発揮してくるとても重要なポイントとなります。

■40代後半~50代前半での家づくり

★ライフスタイル

子どもがいる世帯では、子どもの教育費の負担が大幅に増える年代
収入も安定してきていて、今後のライフプランもある程度決まってきているため将来の見通しが立てやすく、老後のことを見越した家づくりができる世代でもあります。

★購入予算

一般的に住宅ローンの完済時年齢は80歳程度に設定されていることが多いため、長期の住宅ローンが組めなくなり、借入額を低めに抑える必要が出てきます。
そのため、頭金の金額次第で家の予算が変わる可能性が高くなります。

✅自己資金の目安は住宅取得予算の30%以上

★返済計画

35年のローンが組めないため、月々の返済額が重くなる傾向にある
定年を過ぎてからローン返済に追われないようにするためにも、住宅ローン減税の期間が終わったら、余裕のあるうちに計画的に繰上返済を行うなど、あらかじめ実現可能な返済計画を立てておくことが重要

★ライフプラン

教育資金もまだまだかかる、自分たちの老後のことも考えておきたい年代。教育資金と住宅ローン返済、老後資金のバランスを図ることがポイントになってきます。具体的な家族のライフプランを立て、「いつ何にどの程度のお金が必要になるのか」をしっかり把握し、自己資金の使い方は計画的に慎重に考えることが重要になってきます。

★40代後半~50代前半のシミュレーション例

この年代の傾向「余裕のある家計に思えても、すぐ下の年代と同じように教育費の負担増の時期に一挙に収支が苦しい状況に!!」ただし、すぐ下の世代とは大きく違う点があります。

それは、住宅ローンの負担が老後の収支に大きく影響してきている点

年金生活になってからも続く住宅ローンの返済が、老後の家計に重くのしかかってきています。

ポイントは「住宅ローンの繰上返済」と言いたいところですが、無理な繰上返済はむしろ老後の家計収支を悪化させかねません。

やはりここでも

✅重要ポイントは、家を建てた後の「ランニングコスト」

次のシミュレーションは住宅取得後のランニングコストを抑える家づくりをされた方の場合のシミュレーションです。

老後の収支の悪化がくい止められています。

■50代後半~60代での家づくり

★ライフスタイル

子育てや仕事が一段落する年代
子どもが巣立った後の第2の人生は意外に長いものです。セカンドライフを満喫すべく、ライフスタイルにあった間取りや趣味を楽しむ部屋を設けたり、老後も健康に快適に暮らせるよう夫婦二人を中心とした理想の家づくりを考えていきましょう。

★購入予算

60歳以上でも住宅ローンの利用は可能ですが、借りるにしても短期のローンとなるため借入できる金額は低くなることが考えられます。
貯蓄・退職金などの自己資金を充当しての住宅取得を検討してみる。今の住まいの売却金(住み替えの場合)を自己資金に充てることも可能
自己資金の金額が大きく家の予算に影響してきます。

✅自己資金の目安は住宅取得予算の50%~100%

★返済計画

一戸建てを購入したあとの生活も視野に入れ、余裕を持った資金計画を立てる。
食費や光熱費といった毎日の生活費はもちろんですが、高齢になると多くなりがちな医療費、病気やケガで思わぬ出費が必要になるケースも。定年退職後は収入も限られてくるので、ある程度の貯蓄は確保しておきたいものです。

★ライフプラン

定年退職後は、通勤の必要がなくなるため住む場所の選択肢は広がります。反面、身体的な老化により行動範囲が狭まったり、将来的には免許証返納の可能性があることを考えると、徒歩や公共交通機関で移動できる圏内に病院やスーパーなどがあるかなど生活の利便性も家づくりの重要なポイントになってきます。

★50代後半~60代のシミュレーション例

この年代の傾向「住宅取得が老後の収支に大きく影響」

子育てが一段落した段階でまだ在職中の場合、収入もしっかりあるため、余裕のある家計になります。そこで、ついつい使い過ぎてはいませんか?

年金生活になったから、いきなり節約ができるようになるとは限りません。その時には貯蓄もある程度あるため、ついつい安心して使ってしまう気の緩みがそのまま将来の家計を圧迫することに。

ここでも重要になってくるのは、家を建てた後の「ランニングコスト」

住宅取得後のランニングコストを抑える家づくりをした場合

固定費である光熱費の負担減の効果は大きいと言えます。

まとめ

年代によってマイホームを購入したい理由もマイホームへの要望を変わってきます。ですから、家を購入するタイミングはライフスタイルや考え方によって人それぞれ異なって当たり前。

ただ、どの年代の方でも共通しているのは

⭐憧れのマイホームを購入し新しい生活をすることを楽しみにしているということ
⭐住宅購入に際してお金は重要な課題となるということ

家族のこれからのライフプランを考え、将来、どのタイミングで何にいくら必要になるのかの資金計画を立てることで、それぞれのご家族にとってのベストなタイミングをみつけていただきたいと思います?

また、どの年代であっても、

⭐家を建てた後の「ランニングコスト」が、その後の生活に大きく影響してくるということ

月の負担だけでいえば、それほど大きな効果があるとは言えないかもしれません。でも、そのわずかな違いが、20年後、30年後、40年後、50年後の家計収支には大きく影響してくるということです。

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2010年に2級FP技能士、2013年に住宅ローンアドバイザーの資格を取得。得意分野は「住宅ローン」と「家計の見直し」です。2017年から家づくり学校にて、FP資格を生かした家づくりアドバイザーとしてお客様の家づくりをサポートしています。

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